あるある

上司の「それ前も言ったよね」は、残念ながら効果ゼロです

こんにちは、ごろにぃです。

私は、新卒からこれまで約15年の間に「介護現場」→「現場管理職」→「転職コンサル」と経験を重ね、現在は介護コンサル会社に所属しながら、介護士として現場のお手伝いもさせていただいています。

このブログでは、そんな私自身の経験や考えについて、個人的な見解として発信させていただいています。

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それでは早速本題です。

介護現場に限らずとも、仕事をしていると多くの人が一度は耳にした事がある言葉

  • 「それ前にも言ったよね」と指摘する上司
  • 「それ前にも言ったよね」と指摘される新人や部下

多くの職場でこの「前にも言ったよね」という何とも解釈の難しい指摘?指導?が飛び交います。

私自身も何度も同じ質問をする相手に対して「それ前にも言いましたよね?」と、ついつい指摘をしたくなるような場面があります。

また逆に、介護現場での新人の頃は「前にも言ったよね」と指摘を受けた事もあります

でも残念ながら、この上司から部下への「前にも言ったよね」という指摘、意味がありません。

それどころか逆効果になる事の方が多いのではないでしょうか?

今回は、この「前にも言ったのよね」が、なぜ無意味なのか?なぜ逆効果なのか?を中心に、この言葉の効果について考えてみたいと思います。

 

「前にも言ったよね」は効果をもたらさない上司の感情表現

まず、私自身の結論から。
冒頭にも書いたように、私はこの「前にも言ったよね」という言葉は、仕事上でのデメリットしかうまない無駄な言葉だと考えています。

理由はシンプルです。
私の経験上「前にも言ったよね」と、上司が部下や新人を指摘したところで、物事が解決の近道なる場面をほとんどみた事がありません。

実際、「前にも言ったよね」と言う上司の心理としては、せいぜいこんなところです。

  • 「一度で覚える事ができない人間は馬鹿だ」という考え
  • 「何度も聞いてくるな」という煩わしさ
  • 「なぜ忘れるんだ」という驚きや謎

ただの感情であり、何かが好転する要素はありません。

だからこそここで生まれるものは、言った「上司の感情発散」と言われた「部下や新人のプレッシャーや不満」だけです。

むしろ結果的に、部下は上司に質問や相談しづらくなり、上司と部下のコミュニケーションの壁を設ける事になりかねません

大事なことは「前にも言った」という事実ではなく、「なぜ理解が追いついていないのか?」「なぜ忘れているのか?」をしっかり整理し次に繋げる事です。

 

「前にも言ったよね」は、必要以上に部下のストレスとなる

それでも皆さんの周りにもこの「前にも言ったよね」を振りかざす上司が少なからずいるのではないでしょうか?

私もつい先日、以下のような場面に遭遇しました。

 

このような「前にも言ったよね」と吐き捨てて終了は最も最悪な例です。

そしてこのような対応をする上司に限って「なぜ相手が覚えていないのか?なぜ相手に伝わっていないのか?」について、整理するどころか、言いっぱなしになっています。

一方言いっぱなしにされた部下は、「いい加減にしろ!」「お前は馬鹿なのか?」等、過度な叱責を受けたと感じます。

上司にしたら「ちょっと小言を…」くらいの気持ちかもしれませんが、こうした言葉に不安やストレスを覚え、心理的なダメージを負う部下は少なくありません。

この「前にも言ったよね」という言葉に対して、真面目な人ほど心身をすり減らして受け取っていたりするものです

 

そもそも「人は忘れる生き物」だという事を理解するべき

こうした無駄なコミュニケーションを排除す為には必要な事は、まず「人間は忘れる生き物」だという事を再認識する事です。

人の記憶に関する調査としては、有名なものとしてはドイツの心理学者である、ヘルマン・エビングハウス提唱している「忘却曲線」というものがあります。

「エビングハウスの忘却曲線」とは・・・

無意味な音節を被験者に記憶させた上で、時間の経過に応じてどの程度、人間は忘れていくのかを調査

その結果

  • 20分後には42%を忘れ、58%を覚えている。
  • 1時間後には56%を忘れ、44%を覚えている。
  • 1日後には74%を忘れ、26%を覚えている。
  • 1週間後(7日後)には77%を忘れ、23%を覚えている。
  • 1ヶ月後(30日後)には79%を忘れ、21%を覚えている。

こうした調査結果が得られた。

もちろん「無意味な音節」と仕事上での指示や指導では、記憶に与える影響が別モノです。

ただしこのように「人は忘れてしまう」という事を理解しておく必要があります。

それこそ「一度言ったから全て伝わっているはず」というのは、伝える側のおごりだと考えるべきかも知れません。

 

「前にも言ったよね」発言が自分の首を絞めている事も少なくない

繰り返しますが、人は忘れる生き物です。

だからこそ時には当然上司自身も、忘れる事があります。

その為、当たり前に「前にも言ったよね」と指摘する上司自身が、他の場面では忘れてしまっているという事もあります。

もしかすると、声としては聞こえてこずとも部下や周囲から上司自身も「あの人は他人や部下には前にも前にもと言うのに自分はどうなんだろう・・・」等と嘆かれているかもしれません。

ちなみに部下が上司を嫌うパターンの一つに「上司が指摘しているにも関わらず、上司自身ができていない」というものがあります。

まさにこうしたパターンになり得るわけです。

 

大事な事は「伝え方」「受け取り方」を見直す事

結局人は一度では全てを記憶しきれないわけです。

それでも伝える側は一度で伝える努力、受け取る側は一度で受け取る努力をする姿勢が大前提に必要です。

だからこそ上司は「伝え方」を見直し、部下は「受け取り方」を見直す必要があります。

自分の伝え方は適切かどうかを見直す

伝える側は「前も言ったよね」ではなく、まずは自分の伝え方や伝える姿勢について考えを改めるべきかも知れません。

  • 丁寧に時間を掛けて説明ができているか?
  • 相手の目線で説明できているか?
  • 相手の理解度を確認しながら話ができているか?

自分の受け取り方は適切かどうかを見直す

伝えられる側も同様に、「一度では覚えられるはずはない」ではなく、覚える・理解する努力が必要です。

  • メモを取るなど、受け取りの準備ができているか?
  • 不明点を確認しながら受け取る事ができているか?
  • 自分で確認ひとつせず、無闇矢鱈に質問していないか?

受け取り側にもこうした当たり前の受け取りの姿勢が必要です。

 

最終的には余裕を持ってコミュニケーションを取ることが一番大事

そして最終的にも最も大事な事はコミュニケーションに余裕を持つことです。

「何でわかってくれないんだ?」と相手の事を嘆く前に、記事内でも書いたとおり「伝える為の努力」が必要です。

そして受け取る側には「受け取る為の努力」が必要です。

それでも人と人が伝達行動を行う上で、一度で完璧とは行きません。

その事を十分に理解し、感情的になるのでなく、余裕をもって受け止める必要があります。

だからこそ時には2度・3度同じような質問があっても、快く答える余裕も必要かも知れません。
その際、大事な事は「前にもいったよね」ではなく、相手がなぜもう一度聞きに来ることになったのかを確認し、場合によってはアドバイスしてあげることです。

感情的になるのでなく、心に余裕をもち目の前の状況を改善させる事にだけ集中する事です

それこそこうした健全なコミュニケーションができれば、結果的に上司部下としてのコミュニケーションも円滑になるものです。

「前にも言ったよね」が口癖になっている方、ぜひ一度見直してみてください。

この言葉一つが意外に部下との良好な関係性の切口となるかもしれませんよ。