労働条件

求人票の正しい見方。ツリ求人のトラップに引っかからないで。

みなさん、当然ですが求人票をご覧になった事はありますよね?

ハローワークでの求人票を始め、最近ではWeb上でも多くの求人情報が飛び交っています。

このように求職者が多くの求人情報を得ることができるようになった事自体は、求職者の選択肢を広げる事になり、非常に良いことだと思います。

でもその一方で、由々しき問題が発生しています。具体的には求人情報を少しでも目立たせて、応募数を増加させようといわゆる誇大情報が横行しつつあるというものです。

そんなトラップの溢れる、介護の就職・転職市場での求人票の見方について、書いてみたいと思います。

ツリ求人に引っかからないで

恐らく求人票や求人広告をご覧になる際に、注目を集めるのが「給与欄」だと思います。

個人差はあれど、「給与」が高いに越したこと無いのは言うまでありませんね。でも注意しないといけないのが、最もトラップが潜んでいるのもこの「給与欄」だということです。

例えば、「月給35万円の求人!」と書いた求人をご覧になった方はどう思われますか?

今の介護業界の給与水準を踏まえると「すごい!」「興味がある!」そんな感情を持たれる方が多いのではないかと思います。
※お金への価値観は、個人によりますのであくまで参考として受け止めてください。

でもそこにトラップがあります。恐らくその求人に応募して、採用をしてもらっても実際に35万円の給与が支払われる可能性は非常に低いと思っておいて問題ないと思います。

全くの嘘を書いているケースもゼロではありませんが、多くの場合条件付でそうした求人を出しています。

例えば、「一般介護職の求人であるにも関わらず、管理者になれば35万」や「運営が好調で業績給が最大限支払われた場合35万」等、の条件がついています。かつその条件をクリアするのは並大抵ではないという・・・

これじゃ詐欺だと言いたくなるかも知れませんが、求人情報が収集しやすくなった一方で起きている弊害かもしれませんね。

でも誤解を招きたくたくないので、一つだけ言っておきます。稀にですが、本当に給与が良いケースもあります。どうせツリ求人だと高をくくっていては見逃しかねないというのもタチの悪さです(苦笑

こうした求人をパッと見て見極める事は非常に困難です。大事なことはこうしたツリと言わざるを得ない求人広告が世間にはあるということをしっかり認識し、求人応募する際にはしっかりと直接確認するということですね。

月給を正しく評価できていますか?

ツリ求人に気をつけてと書かせていただいたばかりですが、早速次にも難関が待ち構えています。求人の正しい評価というものです。

先程の流れになりますが、「月給35万円の求人に応募し、見事に内定。内定先にもしっかり確認し、月給35万の旨、確認が取れた!」これで一安心してはいけません。

月給35万とは言っても様々な月給35万円があるという事です。

この月給35万は確かに魅力的です、ただしこの「月給35万」を正しく見極めないと、痛い目に合うということです。

注意ポイントその1.「賞与」や「処遇改善等の手当」は確認済みですか?

⇒しっかり年収として給与を見ることができていますか?という事です。

(例)基本給が20万円だったとして

①賞与が基本給の2ヵ月分の場合:40万円

②賞与が基本給の5ヵ月分の場合:100万円

年間で60万円の差、月額で5万円の差となります。

当然賞与は変動要素となる部分ですが、目安としてこの賞与を加味して月給を判断する必要があります。

注意ポイントその2.「残業代」は本当に別途支給されますか?

⇒月給が良くても見なし残業代込になっていませんか?サービス残業はありませんか?という事です。

(例)毎月残業が40時間(1日2時間)あるとして
※時給1,000円+割増25%=残業手当1,250円/時間と仮定

①残業代が見なしやサービスの場合:0円

②別途残業代が支給される場合:5万円 (1,250円✕40時間)

要は実質的な月給が5万円も違ってきます。

総労働時間に対して適正な対価か見極める必要があります。

注意ポイントその3.「勤務日数」や「勤務時間」はどのようになっていますか?

給与が高くても所定の勤務日数や勤務時間が多ければ意味なくないですか?という事です。

(例)年間休日に「124日」と「100日」(月当たり2日の勤務日数差)の差があるとして

①月給30万を20日で稼ぐ場合:日額15,000円

②月給30万を18日で稼ぐ場合:日額16,666円

日額で1,666円の差になり、これを月換算(20日)すると、33,320円の差があるのと同義となります。

たくさんの日数や時間働いて、月給が良いのであればそれは普通の事で魅力的ではないですよね?

注意ポイントその4.「通勤時間」もはや勤務と同義ではないですか?

⇒通勤に時間をとられる=勤務時間として拘束されているのと一緒ではないですか?という事です。

(例)通期時間に大きな差がある場合
※あくまでも通勤時間を勤務拘束時間とした場合ですが

①通勤30分の場合:勤務時間+往復1時間の拘束⇒月残業が20時間に相当

②通勤90分の場合:勤務時間+往復3時間の拘束⇒月残業が60時間に相当

上段で利用した、「その2.」の理屈で言えば、残業40時間の差は月給が5万円の差に相当します。

わざわざ高い月給の為に遠くまで出勤しても意味ないかもしれませんね。

このように上げたポイントはあくまでも切り口の一つに過ぎません。

ただこの切り口を少し変えてみるだけで「月給35万円」はいかようにも見えてくるということです。

最後に 

「ごちゃごちゃと数字を並べて何が良いたいの?」と言われてしまいそうですが。。。。

ようはどれだけ求人票の月給欄に高い給与が表記されていても、

その1.「賞与」や「処遇改善」等、その他手当の有無

その2.「残業時間」や「サービス残業・みなし残業」の有無

その3.「所定勤務日数」や「所定勤務時間」

その4.「通勤時間」 

などなど

これらの月給に纏わる要素を鑑みて月給を判断しなければ、本当に魅力的な月給なのかどうかはわからないですよね、という事です。

そして世の中にはツリ求人と言われるようなものが存在するということも合わせてご承知おきください。

まぁ当たり前の事をつらつら書いただけなのですが、求人票を見ているとついつい月給には目を取られてしまいがちです

たまに「うちの職場は月給が良いんです」とうれしそうにお話いただいても、よくよく聞くと残業が多かったり、休みが少なかったりと、確かに収入は多いけどそれだと副業しているのと一緒だけどなぁと思ったりするわけです。。。。

どうせ仕事探すなら、本当の意味で魅力的な給与であるに越したことはないですからね。

情報が溢れる社会だからこそ、正しく情報を収集して、正しく情報を理解した人が有利な世の中になりつつあります。

求人を見極める際にも、ぜひ正しい目線で正しい求人評価をして、良い職場探しをすることが大切ですね。