皆さんの上司は「年上ですか?」「年下ですか?」
そして皆さんの部下は「年下ですか?」「年上ですか?」
年功序列という風習が過去のものとなりつつある世間においては、こうした年下上司、年上部下の関係性自体珍しいということも無くなりつつありますね。
それでも介護現場に未だに目にするのが「年下上司」VS「年上部下」の構図。
「年上だから指示しづらい・・・」「年下のくせに言葉がなっていない・・・」等など、本来の業務に対しての議論ではなく、お互いが年齢やプライドばかりを大事にし過ぎて、関係がぎくしゃくしてしまう。。。そんな光景がご覧になった事はないでしょうか?
たまたま揉めた相手との関係が年上・年下であったと言えばそれまでですが、私の目にはプライドを振りかざした不毛な争いというものが多分に含まれているのではないでしょうか。
今回は、そんな「年下上司」VS「年上部下」について、記事を書いてみたいと思います。
介護業界は年下上司の出現率が高い
まず、そもそもの話です。介護業界では「年下上司」VS「年上部下」云々の前に、単純に年下上司の出現率が高い傾向にあります。
現場を見ればよくわかるのではないでしょうか?
まず、介護現場には異業種からの転職組の方(それも年配者)が多数存在します。異業種への転職が難しいと言われる40歳代以上の方でも未経験に飛び込むことができるのが、介護業界の特徴でもあり、当然の結果だと見て取れます。
その一方で、若手は若手で介護の養成校を卒業した、介護福祉士持ちの新卒の方(いわゆるエリート?)が一定数存在します。
※実際にエリートかどうかは…割愛します!
こうした外部環境が相まって、介護業界では年齢と業界経験がマッチしずらい業界となりつつあります。
介護業界は異業界経験が活かしづらい?
また、これは私の個人的な見解ではありますが、介護業界では異業種からの転職組が多いにも関わらず、異業種での経験が活かしづらい業界だと思っています。
例えば「介護職」という「職種」は介護業界にしか存在しません。
一方で「営業職」「事務職」という「職種」であれば、異業界にも同様の「営業職」「事務職」といった同様の「職種」が多々存在します。
その為、「営業は営業」「事務は事務」の経験がダイレクトに活かせる環境が整っていたりします。
ここに介護業界ならではの特徴があります。
ようは介護業界に未経験でチャレンジするという事は、多くの方にとって「異業界」かつ「異職種」にチャレンジする事を意味し、ゼロスタートになるという事です。
※コミュニケーション力、人生経験など、活かせるものが全くないとは言いませんが非常に限定されます。
そしてゼロスタートになるという事は、前段同様「年下上司」に出会う確率が増す結果にもなりますね。
その為、「年下に指示される事に違和感がある」「これまでの成功体験を捨てたくない」そうした方には適合しずらい業界でもあると思います。
逆に言えば、全員がゼロスタートですので、素直で無駄なプライドを持っていない方にとっては、経験や年齢を問わず大きく能力を伸ばすチャンスを秘めた業界であるとも言えます。
年上部下の問題点
ここまで書いてきた通り、介護業界ではこれまでの経験が活かしづらい傾向にあります。
それにも関わらず、自分自身がゼロスタートだとリセットして勤務できていない方が、年下上司とトラブルを起こしてしまいがちです。
よくあるのが、「年下に指示される事を生理的に受付けられない」という所から始まり、指示があっても「そんな事はわかっていると自由な振る舞い」をしてしまったり、「年下のくせに偉そうだ!」と余計な感情をプライドを振りかざしてしまい、業務がスムーズに進まないというようなものです。
ひどい時にはそれが職場全体の人間関係悪化に繋がってしまうような事もあります。
全ての根源は、小さなプライドです。
繰り返しになりますが、余計なプライドを捨て「年下なのに…」「今までは…」といった固定概念や過去について、とらわれずに素直に物事を吸収し、業務に励む事が大事です。
介護の仕事に年齢やこれまでの経験は関係ないという割り切りができるか否かが、介護職としての成長に大きく関わってきます。
※そもそも、今どきそんなプライドを振りかざしていては、介護業界のみならず、異業界でも働き先自体無くなってしまいそうですが(苦笑
年下上司の問題点
また「年下上司」VS「年上部下」で問題視されるのはもちろん「年上部下」だけはありません。
介護業界では上司(管理職)のマネジメント力不足についてもよく嘆かれています。
実際、最低限の敬語さえロクに使えず、無駄に「年上部下」をバカにしたような立ち振舞をしてしまったり、組織(ユニットやフロア)をうまくコントロールできていない年下上司もたくさん目にします。
よく「遠慮」はしなくて良いが「配慮」はしろと言いますが、年下の部下に対して最低限の配慮がなくては、自分についてきてくれるわけもありません。
これは介護業界には一般企業と比べて、マネジメント力を養うような場面や研修が少ないというのも影響しているのかもしれません。
そもそもそうしたものを蔑ろにする風潮もあれば、人手が足りなさすぎて研修がしたくても実施できず、結果、能力が足りないまま、押し出されるように役職に付けてしまうという例も多々にあります。
結局は人手不足からくる弊害が、こうしたところにも現れているという事です。
大事な事は、年上の部下だからと言って過度な遠慮をして、関係をおかしくすることではなく、ダメなものはダメとしっかりしてきはしつつ、人生の先輩として最低限の物言いを踏まえ、相手に配慮のある立ち振舞をするということだと思います。
最後に
今後も残念ながら「年下上司」VS「年上部下」の戦いは生まれると思いますし、人間関係問題が取り沙汰される介護業界においては、避けては通れない道だと思います。
それでも各人のちょっとした意識を変えるだけで、こうした争いは半減できるかもしれません。
「年下上司」は上司としてしっかりと現場を制し、適切な関係を作れるように「配慮」はしっかりする、でも「遠慮」はしない。
「年上部下」は年下の上司の存在を当たり前のものと理解し、過去や年齢に囚われず、素直になる。
言うは易しとはまさにこの事ですが、ここにしか解決の糸口はないと思われます。
そんな当たり前の積み重ねで、無駄な争いや人間関係の崩壊する介護現場が少しでも減少すればと願うばかりです。