あるある

「介護士のゴネ得」が蔓延した介護施設の悲惨な末路

こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。

介護現場で仕事をしていると「優遇されている介護士がいる」「職員への対応や待遇が平等じゃない」等といった不満を抱える事があると思います。

そしてそのきっかけが、介護士自身の「ゴネ得」だったりする事が往々にあります。

さらに一部の介護士のゴネ得を認める事で、介護現場が崩壊に繋がる事も少なくありません。

介護現場の「ゴネ得」とは?

そもそも「ゴネ得」という言葉自体に馴染みの無い方も多いかもしれません。

ゴネ得とは詠んで時のごとくですが「ゴネる(ワガママを言う)事で得をする事」を指します。

この「ゴネ得」について、介護現場で起こりがちな例を交え2つほど上げてみたいと思います。

(例1)「辞める」と騒げば給与が上がる

ゴネ得の典型がやはり「辞める」という脅しです。

介護士:「私、給与を上げてもらえないなら退職します」

管理者:「ちょっ、ちょっと待って。何とかするから!」

介護士:「だったら退職を考え直しても良いですよ」

管理者:「他の介護士には秘密にしておいてね」

このようなやり取りを通じて、「一部のゴネた人だけが得をする」という構造がゴネ得そのものです。

さらに言えば、「秘密だよ」と言って内々に特別対応をしたつもりであっても、多くのゴネ得は職場に知れ渡っているものです。

(例2)「忙しい」と言えばフロアが変わる

また「ゴネ得」は待遇面に限った話しではありません。

介護士:「このフロアは、忙しいので異動させてください」

管理者:「ちょっと考えてみるから時間をちょうだい」

介護士:「来週までに調整してもらえないなら私辞めますから」

管理者:「えーっ、そんな急に…とりあえず何とかするよ」

このような調整の結果、他の介護士が忙しいフロアに異動になるというケースもよくあります。

そもそもフロア毎に大きな業務量のバラツキがあるのであれば、単純な人の入れ替えでなく、業務内容や全体の配置を見直す事が優先されるべきですね。

「ゴネ得」が良くない理由

交渉する事が悪い訳ではない

まず勘違いしてもらいたくないのは、労働条件や労働環境について「管理者や上司に相談や交渉をする事」は問題だと言えません。

実際、管理者の言いなりになり過ぎ、現場介護士が負担やストレスだけを抱えてしまっているようなケースも見かけます。

だからこそそうした不満や課題について、声に出し問題提起することは非常に大事な事だと言えます。

個人の感情として声を出すだけでなく、冷静に職場状況を見渡す事も必要なのは言うまでもないですけれどね。

行き当たりばったりである事が問題

ゴネ得の一番の問題は、やはり「対応が行き当たりばったりである点」だと言えるのではないでしょうか?

「待遇に不満がある」「労働環境に不満がある」という問題の多くは、声を上げた当人だけの問題でなく、同じ職場で働く介護士やその他職員にも共通した問題である事が多分にあります。

要は、個人が抱える不満なのではなく、職場が抱える不満であるわけです。

それを「個人」の不満だと捉え、個人だけに対応したところで、職場としては何の解決策にもなりません。

それどころか同じ問題を抱える介護士の「優遇される介護士への不満」や「それにより異動が命じられる負担増加」等の悪循環が生まれてしまうばかりです。

介護業界に「ゴネ得」が多い理由

結局、介護士が足りない問題

こうしたゴネ得がまかり通ってしまう背景には、やはり「介護士不足」という最大の問題が立ち塞がります。

人手が足りない介護現場では、上のように「退職」という言葉をチラつかせるだけで意見が優遇されるケースも少なくありません。

そしてその言葉に振り回される上司、管理者が多くいます。

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管理者のマネジメント能力の問題

そしてもう一つの問題が「管理者のマネジメント能力」の問題です。

介護士不足の中「辞められては困る」という発想のもと強気に出辛い環境がある事は十分に理解できます。

ただし、ただ言われるがままに対応するのではなく「折衷案を検討し、周囲の介護士とのバランスを考える」という当たり前の事をせずして管理職は務まりません。

「耳を傾ける事」と「言われるがままに対応する」というのでは雲泥の差ですからね。

この当たり前の事が当たり前にできていない介護現場が多く存在するというのも今の介護業界の大きな問題です。

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ゴネ得を認め続けた介護施設の末路

最後にゴネ得が招いた介護施設の末路について、紹介したいと思います。

①介護士の給与交渉
「給与を上げてもらえないなら、友人の職場に転職します」

②特定職員だけ給与UP
「わかったよ、何とかするけど絶対に他の介護士には言わないでね」

③優遇した事実が一部の介護士に噂として広まる
「〇〇さんだけ昇給タイミングでもないのになぜ給与が上がるんですか??」

④第2第3の給与交渉が開始
「私も上げてもらえないなら辞めます」「私も…」と

⑤第2第3の声を上げた職員も給与UP
「もう絶対に他の介護士には言わないでね」

⑥でも結局噂は広がり、見かねた優秀な介護士が大量退職
「黙って頑張っている人が損をする職場では働き続けられません」

⑦10名以上の介護士が退職し最終的に事業はストップ

このように「ゴネ得」は次の「ゴネ得」を生み出します。

同時にゴネずに黙って頑張っている介護士は、愛想を尽かして去っていきます。

これが行き当たりばったりでゴネ得を認める介護施設の末路です。

問題の多い介護施設だからこそ、こうならないようにしっかり見通しを立てた対応が求められるのは言うまでもありません。

「介護施設のゴネ得について」のまとめ

繰り返しますが、ここまで書いてきたような「ゴネ得」の事例は、あくまでも最悪のケースです。

ただし、多くの介護現場ではこうした「ゴネ得」の予備軍となるような対応が行われているのも事実です。

もちろん中には、単純なゴネ得ではなく「家庭事情から勤務時間を優遇しなければならない」「体調の事情から業務内容を優遇しなければならい」等々、個別での対応や相談に乗らなければならない場面もあろうかと思います。

大事な事は、そうした事情をどのように捉え、時にはどのように説明し、理解ある職場を作り上げていくことができるかどうかです。

また不満の声に耳を傾けながらも、常に声を発する特定の個人だけでなく、職場の問題だとして、職場全体に目を向け改善を目指す必要があります。

介護士不足の環境下において、こうした調整は時に非常に難しいものとなります。

ただし問題に対して、こうした根底の立ち振舞なくして、介護士が満足して働ける職場環境は構築されないと言っても過言ではないのでないでしょうか。