労働条件

【介護現場の熱中症】守られるべきは利用者さんだけではありません

こんにちは「介護コンサルをしながら、現役介護士を両立」がモットーのごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。

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皆さん、暑いですね!めちゃくちゃ暑いですよね…
「今年は冷夏」等と囁かれていた7月上旬はどこにいったのでしょうか?
毎日の当然のような35℃超えには、流石に身体も耐えきれません。

そんな暑い毎日の中で気をつけなければならないのは、「熱中症」等への対策です。

そしてこの介護施設の熱中症対策の中で特に多いのが、お客様である利用者へのケアや危機意識にはすこぶる敏感であるわりに、介護士に対しての危機意識が欠落している介護施設の存在です。

当然、体力の低下しているお年寄りの方が身体に異変を来たす可能性は高いですし、敏感になる必要があります。
ただし、だから介護士自身へのケアが疎かになっても構わないという話にはなりません。

それにも関わらず、人で不足を理由に介護士をまるで人として扱っていないかのように、こき使う介護施設が後を絶ちません。

今回はそんな暑い夏の「利用者偏重」による介護士への危機意識の低さについて、少し紹介してみたいと思います。

 

介護士の水分補給を「怠慢」だと捉える介護現場

 

先日、上のようなTweetをして多くの方に反響をいただきました。

極端に言えば「利用者さんは神様、介護士は人間以下」と言わんばかりのこうした言動や立ち振舞を行う介護現場の経営者や上司も存在するというのが、まだまだ今の介護業界の実態です。

もちろん皆が皆ではありませんし、今でこそ介護士に対してしっかり水分補給や休憩を促す事で、安全かつ健全な介護現場を目指す法人が増えてきました。

それでも介護士不足等が原因で、余裕を持てない管理者や上司が介護士の休息や水分補給をしたりという場面を後ろ向きな光景として受け止めてしまう事が少なからずあります。

ただし決して間違ってはいけないのが「介護士も利用者さんと同じ人間である」という事です。
水分補給をせずして倒れるのは利用者さんだけではありません。
そして上司や環境だけでなく、介護士自身も自身の体調を顧みず無理する事が大きな弊害を及ぼす事になりかねない事を自覚する必要があります。

 

介護施設の環境整備を軽んじている介護現場

 

またこちらのTweetにあるように、介護士への言動や立ち振舞以前に、環境面の整備を軽んじている介護現場も少なくありません。

まともな思考や危機感を持てる介護現場であれば、暑い夏や寒い冬に空調に支障がきたされれば大問題として、即刻対応が取られます。
ただし、危機感の低い法人や管理者、時には過剰なコスト削減の結果、こうした当たり前の環境整備を怠る介護現場も少なからず存在しています。

これはも上記同様に利用者さんの居室等だけでなく、介護士が動き回るフロア含めて、利用者さん目線だけでなく、そこで働く介護士目線での環境整備が必要なのは、言うまでもありません。

 

【事例】2018年の熱中症による病院での集団死亡事件

また、こうした環境整備を怠ったが故に起きてしまった事例が、ご存知の方も多いであろう2018年の岐阜県の病院で起きた熱中症による集団死亡事件です。
こちらは、病院での患者さんの死亡による事件ではありましたが、介護施設でも同様です。

岐阜県の病院で患者が死亡した事件 院長に罪の意識がないと猛批判

28日、岐阜県警が岐阜県岐阜市一番町の「Y&M藤掛第一病院」で、80代の入院患者4人が26日から27日にかけて相次いで死亡したと発表。夜になり警察が殺人容疑で同病院を捜査した。

警察によると、死亡した4人は病院の3、4階に入院していた。当時エアコンが故障中だったが、病院はとくに対策をせず放置し、患者が死亡。病院関係者の通報で、事態が発覚した。なお通報者は「20日からエアコンが故障していた」と話していたという。

4人の死因は熱中症と見られているが、死亡診断書の死因は心不全となっていたことから、警察は「幅広い観点で捜査するため」として、殺人容疑で捜査を行う方針だ。

28日には院長が記者の取材に応じ、4人の死亡について「元病が非常に恐ろしい病気なもんで(エアコン故障は関係ない)」「(亡くなった人は)非常に恐ろしい病気なので、COPDとかね、気管支ぜんそくとかたばこを飲んでたの。若いときに。やっぱりたばこは酷いね」と発言する。

そして、エアコンの効いた部屋に移動させなかったことについては、「患者さんの中にも暑い部屋が良いという人もいるので、その人らには残ってもらっている」と説明。「病院としてはなにか問題があったとは考えていない」と言い切る。

その態度は、患者を死なせてしまったことに罪の意識を感じている様子が見受けられず、「患者が若いときにたばこを吸ったから死んだのだ」と言わんばかり。受け答えがテレビで放送されると、ネットユーザーから「罪の意識がない」「人の命を軽く見ている」「自己保身だ」などと猛批判が上がることになった。

「Y&M藤掛第一病院」は老人医療を専門としており、人生を終える人も多いという。そのため、院長は人の死に慣れてしまっているのかもしれないが、その対応は責任を感じているとは到底思えず、医療従事者として適格であるか、疑問があると言わざるを得ないだろう。

今後、警察が詳細を捜査する予定。「真実」をしっかりと明らかにし、過失である場合は病院側にきっちりと責任をとってもらいたいものだ

(引用元)ライブドアニュース

こうした事例と同じようなケーズが一部の介護施設で起きてしまっているということ。
そして、その支障を来たす対象が利用者さんだけでなく、介護士自身である場合もあること。

そうした事をしっかりと認識しておかなければ、健全な介護現場の構築は難しいものになってしまいます。

 

まとめ

最近では「介護現場=利用者さん至上主義」ではなく、介護士の健全な労働環境に目を向けてくれる介護施設が増加する傾向にあります。
ただしその一方で、今回の事例に上げたような「精神論」や「介護士を人として扱わない」といったような方針を平気で振りかざす介護事業所が存在する事も事実です。

正に介護業界での格差の拡大です。

「介護士の労働格差が拡大中」介護士が職場を選ぶ時代です!こんにちは「介護コンサルをしながら、現役介護士を両立」がモットーのごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。 ⇒【ごろにぃのプ...

 

それこそ、もし今目の前の職場がこうした時代遅れな運営をしているようであれば、即刻指摘するべきですし、場合によっては新たな職場探しも考えるべきです。

いつも私の記事の中でも書かせていただいていますが、自分自身の心身の健康や健全な労働環境無くして、利用者さんに健全な環境を作る事などできません。

職員の過度な自己犠牲の上でしか成り立たない職場なのであれば、極論業界から退場してもらわざるを得ません。

今一度ご自身の働く環境を見つめ直すきっかけとなればと思います。