こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
私は、新卒で介護業界に飛び込み11年間介護現場や管理職を経験してきました。
その後、転職コンサルに5年間従事し、現在は介護コンサルをする傍ら、介護現場で介護士としても現場のお手伝いをさせていただいています。
当ブログではそうした中での経験や思いについて、書き記していきます。
ちなみにそんな元転職コンサルでもある私、ごろにぃがオススメしている転職サイト(エージェント)が、しろくま介護ナビです。
「ホワイトな介護現場の求人のみをピックアップする」をテーマに「しろくま」と命名され、新聞にも取り上げられる程の転職サイトです。
ブラックと言われる介護業界に一石を投じるサポート方法で、私自身も自信をもってご案内しています。ぜひご参考に。
入り口から少し脱線しましたが、それでは本題です。
「介護業界での課題」について議論すると大半の介護事業所で話題になるのが「介護士の採用問題」
よくある例として
- 募集をしても介護士の応募が来ない
- ハローワーク以外の募集手段がわからない
- 採用にどこまでコストを掛けるべきかわからない
- 苦労して採用してもすぐに退職が出る etc
このような採用課題を抱える介護事業所は少なくありません。
今回はそんな介護事業所や採用担当者の方に向けて、介護業界の採用ポイントや考え方について記事を書いてみたいと思います。
介護業界の「採用環境への理解」を進めよう
まず始めに「採用が厳しい」と言う前に、介護業界全体の採用環境について、簡単に触れておきたいと思います。
介護業界の有効求人倍率は、もはや4倍間近
まず、介護業界の採用の難しさはこちらの数字をご覧いただく一目瞭然です。
厚生労働省:「介護人材の処遇改善について」よりhttps://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000406512.pdf
■介護業界を取り巻く採用環境
- 日本全体が労働者人口不足の課題を抱え、全産業の有効求人倍率が既に1.5倍
- 中でも介護分野は平均を大きく上回り、有効求人倍率3.5倍(平成29年)
- 今後さらに、上昇していくことが予測される
介護分野の有効求人倍率は4倍に届く勢いで上昇中
※参考:有効求人倍率とは「有効求人者数÷有効求人数」により、算出される
介護事業所は採用のスタンスを見直すべき
上記のように、どの角度から見ても介護事業所を取り巻く採用環境が非常に厳しいものであること疑いようのない事実です。
以前、以下のようなTweetをしました。
今時の介護業界で
・誰が雇ってやってると思ってるんだ?
・誰に飯食わしてもらってると思ってるんだ?こんな精神の経営者がいる法人で、うまくいってる介護事業所なんてないからね。
当たり前だけど、完全に需要と供給が逆転してる事を理解した方が良い。
— ごろにぃ@介護コンサル (@goronyi_kaigo) October 18, 2019
このTweetでも発信したように、「雇って上げている」という雇用者優位の時代はとっくに過ぎ去り、完全に需要と供給が逆転してしまっているのが今の介護業界です。
それにも関わらず、人材不足に悩む多くの介護事業所では採用に対してのスタンスに問題がある事に気づくことさえできていません。
人が足りない、人が足りないと嘆いている介護事業所に多いパターン
・根本的に採用を軽んじている
・待ちの姿勢で採用活動
・入社してもらうではなく、採用してあげているというスタンス
・入社がゴールで入社後はほったらかし— ごろにぃ@介護コンサル (@goronyi_kaigo) October 17, 2019
繰り返しになりますが、介護業界の有効求人倍率は4倍に迫っています。
要は介護業界における採用では、世の中に溢れる介護求人の4分の1の人数しか、介護就業希望者がいないわけです。
黙って待っていて応募者が来るはずもなく、むしろ介護士に選ばれるような介護事業所である必要があるのは言うまでもありませn。
介護士の採用環境は「採用してあげる時代」から「入社じてもらう時代」に当に変化している
介護業界での採用手段を解説
このように採用が難しい時代だからこそ「どのように介護士を採用するのか」という事が非常に大事な問題となります。
そして同時に「どのような採用手段があるのか」についてしっかり念頭におき、タイミングに合わせて使いわける事が非常に重要となります。
以下に、コストの側面から見た採用方法について4つに分類して説明してみたいと思います。
①ハローワーク等の無料媒体での採用活動
