こんにちは「介護コンサルをしながら、現役介護士を両立」がモットーのごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
介護士の仕事と言えば、「きつい・汚い・危険」の3K
これに限らずとも
「介護士」=「肉体労働」
としての側面が注目されがちです。
事実、介護士の仕事において「肉体労働」としての観点は切っても切れないものです。
ただし、その一方で現代の介護士にとって「体力」以上に必要なもの、それが「忍耐」を中心とした「感情コントロール」だと、私は介護現場に関わる中で常々感じてきました。
言い方を変えれば「介護士は肉体労働である前に感情労働」だという事です。
だからこそ、同時に感情をコントロールする力、更には我慢する力、最終的には聞き流す力が大事だと私は考えています。
そんなわけで、今回はこの「介護士の感情労働」を切り口に記事を書いていきたいと思います。
「感情労働」とは?
そもそも、皆さんは「感情労働」という言葉を聞かれた事がありますでしょうか?
私が愛用しているWikipediaでは以下のように説明されていました。
「感情労働」とは、感情が労働内容の不可欠な要素であり、かつ適切・不適切な感情がルール化されている労働のこと。肉体や頭脳だけでなく「感情の抑制や鈍麻、緊張、忍耐などが絶対的に必要」である労働を意味する。
(引用元:Wikipedia)
要は肉体や頭脳といった「能力」だけでなく、「感情のコントロール」が必要な仕事だという事です。
それだけ「精神的なストレス負荷の高い労働」だということができます。
「正に介護士…」と言ったところでしょうか。
介護士が「感情労働」だと言える理由
では「なぜ介護士が感情労働だと言えるのか?」について、もう少し掘り下げてみたいと思います。
この点については、先日以下のようなTweetをし、多くの反響をいただきました。
介護士の虐待のニュースを見ていつも思う。
結局、介護士に最も必要な資質は、きれい事抜きにして忍耐力。どれだけ思いやり、優しさ、一生懸命さがあっても忍耐力が無いと、プツッと切れてしまう。
少なくとも今の介護現場の多くはそうした労働環境。— ごろにぃ@介護コンサル (@goronyi_kaigo) June 9, 2019
例えば「介護士の虐待ニュース」を見ていても感じませんか?
「虐待をしてしまった介護士」の職場での評判について
- 責任感の高い介護士だった
- 優しく穏やかな性格をしていた
- 体力もあり、率先して他の介護士の協力をしていた
このようにいわゆる、介護士に必要だと言われるような「責任感」「優しさ」「体力」等
といった資質を満たしていても「思わず手を出してしまう」「虐待をしてしまう」という事があるわけです。
なぜ虐待をしてしまったのか?
いくら「責任感」や「優しさ」という資質を持ち合わせていても、感情のコントロールや我慢が効かなければ思わず、手を出してしまう場面があるという事です。
要はそれだけ、介護士という仕事が精神的ストレスの高い仕事だという事です。
そうした意味では、一般的に言われる
「介護士は体力のある人がすべきだ」
「介護士は心の優しい人がすべきだ」
の前に
「介護士は感情のコントロールができる人がすべきだ」という事ではないでしょうか?
「感情労働」である介護士を継続するポイントは「聞き流す力」
ではこうした「感情コントロールが必須の介護士の仕事を継続する為のポイントは何なのか?」についても考えてみたいと思います。
まず、嫌な事や理不尽な事に対して、感情をコントロールする為の主な対策は2つです。
- 耐え続ける
- 聞き流す
①耐え続ける
まず1つ目の「耐え続ける」、すなわち「忍耐力を強化する」というのは、介護士になってから身につけようと思ってもそうは身につきません。
それこそ感情のコントロールの中でも「忍耐」というのは、人間にとって非常に難易度の高い感情コントロールであり、何よりも長続きしません。
だからこそ元々忍耐力の高い人でなければ、介護現場で起きる様々なストレスに対して真正面から対応する事はできません。
結論:介護現場での心身のストレスを「耐え続ける」には限界がある
②聞き流す
そうした時に大事になるのが、この2つ目の「聞き流す力」です。
- 利用者さんの理不尽な要望
- 利用者さんからの暴言
- 上司の「過度なサービス精神」
- 同僚のネガティブな声
こうしたものの全てに真正面から向き合い、我慢し対応していてもすぐに限界がきます。
だからこそ「必要なもの」「聞くべきもの」「考えるべきもの」というのをしっかり切り分けて、必要の無いものは雑音だとして聞き流す事が大事だったりします。
逆に聞き流す事ができない介護士が
- 理想ばかりを追求したキラキラ系介護士になる
- 無理をし過ぎて身体を壊す
こうした例は少なくありません。
真正面から向き合って、我慢してストレスばかりを助長するのでなく、聞き流す事も介護士として大事な力だと私は思います。
それこそ「聞き流す事で自分自身に余裕が生まれ、本来優先して行うべきサービスや業務に時間を割くことができる」という事も少なくありません。
最後に
いかがでしょうか?
ここまで書いた通り、介護士の仕事は「感情労働」であるが故に気持ちのコントロールが何より必要になります。
そしてその為には、新たに忍耐力を身につけるだけでなく「聞き流す」という発想が非常に大事になります。
様々な「利用者さんの声」「上司や同僚の声」を時には聞き流せば良いと開き直り余裕を持つ事が介護士キャリアを継続する上では、大事なポイントになったりもします。
ただし同時に、これは今の介護業界の問題を映し出しているとも言えます。
「強い忍耐力」「聞き流す力」が無ければ、今の介護業界を生き抜く事はできないという事です。
それだけ負荷の大きな介護現場をどのようにストレス軽減していくのかについては、介護士個人としての問題だけでなく、業界の課題として考えていくべき事だと言えます。