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「有給休暇の義務化」介護現場での取得状況に変化は?

こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。

私は、新卒で介護業界に飛び込み11年間介護現場や管理職を経験してきました。
その後、転職コンサルに5年間従事し、現在は介護コンサルをする傍ら、介護現場で介護士としても現場のお手伝いをさせていただいています。
当ブログではそうした中での経験や思いについて、書き記していきます。

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突然ですが、皆さんの職場の「有給休暇」が取れる職場ですか?

ただでさえ「有給が取得しづらい」と言われる日本。

その中でも「有給が取得しづらい」と言われる介護業界。

そんな労働環境に対して、一石を投じるべくスタートしたのが、この2019年4月からの「有給休暇取得の義務化」です。

今回はこの制度を中心に介護業界を始めとした「有給休暇」について、記事を書いていきたいと思います。

 

介護現場では「有給休暇」の概念が浸透していない事も多い

まず「有給休暇の義務化」の前に、有給休暇がどのようなものなのか?についての理解が無ければ始まりません。
実際、職場の有給休暇への理解や運用が徹底されていないが故に、間違った認識を植え込まれてしまっている介護士のみなさんによく出会います。

例えばよくあるのが、このような例です。

「うちの職場は、有給休暇ないんですよ」

「私はパートだから有給がないんですよ」 

このようなセリフと耳にすることがありますが、これは完全に誤った認識です

有給休暇は、職場や職種、働き方を問わず、労働基準法で定められた労働者の権利です。

「今の職場だから」
「パートだから」
こうした各々の環境や雇用形態によって有給休暇が存在しないという事はありえません。

極端な話「有給休暇が存在しない」=「法令違反」と思ってください。
こちらが有給休暇の付与条件になりますので、不安のある方はご確認ください。

■有給休暇の付与要件

①フルタイムに準ずる労働者
勤務6ヵ月で有給休暇は必ず10日以上付与され、その後1年毎に10日以上が付与

②週4日以下、週30時間以下の労働者
勤務6ヵ月で、①と同様に有給休暇が付与されるが、
付与日数は週当たりの勤務時間により変動

※ただし①②ともに、出勤するべき全労働時間の8割以上の出勤が付与の前提条件
※有給休暇取得期限は、原則付与から2年間

(参考ページ)厚生労働省の有給休暇付与日数について

これらの要件はあくまでも、国の定めている最低ラインとしての強制水準であって、目標ではありません。

 

介護現場では「有給付与されても取得できない」という問題

また有給休暇の問題については「正しく付与されるか?」ではなく「正しく利用できるか?」という部分が特に大事になります。
実際、有給休暇の付与については、上記の通り法令でしっかりと定義されていますので、正しく付与されているところが大半です。
ところが「付与された有給休暇が取得できない環境」が多くの介護施設に存在しています。

介護施設における有給取得の現状

2016年の厚生労働省調査によると、日本の全産業における年間の有給休暇取得率が49.4%とされており、もはやこの水準は世界最低レベルです。
日本全産業でこの水準ですので、有給取得が進んでいないと言われる介護業界のみを切り出すと、更に厳しい結果が見えてくることが予測されます。

これらの結果は、
労働者側は有給休暇を取得したいという思いを持っているにも関わらず、取得できない、もしくは取得しづらい職場環境や職場雰囲気がある」
という事を意味しています。

そして使用者側も「労働者の有給を取得できない我慢」に甘える前提で、休みのとれない仕事割り振りを行います。
このように多くの介護現場は「有給休暇の取得が無い前提」で業務を割り振る為、有給休暇が取得できる職場への環境改善は、後回しされてまいがちです。
でも本来これはあってはならない形です。

使用者側にあるのは「時季変更権」のみ

そもそも有給休暇の利用については、法令上、「使用者側は労働者が取得を望む日に有給休暇を取得をさせなければなりません。」
言い換えれば、
有給休暇を取得させるかどうかを使用者側が決定する権利はありません。

