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「気温5℃の雨の中、利用者を屋外放置」これは問答無用にアウト

こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。

私は、新卒で介護業界に飛び込み11年間介護現場や管理職を経験してきました。
その後、転職コンサルに5年間従事し、現在は介護コンサルをする傍ら、介護現場で介護士としても現場のお手伝いをさせていただいています。

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それでは早速本題です。

またまた介護業界に残念なニュース。
「北海道のグループホームにて、気温5℃の雨の中、車椅子の利用者さんを屋外放置」という事件が発生。

これは意図的に行われたもので、完全に虐待以外の何ものでもありません。

今回はこの事件についての、私なりの考えと、一部の介護従事者の理解し難い反応について、まとめていきたいと思います。

 

北海道のグループホームにて、気温5℃の雨の中、車椅子の利用者さんを屋外放置

まずは事件の概要について、下記の引用を御覧ください。

90代女性を屋外放置疑い ホームの施設長再逮捕 北海道警

北海道警門別署は14日、認知症グループホームの90代の女性入所者を屋外に置き去りにしたとして保護責任者遺棄の疑いで、日高町清畠、グループホーム施設長、宗京みどり容疑者(55)=傷害罪で起訴=を再逮捕した。

再逮捕容疑は4月5日午前8時50分から午前9時半ごろの間、町内のグループホームの正面玄関近くに女性を置き去りにした疑い。

門別署によると、宗京容疑者は容疑を認めている。当日は雨が降り気温は約5度だったが、女性が体調不良になることはなかったという。宗京容疑者は7月、入所者の80代男性に暴行を加えたとして傷害の疑いで逮捕、今月起訴された。

(引用)産経新聞

 

虐待や暴力が慢性化していた可能性

こちらの記事の通り、引用記事は「利用者さんを屋外に放置した件」での再逮捕の記事となります。

ちなみにこの施設、更には施設長にも過去に別件の逮捕や疑いが掛けられています。

【過去の本施設での事故(疑い)】

  1. 2016年に元職員4人から「施設で虐待があった」と町に通報
    ➡調査の結果、町が業務改善を求める勧告
  2. 2019年4月に施設長が利用者の屋外放置(本記事内容)
    ➡③の事件で逮捕の後、再逮捕
  3. 2019年7月に施設長が利用者の顔を殴り怪我
    ➡施設長が逮捕

今回の再逮捕をきっかけに取り上げられた本件、ただし過去の経緯だけでも上記のように利用者さんへの対応について、日常的に問題を抱えた職場であった事が伺えます。

 

施設長が率先して虐待をしていた可能性

そして何より驚きなのは、今回の事件で逮捕・再逮捕されたのがいずれも施設長自身だという事です。

「施設長なのに…」という言い方をすると「施設長だって人間だ」というようなブーメランが返ってきてしまいそうな気がしますが、やはりそれでも施設長は施設長です。

ご存知の通り、介護現場に限らず対人業務においては、相手に振り回されたり、理不尽な対応を受けたりと、許容が難しい場面があります。
でもだからこそ、施設長を始め、管理職がそうした現場のストレスや状況を理解し、暴力での報復という最悪の形以外での発散先であったり、改善策を模索しなければなりません。

残念ながら今回のケースでは、そうしたコントロールするべき施設長自身が暴力や虐待に出てしまうという残念極まりない例です。

 

この事件でも身内を守る介護従事者への違和感

このように、施設長を始めとして施設自体が正しく機能していなかったと思われる今回の事件。

そしてこうした事件が起きる度に囁かれるのが「介護従事者同士での身内養護の声」です。

今回の事件でもインターネット上やSNSでも以下のような声を目にしました。

■インターネットやSNS上での一部の介護士の声

  • 介護士は大変な仕事なのに、こんな時ばかり攻撃されて割が合わない
  • 一般家庭でも、そもそも虐待なんてあるでしょ
  • 利用者にも問題があったんじゃないか?

大半の声は「こんな事あってはいけない」とバッサリ切り捨てるような声ですが、やはり中にはこうした声が聞こえてきます。

私自身そうした声について、共感が全くできないわけではありません。

  • 実際に介護士の仕事は本当に大変で、自分の気持ちが抑えきれなくなりそうな事がある
  • 確かに介護施設の虐待ばかり取り上げられるが、一般家庭ではそれ以上の割合で虐待が起きている
  • 本ケースについても、もしかしたら利用者自身にも暴力があったりと、利用者側の問題もあった可能性がある

これらは全て事実ですし、取り上げられていない背景には様々な可能性が潜んでいます。

 

ただしいつも思うのは、こうした「事件が起きてしまった事」と「日常の大変さや介護士の不遇」は別問題として語った方が良いのではないかということです。

やはりいかなる理由があろうとも「利用者さんへの虐待はNG」であり、虐待行為を介護士は大変だから仕方ないという理由で片付けつけることはできません。

大前提のその事を理解した上で、やはり介護従事者はケアに望むべきだと個人的には考えています。

反対にこれを許容できないのであれば、やはり介護士として仕事を離れるしかないと思います。

 

改めて今回の事件を通じて感じる事

こうした事件が起きる度にみなさんはどう感じられるでしょうか?

やはり私には、いくら介護士が大変でストレスがかかる仕事だとしても、介護士の暴力や虐待を認める事はできません。

もちろん正しい背景の理解がされずに、介護士だけが責められる構図を良しとしたいわけでもありません。
ただし、暴力を振るったこと、虐待をしたこと等とは別問題として介護士の職場環境の問題は存在している事を理解する必要があるのではないかと思います。

これは、職場の問題であり、業界の問題であり、さらには国問題です

  • 介護士を取り巻く環境に大きな問題がある
  • そして介護士の現状理解は、それほど進んでいない

繰り返しますが、こうした「介護士の労働環境に問題があるということ」と「虐待をしてしまうということ」を別の事として、捉えない限り「虐待しても仕方ないよね」と言うかのような風潮に捉えられてしまいかねません。

まず第一にこうした事件があった場合、事件について問題視する姿勢が必要で、何が問題なのかを考える必要があると思います。

こうした当たり前に、暴力を認めててはいけないという風潮が介護業界にあった上で、それでもなぜそれが起きたのか?介護士はどんな目にあっていたのか?を考えるべきだと私は考えます。