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【介護士あるある】介護現場で生まれがちな負の連鎖を5選

こんにちは「介護コンサルをしながら、現役介護士を両立」がモットーのごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。

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介護現場で仕事をしていると
「どうしてそんな対応を取るんだろう?」
「目先の対応に追われすぎじゃないか?」等
本来は、介護現場の環境改善を目的としたはずの打ち手が、悪循環し介護現場にネガティブな形で跳ね返ってくるという事も少なくありません。

今回はそんな「介護現場の負の連鎖特集」として5つの例を元に掘り下げて記事を書いてみたいと思います。

その1「採用基準の甘さ」が招く、介護士レベルの低下

多くの介護現場は「介護士不足」に頭を抱えています。
その結果、我慢できずに「採用基準を下げる」という対応を取る介護施設も少なくありません。
ただしその結果が大きな悪循環のスタートになる事も少なくありません。

①「介護士欠員」で求人をかける
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②世の中の介護士不足で「良い応募者が来ない」
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③仕方なく採用基準を下げ「難あり人物を採用」する
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④難あり職員が、入社後に現場をかき乱す
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⑤状況に呆れて「良い介護士・まともな介護士」から退職
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⑥①に戻って採用活動スタート

このように人手不足が故に「難がありそう」「不安がある」という人物を妥協で採用してしまう事で、現場が混乱に陥るというのは介護業界では珍しいことではありません。
どれだけ良い職場であったとしても1人の問題職員が加入するだけで現場環境は大きく変わります。

その2:「無理な引き止め」が招く、ブラック企業認定

介護現場では、採用だけでなく「介護士の退職」についても大きな問題です。
それだけに退職の申し出に対して、ついつい過度な引き止めをしてしまいがちです。
ただし「過度な引き止め」や「退職者を不快にする引き止め」を行った結果、誰も寄り付かない介護施設になり下がる事も少なくありません。

①介護士から「辞めたいです」と退職の申し出を受ける
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②上司が「利用者さんを裏切るの?」「他じゃ通用しないよ?」等の罵声を浴びせながら過度な引き止めを行う
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③退職希望者に「不快な思い」をさせる事はあっても、退職意思は変わらず
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④無事退職後、退職者が「あそこは最悪だった」とネガティブな噂を広める
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⑤地域でのブラック施設に認定

このように退職希望者を無理に引き止めても逆効果になる事が少なくありません。
それこそ「多くは職場に不満があり退職する」わけですから、更に不快な引き止めをしてしまっては「傷に塩を塗る」ようなものです。

中にはこうした強引な引き止めに屈して、退職を撤回する介護士さんもおり、管理者側も味をしめるというような事もありますので、質の悪い問題です。

ただし、一度ブラック施設として認定を受けてしまうと横の繋がりが強い介護業界では大きなダメージを負うことになります。

その3「管理職の理解不足」が招く、介護事故

また介護現場の状況をしっかり把握していない管理者が、欠員状態にある介護現場を見て「何とか回せている」と無駄にポジティブに受け止めてしまう事による悪循環も意外によくあります。

①突発的な「介護士の退職」が発生
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②直ぐには人員補充は間に合わず
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③その間、不足した人員環境で何とか介護現場を回す
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④その表面だけをみた管理者が「この人員でもいける」と判断
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⑤人員補充をストップし、現場が疲弊
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⑥当然サービスのレベルは低下
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⑦最悪事故に繋がる

このように管理職層が介護現場の状態を正しく把握できていないと「ただ1日が終わっていく」のを見て「現場は回っている」と勘違いするケースも少なくありません。
当然そうした人員不足の中でのケアは、介護士を疲弊させ、最悪事故にも繋がり兼ねません。
法令の人員基準を守ることは当然ながら、しっかり現場それぞれに応じた適正なコンディション把握は非常に大事なポイントです。

その4「方針の先走り」が招く、介護士の負担増

「現場理解の不足」と似通ったものではありますが、特に大手の法人等で起きがちな「方針」だけが先に降ろされ、解決策を持たない介護現場がそのしわ寄せを受けるというようなケースも少なくありません。

①「サービス残業を無くそう」と撲滅運動がスタート
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②当然、今までのサービス残業が全て残業時間に換算
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③残業代上昇を見かねて、「残業時間削減運動」がスタート
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④ただし方針だけの先走りで「人員補充」や「業務改善」は行われず
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⑤残業時間の縛りだけが厳しくなる
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⑥残業申請がしづらくなり、サービス残業が復活
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⑦①に戻り、サービス残業が問題視

このように具体的な解決策がないまま、結果や方針だけを掲げても、結局その負担は現場に降りてきてしまいます。
問題を解決しようとする姿勢は大事ですが、方針を掲げるだけで解決するほど、どの介護現場も余裕がないというのが実情でしょう。

 

その5「一部への優遇」が招く、介護現場の混乱

また行き当たりばったりの対応が多い介護施設は、その場しのぎでの「一部職員への優遇」が行われるケースも少なくありません。

①待遇に不満を持つ介護士から退職の申し出
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②「特別に給与を優遇する」と約束し、口止めの上で引き止め
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③ただし、その優遇が周囲にバレる
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④周囲からはゴネ得に対しての不満の声が頻発
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⑤優遇を受けている介護士は働きづらくなり結局退職
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⑥周囲の職員も正当な評価がされないならと退職

このように一部の介護士を優遇し始めると、例え口止めしても往々にして情報は漏れてしまいます。
そして現場での不平等間はダイレクトに介護士のモチベーションに影響してしまいます。
いかに管理職が側がフラットな立場にいるかというのが非常に重要になります。

結局、全ての原因は行き当たりばったりな対応

いかがでしょうか、みなさんの介護現場でも一度や二度は同じような負の連鎖を見たことがあるのではないでしょうか?

こうした負の連鎖に共通するのは、どの介護現場も余裕がなく、目先での行き当たりばったりの対応をしてしまうという事です。
本来は余裕がないからこそ、これ以上追い込まれないように長期的な目線を持つ必要です。
ただしそれが理想と化しているのが、今の介護現場だと言えます。

こうしたケースを見る度に「介護現場に人的余裕、精神的余裕を」「管理職のレベルの向上を」と切に願わざるを得ません。

介護現場に幸あれ。