まず「採用」をイメージした時に多くの介護事業所が思いつくのが、このハローワークを始めとした「無料での採用」になるかと思います。
「タダに勝るものはない」とはよく言ったもので、介護業界においてはハローワークを活用した採用が最も重視される事が多いです。
その他にも、友人や他事業所からの紹介、自社のHPや最近ではSNSを活用した情報発信を通じて採用に力を入れる介護事業所も少なくありません。
■無料でできる採用活動(例)
- ハローワーク (参考)ハローワーク求人掲載の流れ
- 従業員や横の繋がりを活かした、友人・知り合いの紹介
- 自社のホームページやSNSを活用した自発的発信による募集 etc
当然無料ツールであるハローワークを使わない手はありませんが、一方で昨今はハローワークでの介護業界採用率が大幅に低下している状況です。
事実、ハローワークでは集客やマッチングができないとして、ハローワークが求人情報を人材紹介会社に開示に、助けを乞うような状況です。
もはやハローワークは採用で頼りになるツールというよりは「使わないより使った方が良い」という程度になりつつあります。
一方で工数は掛かりますが、昨今取り上げているようなSNSを中心とした自らをPRする機械を増やす事で採用に繋げている介護事業所も少しずつ増えてはいます。
マメに取り組みを続けられるような環境や人がいる介護事業所では、積極的に取り組む事も検討すべきかもしれませn。
ハローワークやHP、SNSは管理工数は掛かるものの、基本的には無料
やらないよりはやったほうが良い手段として、積極的に取り組む事を推奨
②掲載課金型の媒体を活用した採用
次に「ハローワークじゃ集まらないから広告費を掛けて採用をしよう」と考えた場合、多くの介護事業所が最初にイメージするのが「掲載課金型の広告」になると思います。
ちなみに「掲載課金」とは、求人掲載をする際に掲載料としてコストが発生するという一般的な広告スタイルです。
また昨今では掲載課金型の広告であっても「介護業界特化型」や「web特化型」等、媒体の種類は実に豊富になりつつあります。
上記のような介護業界特化型の場合、web上での介護業界に特化した集客活動が行われる為、多くの介護士に求人が見てもらえる可能性が高く、価格数千円~数万円と比較的安価で求人掲載してもらえるのがメリットです。
一方で、サイト内で競合求人が多数羅列される中、応募者が無くてもコストは出ていきますので、広告費を無駄にするリスクはついて回ります。
ちなみに一般型の掲載課金型の求人広告として、世間的にも馴染みの深いものがが下記のような媒体になります。
これらの一般型の媒体の場合、紙媒体での募集も同時に行っているケースも多く、より多くの方に応募訴求ができる反面、その中に占める介護業界希望者が不透明であると同時に、介護特化型と比較して、知名度の高い分コストが高額となるケースが多いです。
掲載課金を使うのであれば、個人的には介護特化型がオススメではあります。
掲載課金媒体では、比較的コストを抑えて広告出稿が可能
ただし自社の求人に特徴や魅力がなければ、応募数ゼロでコストを垂れ流すリスクも…
応募課金型の媒体
人材募集の広告と言えば、これまでは上記のような「掲載課金型」が多かったのがこれまでです。
ただそんな中で、最近増えつつあるのが「応募課金型」と言われるものです。
この応募課金型の媒体の場合、いわゆる「掲載料」というものは取られないケースが多く、「求職者からの応募数に応じてコストが発生する」というものです。
求人広告にハローワークに出稿しても募集掲載をしても応募が来ないのと同様に、有料の掲載課金の媒体に募集掲載しても応募が来ないというような背景から、最近ではこのような「準成功報酬」と言われるような媒体が増加しつつあります。
ただし、あくまでも「応募」は「応募」です。
応募してきた方が「採用したいと思える方かどうか」「入社してくれるかどうか」は別問題です。
更に言えば面接に至る保証さえありません。
それでも「まずは応募が来て発生するコストであれば納得できる」という法人にはオススメです。
介護業界の応募課金型の媒体で、有名なものとしては上記が挙げられます。
ちなみに単価は様々ですが、最近では1応募1万円~2万円程度の応募課金の媒体が増えている印象です。
なかなか1応募で採用とは至らないケースが大半ですが、「まず応募が無いことには…」という観点に言えば、ある種合理的にコストになります。
応募課金媒体では、応募が無い限りコストリスクはゼロ
ただし応募からの採用率は実に様々、掲載課金よりは納得感があるという考え方もできる
成功報酬型の媒体
そして求人募集の所謂最終形が、「成功報酬型」の媒体という事になります。
成功報酬型の媒体とは、いわゆる「人材紹介会社」や「転職エージェント」と言われるものを指します。
