こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
私は、新卒からこれまで約15年の間に「介護現場」→「現場管理職」→「転職コンサル」と経験を重ね、現在は介護コンサル会社に所属しながら、介護士として現場のお手伝いもさせていただいています。
このブログでは、そんな私自身の経験や考えについて、個人的な見解として発信させていただいています。
ちなみにそんな元転職コンサルでもある私、ごろにぃがオススメしている転職サイト(エージェント)が、しろくま介護ナビです。
「ホワイトな介護現場の求人のみをピックアップする」をテーマに「しろくま」と命名され、新聞にも取り上げられる程の転職サイトです。
ブラックと言われる介護業界に一石を投じるサポート方法で、私自身も自信をもってご紹介しています。ぜひご参考に。
それでは早速本題です。
先日、以下のようなTweetをさせていただいたところ多くの反響をいただきました。
介護士不足がピークに陥ると
「いないよりはマシ」
という考えで、誰でも構わず採用する法人がある。それも結構な割合の法人で。
その後の結末には、現場の悲劇しかない。
現場での負のスパイラル原因の多くは採用段階。
— ごろにぃ@介護コンサル (@goronyi_kaigo) March 11, 2020
要は、いくら介護士が不足していたとしても「いないよりはマシ」という採用基準で、誰でも構わず採用する事は、介護現場にとって、更には法人にとって大きなリスクになるという事です。
今回はこの「いないよりはマシ」という採用基準が招く負のスパイラルについて解説していきます。
「いないよりはマシ」とはどのような思考から生まれる?
まず初めに、この「いないよりはマシ」という判断はどのような状況・思考から生まれるのかについて、説明していきます。
まず事の発端は言うまでもありません。「介護士が足りない」という状況が全てのスタートです。
その結果生まれる事象として
- 新規利用者の受け入れができない
- 現場が業務過多となり、事故リスクが高まる
- 現場の不満が膨らみ、更なる退職を生む
こうしたものが上げられます。
経営の側面としても、現場の側面としても、介護士という人的リソースが大事な介護現場においては「介護士不足」というのは死活問題です。
だからこ「採用を強化しよう!」と頑張るも多くの介護施設では、そう簡単に採用は進みません。
そこで行き着くのが「いないようりはマシ」だとする採用判断です。
- 面接時から明らかに問題のありそうな応募者を採用する
- 「すぐに辞めそう」と感じながらも採用する
- 明らかに経験者でなければ対応できない環境にも関わらず、完全な未経験者を採用する
これらのように「まずは採用」という部分をゴールにしてしまうわけです。
もちろん多くのケースで採用する法人側も「リスク」を承知しています。
ただし目の前に広がる介護士不足、そしてそこから生まれる弊害の大きさをわかっているからこそ無理して採用をしてしまうわけです。
介護業界で「いないよりはマシ」が生まれやすいのは、応募者の質にも問題がある
またこの「いないよりはマシ」という採用基準が介護施設で生まれやすいのは「応募者の質」にも問題があります。
「仕事に対しての取り組み方」や「人間関係の構築方法」等、人と連携して働くという上で明らかに問題のある人が介護業界には多く応募してきます。
例えば
- 面接を無断ですっぽかす
- 無断欠勤、無断遅刻をする
- 無責任な仕事の進め方、辞め方をする
- 人間関係を掻き乱す
これらのように「仕事ができる・できない」の前に、取り組み方に問題があるような方は、もちろんどの業界にもいます。
ただしその割合が介護業界への応募者には多い傾向にあります。
その背景には、異業種では採用されない人であっても「介護だったら採用される」という発想・イメージがあります。
そしてそうした質の悪い応募の多さが採用担当者の採用基準を狂わせ、「いないよりはマシ」と言われるような人を採用しやすくしていたりもします。
「人員体制を何とかしなければならない」一方で「応募者には、いないよりはマシというような方多いという事実」この物理的環境かで、四苦八苦している法人・採用担当者は少なくないのではないでしょうか。
採用時の「いないよりはマシ」は介護現場の「いない方がマシ」に置き換わる
そして問題の本質は、この「いないよりはマシ」という採用基準で採用された介護士が現場にうまくフィットしなかった場合です。
むしろ「いないよりは…」という基準である段階で多くの場合、現場にはフィットしません。
- 教える環境や余裕が無い中で、新人教育に時間が割かれてしまう、もしくは教育できない
- 真面目に働かない人がシフトに入る事で、既存介護士の仕事が増える
- 人間関係を掻き乱す人が入る事で、現場の調和が壊れる
- せっかく入社しても直ぐに辞めてしまい準備や教育が無駄になる
これらのように現場の負担を経験する為、サービスを良くする為のはずの採用が「いないよりはマシ」という採用基準の結果、逆噴射してしまうケースが少なくありません。
まさに「いないよりはマシ」という考えで採用されたはずが、現場で知らない間に「いない方がマシ」に置き換わっているようなケースは少なくありません。
それこそ、例えば教育環境が準備できないにも関わらず、未経験の介護士として採用されるようなケースにおいては、被害者は既存現場の介護士だけではありません。採用された側もある種被害者であり、まさにお互いが不幸になる事になりかねません。
これらのように「いないよりはマシ」という判断で、採用基準に満たない応募者の採用をする、自社の環境に見合っていない採用をするという事が、現場にとってプラスどころかマイナスになるケースは少なくありません。
「いないよりはマシ」の採用基準が招く末路
そしてこの「いないよりはマシ」という採用基準が招く最悪の結果が「既存の介護士が辞めていく」というものです。
基準が崩壊した採用により、しわ寄せは既存の職員に集約されます。
そして元々仕事のできる人、しっかり働いてくれる人、このような人であるほど、そのしわ寄せを強く受けてしまいます。
まさに「辞めてほしくない人が辞めてしまう」というあるあるの現象です。
いうまでもなくこのスパイラルに入ってしまうと抜け出す事が困難です。
- ミスマッチな新人介護士が増える
- その結果、既存の職員にしわ寄せがいく
- しわ寄せの結果、しっかり働いてくれていた既存職員が退職
- 既存職員退職の結果、職場に益々余裕が無くなる
- 結果、また「いないよりはマシ」という判断をしてしまいがち
この方程式を抜け出すには、どれだけ人に困っても確実に譲れない採用基準を明確にする事です。
目先が人手不足の状況だからこそ、選んでいる余裕がないという声も多く聞きますし、事実その通りだと思います。
ただしその採用基準の安易な引き下げが、負のスパイラルに繋がるリスクも十分に理解しておく必要があります。
理想だけで通らない採用環境だからこそ、採用努力を続けるとともに短期的な職場環境、長期的な職場環境をじっくり見極めていくしかないという事だと思います。