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有料老人ホーム運営の未来設計が経営破綻、その裏側に見える「介護士・利用者からの搾取」

こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。

私は、新卒で介護業界に飛び込み11年間介護現場や管理職を経験してきました。
その後、転職コンサルに5年間従事し、現在は介護コンサルをする傍ら、介護現場で介護士としても現場のお手伝いをさせていただいています。

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それでは早速本題です。

介護業界にまた残念なニュースが飛び込んできてしまいました。

「未来倶楽部」のブランド名を中心に関東圏で有料老人ホーム37施設運営していた未来設計が経営破綻。
介護業界での経営破綻の規模としては、過去最大です。

介護ニーズが高い今の日本で、新規参入が増加する一方、このように介護事業所が淘汰される過程で経営破綻する法人も後を絶ちません。

「未来設計」経営破綻の概要

有料老人ホーム運営の未来設計、民事再生法の適用申請

首都圏で有料老人ホームなど37施設を運営する「未来設計」(東京)が22日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。介護施設では過去最大規模となる経営破綻(はたん)の背景には、創業者への高額な役員報酬支払いによる資金繰りの悪化があった。過去8年間で創業者に支払われた報酬の総額は計22億円にのぼる。

負債総額は約54億円。同社が運営する老人ホーム「未来倶楽部」など37施設の入居者約2千人の生活に影響が出ないよう、昨年7月に同社の持ち株会社を買収した創生事業団(福岡市)が支援する再生計画案を準備している。一方、ホーム入居時に支払われた入居一時金のうち、死亡などで返還義務が生じている約2億円(59人分)については全額返すことはできない見通し。一時金が全額返ってこない人はさらに増える可能性がある。

創生事業団が未来の幹部から聞き取るなどして調べたところ、創業者の伊藤英子氏(70)に対し、調べることができた少なくとも2010年以降、毎年3億円前後の報酬が支払われていた。16年8月期以降は、預かり金である「入居一時金」を一括して売上高に計上して運転資金に回し、そこから伊藤氏への報酬が支払われていた。

こうした会計処理は伊藤氏の指示によるものだったと、未来の幹部は証言しているという。同社は「不正な会計操作による高額な報酬支払いで経営が悪化した」として、伊藤氏らを相手に約21億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしている。

伊藤氏は昨年12月に朝日新聞の取材に応じ、一連の会計処理について「税理士に確認して大丈夫だと言われた」と話した。伊藤氏の代理人弁護士は21日、「未来設計を破綻状態にさせたことは創生事業団の判断と責任」などとする伊藤氏のコメントを公表している。

(出典)朝日新聞デジタル

記事内容をご覧いただければわかりますが、今回の経営破綻では「入居者さんに返金されるべき費用が返金されない」という一番最悪な状況となっています。

そしてその一番の原因が「創業者への異常な報酬」という事になれば、関係者の皆さんにとっては悔やんでも悔やみきれないことだと思います。

未来設計の実態

①未来設計の介護士給与

創業者がこれだけの報酬を得ていた一方で、未来設計の現場介護士の給与はどの程度だったのでしょうか?

こちらが、未来設計がHP上で公開している給与条件です。

職種 給与 資格
ケアスタッフ 24.5万円~28.6万円 ホームヘルパー2級
介護職員初任者研修修了者 以上
  • ※資格手当、夜勤5回、残業10時間を行った場合を含む。試用期間あり。
  • ※夜勤手当1回6,000円。ただし、試用期間中は1回3,000円。
  • ※給与額は経験年数、役職、職務内容ほか、面接時の評価により決定します。

給与の見栄えを良くするために、残業手当10時間分と夜勤5回分の手当が盛り込まれていますので、一見給与水準が高く見えますが、夜勤や残業を除けば月給20万程度がスタートラインとなっています。

お世辞にも高い水準とは言えず、オーナーの一人勝ちですね。

こうした背景からも、創業者は自分の利益を大事にする一方で、従業員への利益還元には注力していなかった事が伺えます。

そもそも利益が出ていなかったのですが…

②未来設計の介護方針

未来設計には、全社員を対象とした「3K1Y」という介護方針があります。

【未来設計の介護方針:3K1Y】

3K:「感謝」感激」「感動」
「感謝」・・・私たちは、ご入居者様を常に敬い、心から感謝する気持ちを大切にします。
「感激」・・・私たちは、ご入居者様のお役に立ち、ご満足いただく感激を味わいます。
「感動」・・・私たちは、感謝・感激を通し、ご入居者様と共に感動を共有します。