こちらについては、読んで字のごとくという事になりますが「求職者が入社」して始めてコストが発生するというものです。
いわゆる「支払い損」を無くしたのが、この「成功報酬型」の媒体です。
ただその分「その他の求人広告と比べてコストが高い」「高額な分、早期で退職なった場合のリスクが高い」というデメリットも持ち合わせています。
介護業界の成功報酬型の媒体として、有名なものとしては上記が挙げられます。
ちなみに入社決定時の成功報酬は年収の20%~25%が介護業界の人材紹介の相場になり、決して安い金額とは言えません。
実際「成功報酬が高い」という部分だけを切り出されて人材紹介を避ける法人もありますが、掲載課金であっても、応募課金であっても、結局採用がゼロで終われば、お金を捨てるような形になります。
そうした採用環境の厳しさから、最近ではこの成功報酬型である「人材紹介会社」を活用する介護事業所が増える一方です。
各介護事業所の状況や使い分けをうまく行う必要があるのは言うまでもありませんが、それだけ「なかなか応募者が来ない」「応募が来ても入社に至らない」といったような悩みを抱える介護事業所が多いということでしょう。
成功報酬が高い点がやはりネックとなる反面、採用コストが許せば採用スピードは最も早い
また「本当に良い人を採用したい」と考えた場合に、採用まで費用が発生しない点はメリット
「求人票の出し方」でも大きく採用状況は変わる
上記のように「人材紹介会社」を活用する介護事業所が増えている状況は「採用が難しくなっている」という状況を物語っていますし、こうした人材紹介会社や求人媒体を活用することも採用活動をうまく進める為には非常に大事になります。
ただその一方で「求人票の出し方」等を切り出して考えただけでも、実は改善できる事はあったりするものです。。
参考までにそうした事例もいくつか挙げてみます。
あなたの事業所の求人情報は応募者に親切ですか?
上記の有効求人倍率を見ても分かる通り「今は昔のようにハローワークに求人を出しておけばOK」という時代ではありません。
「求人を掲載して、応募者に選ばれなければなりません。」
その為には
「どれだけ細かく丁寧な情報を発信し、給与や労働環境がイメージできるか?」
言うまでもなく、この点が非常に
特にハローワーク等は求人数が乱立するだけに、どのように目に留めてもらえるかを考えずに求人を出してもほぼ効果無しです。
例えば給与面だけ切り出しても「月給」とまるめるのでなく
- 基本給と手当を分ける
- 手当の内訳を記す
- 「参考給与」等、具体的なイメージを促す
- 賞与額(月数)も記す 等
給与一つを切り出すだけでも、このように丁寧に開示しておくことが、応募者の安心感を募り、結果的に注目を集め、応募に繋がるという事が少なくありません。
求人情報の更新はコマ目に行えていますか?
また求職者目線というのも、求人情報の更新をどれだけコマ目に行うかも大事になります。
例えば、ホームページ上の求人票でよく目にするのが、1年以上前に更新されたであろう求人情報が何の更新もされずに放置されているような例です。
皆さんもご覧になった事があるのではないでしょうか、「介護士募集! 最終更新日○年○月○日」というように、以前の状態が放置されているような求人ページを。
言うまでもありませんが、これだけ人手不足が騒がれる介護業界ですから応募者は慎重です。
そうした求人を見て
- 求人ページを更新できないほど、いい加減な法人なんだ…
- 年中募集しているんだ…etc
こうしたように求人不信感を持つような例も少なくありません。
またハローワークの求人でも同様です。
ハローワークの求人も数ヶ月掲載したままにできますが、古い情報であればあればあるほど「人気の無い法人なんだ」というイメージを与えます。
まず人を採用したいと思えば「より細かい情報を」「より最新の情報を」こうした意識がけ大事になります。
最終的には選考プロセスが大事
またここまでは、募集(応募)について中心に書いてきましたが、大事なのは応募以降の面接、採用です。
面接のポイント
何度も繰り返しますが、介護業界の採用は「介護士を選ぶ面接」から「介護士に選ばれる面接」に変わりつつあります。
そうした時に大事になるのが以下のようなポイントです。
自分たちの事をアピールする必要性
一般的に面接と言えば「面接官が応募者に聞きたい事を聞く場」というイメージが持たれているかと思います。
もちろん採用する側も応募者を見極める必要がありますので、そうした姿勢は非常に重要になります。
その一方で面接は「面接官が自分たちの事を伝える場」だという事も認知しておく必要があります。
- どんな想いをもっているのか?