それにも関わらず、取得如何を使用者側が判断したり、労働者側が判断しづらい環境を作ってしまっている事が問題です。

そんな中で、使用者側に唯一ある権利が「時季変更権」というものです。

これは「労働者が指定した日に有給休暇を取得すると、事業の正常な運営が妨げられる場合に、労働者に有給取得日を変更させる権利」が認められているというものです。
ただこれは、例えば「同じ日に多くの労働者が休暇希望を出し、業務に支障をきたす場合」等を指し、単純に「忙しいから」等というような理由での時季変更権の行使は認められていませんので注意して下さい。

有給休暇が取得しづらくなるコミュニケーションの例

ここで「有給休暇が取得しづらくなるコミュニケーション」の例についても、少し触れておきます。

介護士:「来月の15日に有給休暇をいただきたいんですが?」

管理者:「どうして?なにかあるの?」

介護士:「いや、ちょっと予定が」

管理者:「・・・」 (不満顔)

こうしたコミュニケーション自体が本来は不要です。

わざわざ使用者に有給休暇取得の理由を聞かれ、労働者側が気を遣う必要もないわけです。
挙げ句「不満顔」の管理者なんて以っての他です。

だからこそ、労働者側がしっかり法律を理解し、休暇を訴えること、また使用者側がしっかり法律を理解し、休暇を促す事が大切です。

 

有給休暇の取得義務化がスタート

こうした「有給休暇の取得をしたくてもできない雰囲気、させない雰囲気」にメスを入れるために決定されたのが、今回の有給休暇取得の義務化です。

2019年4月スタート、有給休暇義務化の概要

■有給取得義務化の概要

①2019年4月スタート

②対象者は、年次有給休暇が10日以上の労働者

③毎年5日間、時季を指定して年次有給休暇を取得させることが義務付
(時期指定せずとも5日以上取得できている労働者はOK)

④違反すれば従業員1人当たり罰金30万円以下の罰金

今回の一番のポイントは、有給取得の強制力を増す為、違反時の罰則が明記されたという事です。

介護施設でも30名の従業員を抱えていてば、最大900万円の罰金となるわけですから、それなりにインパクトのあるものだと言えるのではないでしょうか。
これまで国も有給取得推奨についてパフォーマンスはしていたものの、明確な対策には至っていませんでした。

そこを今回の法律で、強制させる事にした国の姿勢は大事なところです。

有給休暇義務化の課題

大きな一歩となってもらいたい今回の有給休暇義務化。
ただし、一方で課題も見え隠れします。

■有給取得義務化の課題

・対象者が年次有給休暇10日以上の労働者に限定

・あくまでも毎年5日の義務付けであり、100%ではない

・違法事業所の取締方法が不明瞭 等

これらの課題点のように、今回はあくまでも全従業員を対象とした100%取得の施策ではありません。
また取締方法が不明瞭である事からも、労働局の取組姿勢に依存する部分は否めません。

せっかく定められた今回のルールを浸透する為に、まずは違法事業所についてはしっかり取り締まってもらいところです。
結局、労働局の取締が曖昧であったり、抜け道だらけだと、結局何も変わらないというリスクもあります。この辺りは要注目ですね。

 

各介護事業所の対応状況

そして、この法律が施行される伴って多く補法人で打ち手が進められていますが、施行以降も動きの鈍い法人が一部では見られるようです。

施行されているにも関わらず、未だ37%の介護施設が対策をせず

先日、Twitter上で施行後の対応について、アンケートを取りました。

「施行前から有給取得が進められている事業所:26%」

「施行が決まり対策が進められている事業所:37%」

「施行後も対策が進められていない事業所:37%」

このように新たに37%の事業所が対策に出ている点には、法律施行の意味を感じますし、良い傾向だと思います。
ただしその一方で、本来強制されているはずにも関わらず同じく37%の事業所が何の対策もできていないという点には、憤りを感じます。
こうした事業所に対しての国からの取締が強化されなければ、100%浸透はなかなか難しいのかもしれません。

有給義務化への対応順次進める法人

このように法人によって、有給の義務化がスタートしても対応はまちまちです。
ただこのように世の中が変わっていく中で、後手後手の対応している介護施設は確実に世間に取り残され、明らかに人手不足が加速すると予想されます。

