現場リアル

多くの介護士は、もう少し自己中心的に働くべきだと思う理由

こんにちは「介護コンサルをしながら、現役介護士を両立」がモットーのごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。

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「介護士の仕事」と言えば、多くの方が「利用者さんの生活を支える仕事」等と答えると思います。
これは言い方を代えると「誰かの為に行う仕事」だということですね。
(まぁ世の中の仕事の多くが当てはまる訳ですが…)

それだけに、ついつい介護現場では利用者さんへの対応が優先され、介護士自身の自己犠牲を強いられるというケースが少なくありません。
更に言えば、介護施設の経営者や上司が、利用者さん至上主義であり、雇用側が介護士の事を大事にできていないケースも多々あります。

ただしこれでは、余程の「奉仕の精神」が備わっていなければ、介護士の仕事は務まらないという事になってしまいます。

でもそんな介護業界はおかしいと思いますし、そもそもそれでは介護現場、更には介護業界が成り立ちません。
だからこそ、私は多くの介護士は、まず自分で自分の事を大切にし、もう少し自己中心的に仕事をするべきではないかと考えます。

今回は、この介護士自身がもう少し自分自身を大切にする必要性について、記事を書きたいと思います。

 

介護士の自己犠牲が目立つ「例」

まずそもそも多くの介護現場に多く溢れている自己犠牲について、いくつか例を上げて考えてみたいと思います。

介護士不足の中、利用者さんを人質にする介護現場

介護士の自己犠牲の一番の原因と言っても過言ではないのが、この「介護士不足」です。

介護士が不足している中、

  • 残業や休日出勤が余儀なくされる
  • 1人あたりの対応量(業務量)が増大する
  • 時間的拘束、心身の疲れにより、プライベートが崩壊する

このように、介護士不足を背景に自由を奪われ、現場で苦しむ介護士は後を絶ちません。

 

更に場合によっては、経営者や上司から介護士に対して

  • 「あなたが対応できなければ、困るのは利用者さんですよ」
  • 「あなたは利用者さんを見捨てるんですか?」
  • 「休みをとって同僚に申し訳ないと思わないんですか?」

こうしたコミュニケーションが繰り広げ、利用者さん、時には同僚を人質にとったかのような言い草で、上司が介護士を拘束するケースも珍しくありません。

こんな環境下で働き続けるのであれば、自己犠牲を強いられずにはいられません。

 

「利用者さん至上主義」に振り回される介護現場

また本来は介護士が足りているような介護現場でも「利用者さん至上主義」に振り回され、介護士自身が自己犠牲を被る事も少なくありません。

  • 利用者さんから暴言・暴力があっても相手はお客様、許容するべきだ
  • 対応の難しい利用者さんの要望でも、利用者さんの意向であるというだけで対応必須

これらのように「介護士の仕事は利用者さんの為に行われるべきものだ」という部分だけが切り取られ、その背景で起きている、介護士への負担を考慮されていないケースが少なくありません。

要望に答える裏側で介護士が苦しむ事例も介護現場では非常に多く見受けられます。

 

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「自分の事は二の次」だという刷り込み

上で挙げた例のように「介護士たるもの自分のことは二の次であるべきだ。」
こうした考え方が職場で刷り込まれ、洗脳されているような例も少なくありません。

数ある仕事の中から敢えて介護士を志した人の多くは、

  • 人の役に立ちたいという思いがある
  • 介護士が大変なのは大前提で、一定の覚悟がある 等

こうした元来の自己犠牲と直結しやすいマインドや覚悟をもって飛び込んでくる人が多い為、暗にこうした刷り込みが進み、「自己犠牲」が当然のものとして繰り広げられていきます。

こうした介護現場の環境や介護士自身の元来のマインドにが、介護士は自己犠牲の上でしか成り立たないという刷り込みを助長させます。

 

介護士はもう少し自己中心的になろう

いかがでしょうか?
みなさんは、こうした自己犠牲や過度な我慢を前提とするような環境で、仕事を続けたいと思いますか?

もちろん対価をもらい仕事をする過程では「我慢しなければならない事」「思い通りにいかない事」も許容する必要があると思います。
ただし多くの介護現場では、もしくは多くの介護士さんは、こうした許容する必要を超えて自己犠牲のもと介護の仕事をしていませんか?

そして残念ながら個人差はあれど、人間にも我慢のキャパシティがあります。

こうした自己犠牲や我慢を積み重ね、そのキャパシティを超えてしまった人が陥る結果は2つです。

  • 物理的に「身体を壊し、介護士を続けられなくなる」
  • 介護士の仕事が嫌いになり「自ら介護士を辞める」

ようは、キャパシティを超えた先に待っているのは、介護士としてのキャリアの終了です。

そうなる前にもう少し、自己中心的に、表現を変えればを自分を大事に、仕事をしなければ、遅かれ早かれ介護士を辞める事になります。

だからこそ、私は介護士が自己中心的になる事、自分を大事にする事を推奨しますし、そうあるべきだと考えます。

 

自分の為が相手の為になる事は多い

しかしながら、それでもなお

  • 自分はそんな事でダメにならない
  • 自分は利用者さんに良いケアをしたい
  • 奉仕や自己犠牲は好きでやっている

こうしたマインドを持ち合わせた介護士さんもいると思います。

でもそうした方はぜひ考え方や目線を変えててください。
しっかりと休養が取れた中であれば、

  • より仕事の効率が上げられるのではないか?
  • 利用者さんに対しても余裕をもって接する事ができるのではないか?
  • シンプルに元気よく対応できるのではないか?

これらのように自分の為にと、とった休息や目先の取捨選択が、結果的に良いサービスや業務向上につながる事があるのではないでしょうか。

極論ですが、
例えば有給の取得は、自分の為ではなく、良いサービスを供給する為だということです。
例えば利用者さんの目先の無理な要望を断る事は、長い目線で良いサービスの供給に繋がりるということです。

こうした自分を大事しながら働くことが自分に余裕を生み、よいサービスに繋がるという目線が介護業界にはもう少し必要だと感じます。

だからこそ、自分の為にも、利用者さんの為にも、利用者さんの為にも、介護士はもう少し自己中心的に、自分を大事にして良いのではないでしょうか。