1Y:「喜び」
「喜び」・・・私たちは、介護の仕事に従事するやりがいと喜びを実感します。

介護でよく言われるネガティブな「4K」や「6K」を逆手にとった、ポジティブで素晴らしい方針は掲げられていたようです。

現場の職員の皆さんはこうした理念に則り、ケアを心がけていらっしゃったのかもしれませんが、肝心の創業者にはこうした思いや方針は微塵もなかったんだと思うとがっかりですね。

③未来設計の介護現場の裏側

未来設計では積極的な事業展開(2016年5施設、2017年5施設オープン)の裏側で、現場の介護士不足が慢性化していたと言われています。

そして現場の介護士が足りないにも関わらず、事業拡大をしても利用者さん利用者さんを受け入れる事ができません。

その結果、高い水準を維持していた入居率も少しずつ低下し、経営状態も年々苦しいものになっていたと予測できます。

人手が足りないにも関わらず施設を積極展開する一方で、人材確保の為の投資には非常にシビアだと言われていました。

実際、未来設計のHP上では「当法人は人材紹介会社は利用しません」と謳われています。

「創業者に支払うお金はあっても、介護士確保にはお金をかけたくない」という方針からも利用者さんや従業員に対しての蔑ろにしたスタンスが見て取れます。

完全に現場度外視で新しい施設を作り、入居金でまとまったお金だけかき集めた上で、現場に還元せず創業者に還元する。

悪質極まりない状態だった事が見て取れます。

そもそも未来設計の破綻は予想されていた

またこの未来設計、元を辿れば2018年7月に「創生事業団」という福岡拠点の介護事業所に全株式を取得されグループ会社化されています。

今回の一件もこの事業継承の過程で、未来設計の財務部長が「入居一時金等の不正計上」を内部告発した事が判明したきっかけだと言われています。

未来倶楽部の運営状況については、既に昨年末の段階でも大きくニュースに取り上げられていました。 

首都圏で有料老人ホーム「未来倶楽部(くらぶ)」など37施設を運営する未来設計(東京)で、入居者から預かった「入居一時金」の大半が消失していたことが、同社を買収した企業の調査でわかった。帳簿上、38億円余残っているはずの一時金が12億円余しかなかった。入居者の遺族らに残った一時金をすぐに返還できないなどの影響が出ており、金融機関に支援を求めている。

37施設には計2千人近いお年寄りが生活し、介護職員ら約1600人が働く。

未来設計の財務部長が、同社の持ち株会社を今年7月に買収した同業の「創生事業団」(福岡市)に内部告発して発覚したという。財務部長によると、未来設計の創業者の女性(70)の指示で、入居一時金を一括で売上高に計上して役員報酬などに使い、赤字経営の実態を黒字に見せかけていたという。

入居一時金は、入居者が長期にわたってホームで暮らせるように最初に支払うお金。未来設計では240万~1千万円の一時金で終身の入居が約束される。老人福祉法に基づく契約で、一時金は想定居住期間(60~84カ月)内の月々の売上高に計上すると定め、それより早く亡くなった場合などは、残った一時金は返還されることになっている。

だが財務部長によると、未来設計では今年8月期まで3期にわたり、新たな入居者から支払われた一時金を月々に分割せず、全額を売上高に計上する会計処理をしていたという。

発覚後、創生事業団が公認会計士に依頼して、今年4月末時点の財務状況を再計算すると、正常な会計処理をしていれば総額約38億5千万円あるはずの一時金が帳簿上、12億円余しかなく、差額の約26億4千万円が消えていた。

(出典)朝日新聞デジタル

今回の一件はこの事業買収と内部通報が無ければ、もっと大きな規模に膨らんでいたかもしれないと思うとぞっとします。

株式買収をした創生事業団は、とんだとばっちりを受けてしまったわけです。

もはやドラマの中の世界と化してきてしまっていますね。。。  

まとめ

今回の一件に関しては、介護事業運営事業者の闇をあぶり出すような結果になっています。

もちろん一番の原因は創業者への異常な報酬である事を言うまでもありませんし、オーナー経営の延長に起きた事だと言えます。

ただし、単純に報酬を支払ったという事実だけではなく、現場を度外視した新規出店や経営が事業衰退という結果に繋がってていたのは言うまでもありません。

積極的に新規施設を作り、目先の収益だけに見て足元は一切見ないという、危険なオーナー経営に見られる例だと言えます。

そして残念ながらその過程では「利用者さんは金づる」「従業員は金を生む為の道具」だとしか見ない経営が行われていたのではないでしょうか。

オーナーの過剰な搾取はもちろん論外ですが、こうした従業員や利用者さんの頑張りを踏みにじるような事業運営は、間違っても許されるべきではないですし、私自身怒りしかありません。

第二、第三の未来設計が生まれて来ない事を心から祈るばかりです。

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