労働条件

【ケアマネは儲からない説】今後のケアマネはどうなる?

みなさんは、ケアマネにはどんなイメージをお持ちですか???

現在ケアマネをしながら、このブログを見ていただいている方もいるかも知れませんね。

介護職だったりすると「キャリアアップでケアマネを考えています!」という方も多いのではないでしょうか?

また介護現場にいるとケアマネの業務が見えやすい反面、詳細まではわからないだけに、業務の様子を見て何となく「ケアマネは楽だ」「ケアマネは口を動かすだけだ」等々、ネガティブなイメージを持っている方もいるようです。

給与面でも「実はケアマネは儲からない」そんな声を聞いた事がある人も多いのではないでしょうか?

今回はその辺りを中心にケアマネの実情について、書いてみたいと思います。

ケアマネの給与事情

「キャリアアップ・給料アップの為にもケアマネを!」なんてお考えの方であれば、興味があるかと思います、ケアマネの給与事情。

よく夜勤がない分、ケアマネになっても給与は上がらないなんて言ったりしますが、実際どうでしょうか?調べてみました。

(厚生労働省発表の介護職員の処遇に関する調査より)

ケアマネの平均給与

■2016年9月:337,500円 ⇒ 2017年9月:345,820円  (昇給額8,320円)

介護職の平均給与

■2016年9月:281,250円 ⇒ 2017年9月:293,450円  (昇給額12,200円)

※抽出条件
①金額は額面(基本給+手当+賞与+残業代)構成で、賞与は6ヶ月分を6分の1にして組み込み
②対象施設は「特養」「老健」「介護療養病床」「グループホーム」の計3,324施設 とのこと

これだけ見るとやはりケアマネは介護職と比べ給与が高く、金銭面からは魅力的ですね!

でもちょっと待ってください。その一方で注目してもらいたいのが、この1年間での「介護職」「ケアマネ」それぞれの昇給額です。

まずケアマネは8,320円の昇給に留まっているところ、介護職は12,200円の昇給と介護職がケアマネを大きく上回っている事が見て取れます。

ここには、近年の介護職不足が起因しています。人手不足の背景から、業界全体的に介護職の処遇改善に力が入れられている事はみなさん承知のところではないでしょうか。

そして更にそこにプラスαの施策が練られいます。先日もブログで書きましたが、現在審議されている「経験10年の介護福祉士の月8万円の処遇改善」です。

【2019年10月】10年経験の介護福祉士に月額8万円の処遇改善!これって信用して大丈夫??最近ニュースでも徐々に取り上げられる事が、多くなってきた2019年の介護福祉士の処遇改善手当。 先日Twitterでも多くの反響を...

これらからも明らかなのは、国は介護業界の中でも特に介護職にスポットを当て処遇改善を試みているという事です。
※詳細は記事をお読みいただければ、わかりますがケアマネが一部恩恵を受けられる可能性もあります。

実際、仮に月額8万円の昇給原資が全て介護職に使われた場合、対象となる介護職の平均月収は間違いなくケアマネの給与を超えることになります。

そうした意味では、2019年10月以降は介護職がケアマネの給与を上回るのが当たり前になる光景も十分に想定できます。

ケアマネの離職率・業務の実態

給与は今にも介護職に追い越されてしまいそうなケアマネ...でも肝心の業務内容としてはどうでしょうか?

実際デスクワークも多く一見「楽なのでは?」と誤解を与えるかもしれませんが、実は介護職より離職率が高いというデータがあります。

 

(介護労働安定センター調査より)

ケアマネの1年以内離職率:19.7%

介護職の1年以内離職率:17.8%

 

このケアマネの方が離職率が高いというデータは正直、個人的には意外でした。

さらに掘り下げて「介護事業開始後の経過年数」別でみると、開設2年以内の職場では、ケアマネの離職率が30%を超えています。

立ち上げ時の負担は介護職にも言えることですが、それだけ体制が整っていない中でのケアマネ業務の負担は大きいのが伺えますね(泣

また、ケアマネは資格の特性上5年ごとの更新が必要で、都度出費を要す上に、勉強時間の確保が必要だったりと、煩わしさ等からケアマネを辞める方も多いとも言われています。

肝心の業務内容もケアプラン作成だけでなく、認知症問題や老老介護問題、虐待、経済的事情等々、制度のみではなかなか解決出来ないような問題への対処を余儀なくされる場面も多々あります。

職場環境によるとは言え、私個人の経験からも結構ハードな内容が求められることがわかります(苦笑

更にはこうした業務内容だということもあり、残業時間も長い傾向で、月末月初の1日当たりの残業時間が3時間を超えるというケアマネが6割以上だというデータもあります。

本来なら利用者目線で問題をじっくり解決する必要があるものでも1人あたりに課されるケアプラン数がそれなりにある中で業務と時間のコントロールが難しいのも事実だと思います。

最後に

現状の給与面については、介護職を上回っており、介護業界においては魅力的な給与と言えるケアマネ。(あくまで介護業界での話です)

しかしこれからは、国の介護職に特化した処遇改善の結果、介護職の給与がケアマネの給与を上回る光景が当たり前になるのは、ほぼ確実だと思われます。

ただこの状況、個人的に大きな問題だと思っています。

私自身も経験がありますが、ケアマネは明らかに介護職プラスαの知識や経験が求められる職種です。また資格取得の難易度や更新コスト等、介護職以上に資格取得においても負担の大きいものであるのは間違いありません。

お金がが全てとは言いませんが、その専門性が正しく対価として評価されないのであれば、仕事へのモチベーションやキャリアアップを志す上で大きな足かせになる事は間違いありません。

介護職不足の観点からも介護職の処遇改善が進められるのは当然の事だと思いますが、同時に専門性の高いケアマネを正しく評価することが、業界全体の活性化に繋がると考えています。

逆にそれができなければ、業界自体に見切りを付けてしまう方も出てしまいかねません。

目先の介護士不足だけに目を奪われるのでなく、しっかり業界全体に目を向ける事を国にお願いしたい、そして目先の介護職の数確保でなく、業界向上を見据えた打ち手を考えてもらいたいと願うところです。

同じ介護業界の職種として、介護職もケアマネもより世間に認められより働きやすい環境に改善される事を期待します。