・人員配置基準を見直し採用強化を進める介護事業所

・現在の業務内容の洗い出しを行い、無駄がないか職員間で検証し合う介護事業所

・計画的に有給希望日を法人側がヒアリングするケース

こうしたように少しずつ健全な労働環境に変わるべく、施策準備をしている事業所が増える事は良い兆候です。

大事な事はただ有給を取得してもらうだけでなく、人員の確保も含めてしっかり体制を作った上で、適切に有給してもらうという事です。
職場環境を変えず、現場がより手薄になり、出勤している介護士に負担が偏るだけでは何の意味もないですからね。

有給義務化を軽視している法人

しかしその一方で、このTweetのように今回の法改正を軽視している介護施設が存在するのも事実です。
これがまさに何の対応も進めていない37%もの事業所を指します。
もし今こうした職場にお勤めの方は、確実に声を挙げるべきですし、こうした法令遵守さえしようとしない職場なのであれば、勤務を継続すべきかまで考える必要があります。

有給義務化の抜け道を探す事業所まで

また悪質なケースでは、義務化の抜け道を探る介護事業所まで存在しているのも事実です。
よくある例では「就業規則を見直し、本来公休に設定されていた夏季休暇や冬季休暇等の公休を出勤日に変更し、有給取得を促進」する等というものです。

このように有給休暇取得しても、休日数が増えないような規則変更は、不利益変更ですので、認められるべきではありません。
当然こうしたものは、本来の趣旨に大きく反するべきものですし、罰せられるべきだと思いますが、今後の展開が非常に心配となる例です。

こうした法改正を軽視する姿勢の事業所が増えるかどうかも、労働局の取り組み方次第ですし、そのように義務化を軽視した介護施設で働く介護士の皆さんが声を上げる事も重要になってきます。

また抜け道とまでは言いませんが、一部では介護施設側が勝手に有給取得日を指定するようなケースも散見されるようですが、これについても当然NGです。
有給は労働者側の希望で取得できますので、「取れるだけマシ」ではなく正しく取れるように声を挙げていく必要もあるかもしれません。

こうした法制度を蔑ろにする法人に対しては、労働局の皆様に厳しく取り締まっていただきたいところです。
そして何より、そのような対応で切り抜けようとする介護事業所からは、一刻も早く退職される事を個人的にはオススメします。

 

有給休暇取得の義務化についてのまとめ

有給休暇については常々言われるように、本来は労働者の権利であり、こうした法律が無くとも取得が推奨される環境があるべき形です。
しかしながら日本、中でも介護業界では有給休暇が取得できない、取得し辛いという悪しき歴史があります。

「働く美学」「自己犠牲の美学」が先行してしまい、「休暇=悪」のような誤った文化が根付いてしまっているのです。
これを抜本的に改善させるには、とてつもない労力が発生します。

その打ち手の第一弾が今回の有給休暇取得の義務化です。

そしてこうした打ち手の浸透過程では、労働者が当たり前に休暇を主張すること、そして使用者が当たり前に休暇を受け入れることが必要です。
当たり前を作るには、こうした意識の変化や強制力、継続力しかありません。

現代の制限やストレスの多い社会では、労働と休暇のバランス取られずして、労働のパフォーマンスは上がりません。

目先の休暇は人手不足にある介護施設の使用者にとって痛いかもしれませんが、それにより労働者のパフォーマンスが上がり、定着率も上がれば安いものではないでしょうか?

ぜひ休暇に対しての「当たり前の概念」が大きく変わり、本当の意味での国が進める働き方改革が促進されることを期待したいところです。

 

最後に、

この記事をお読みいただいて「あれ、、、自分の職場は全然ダメだ(泣」というような感想を持たれる方、本当に長く働ける環境かどうか今一度しっかり考えてみてください。

こうした法令の浸透の為には、経営側が正しく対応する事は当然ながら、「労働者側が主張する」もしくは「そうした職場からは離れていく」という実害を与えなければ、法人側が変わろうとしません。

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