- どんな環境で働いてもらうのか?
- どんな条件で働いてもらうのか
こうした法人として、提供できる想いや労働環境について、正しく伝え正しく選べる環境を応募者側に作り上げる必要あります。
現実についてもしっかり共有する
また上記のように自分たちの事をアピールすると言うと「できもしない環境」について、語られる方がいます。
大事な事はそうではなく「現実」を伝えるという事です。
特に新規入社者の早期退職が続くような介護施設では、よりその点を意識する必要があると思います。
言うまでもありませんが、基本的に早期退職の原因の大半は「入社前後のイメージのギャップ」です。
「ありたい姿」を伝える事は大事ですが、「今ある姿」を正しく認識しておいてもらう事も非常に重要です。
職場の体験や見学を積極的に導入する
そして、私自身が絶対にオススメしているのは「職場体験」「職場見学」の案内です。
言うまでもなく、早期退職は「雇用者側」「被雇用者側」双方に大きなデメリットをもたらします。
だからこそ、入社の前に1日体験としてのアルバイト等を積極的に取り入れる事を個人的には推奨します。
「一見は百聞にしかず」とはよく言ったもので、結局「現場を見ないと」「現場を体験しないと」わからない事がたくさんあります。
入社前にそんな事をするのは面倒だという声を良く聞きますが、入社前の応募者の不安を取り除く事、入社後の早期退職を減らすことを考えた時に、これほど容易にできるものはありません。
これらのように、選ぶ立場として、選ばれる立場として、選考の方法についてもしっかり考えておく必要があります。
助成金の活用はできていますか?
ここまで、募集方法や選考方法について記事を書いてきましたが、補足的に採用に纏わる助成金活用についても、簡単に紹介しておきます。
例として「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」について、少しご紹介をします。
内容については、下記の通りですが「高年齢」「母子家庭」「障害者」等のように、ご家庭やお身体に不自由を持たれているような方を採用した場合に、助成金が支給されるというものです。
別にこのような方だけをターゲットにして、食い物にするような採用活動を進めたいわけではなく、事実介護現場では「母子家庭の方」「高齢の方」がご活躍されるケースが少なくありません。
こうした制度に対しての知識があるだけでも、高額になりがちな採用コスト抑制にも繋がります。
ちなみにこうした制度は頻繁に更新を掛けられますので、ぜひ管轄のハローワークに問い合わせてみてください。
介護業界の採用についてのまとめ
ここまで長々と採用に関して書いてきましたが、いかがでしょうか?
「介護士を募集する」という場合においても、「無料媒体」から「掲載課金」「応募課金」「成功報酬」まで実に様々な方法があります。
できれば「より安価で採用したい」というのが雇用者側の思いですが、大事なのは目先のコストだけではありません。
例えば、
- 無料媒体に拘り、3ヶ月で採用に成功
- 急いで人材紹介会社を活用し、1ヶ月で採用に成功
こうした2つを比較した際に、①は確かに採用コストはゼロです。
ただしその間に「新たな利用者受け入れができなかった」「他の職員のしわ寄せが多くなっり退職がでた」等という事も珍しくありません。
結果的に②の方が、早期に新たな利用者受け入れができ健全な運営に繋るという事もあります。
繰り返しますが、これはあくまでも例で「お金を掛ければ良い」と言っているわけではありません。
大事なことは「採用にお金がけたくない」という採用活動に焦点を当てた考え方ではなく、採用+周囲の運営状態を鑑みて判断するという事の必要性です。
何よりも介護事業所が採用に本気になる事が、労働環境の改善に繋がる事にも繋がります。
近隣の介護施設を見渡せば、1つ2つは何故か採用がスムーズに行われているものです。
「介護士は集まらない」という決めつけではなく、そうした採用が上手くいっている介護事業所と何が違うのかをしっかり考えてみると良いかもしれません。