こんにちは「介護コンサルをしながら、現役介護士を両立」がモットーのごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
よく介護の仕事と言えば
「奉仕の精神で」
「利用者さんの為に」
「やりがいを持って」
といった言葉が飛び交います。
確かに「サービスを受ける利用者さんの為に」という発想は、介護士としての仕事の根幹だと思いますし、非常に重要な事です。
また実際介護の仕事を通じて「やりがい」を得られる事も多くあります。
だからこそ、こうした言葉を一概に否定するつもりは毛頭ありません。
ただし私もいくつかの介護施設で働き、また見せていただく中で感じる事は、こうした「思い」や「あるべき」更に言えば「きれい事」を過度に押し付けようとする風潮が介護業界にはあるという事です。
ただ私自身は、こうしたあるべき論を全面に押し出さずとも仕事として割り切って関わる方が、結果的に介護士も仕事を楽しめ、利用者さんの為にもなるのではないかと考えています。
今回は、こうした過度な押しつけをしなくとも「介護の仕事を楽しめる」「介護の仕事にやりがいを感じられる」という事について書いていきたいと思います。
きれい事は採用面接から始まっている
先日、私の転職コンサル時代の経験について以下のような、Tweetをしました。
転職コンサルしてた頃。
「貴方にとって介護とは?」と言う質問に対して
「仕事です!」
と、元気に答えて不採用になった介護士がいる。介護に対してのステキなコメントが欲しかったんだろうけど、意外に仕事と割り切っている介護士の方が良い仕事したりもするよ。
— ごろにぃ@介護コンサル (@goronyi_kaigo) May 10, 2019
この「あなたにとって介護士とは?」という質問。
まさ究極の質問ですね。
でもこの質問に対して「仕事です」と答える事がNGの介護施設が、実は未だに意外に多くあります。
採用する側の思いとしてはこうです。
・介護士の仕事にやりがいを感じられない介護士はダメだ
・介護士をする以上「利用者さんの為に」という奉仕の精神が必要だ
こうした思いが根底にあったりするものです。
だからこそこうした介護施設での面接の正解例はこのようなものです。
・利用者さんの笑顔が見れて非常にやりがいのある仕事です
・人の役に立てるという事に誇りが持てます
確かにこうした境地で仕事に取り組めれば、仕事にやりがいを感じられるでしょうし、ポジティブに介護の仕事に取り取り組めるかも知れません。
ただしこうした価値観をハナから持つことができる介護士はあくまでも一部です。
大事なことは、ハナからそうした素敵な思いを掲げることでなく、結果としてそのような余裕が生み出せるかどうかです。
ビジネスとしての割り切りが介護士の余裕を生む
私が介護士がビジネスとして仕事を割り切る事が大事だと思う理由は、1つです。
「介護士の余裕を生む」という事です。
上でも書いた通り、ハナから「利用者さんの為に」「介護士の仕事が楽しい」と心から感じられる介護士であれば良いのかも知れませんが、多くの介護士はそうはいきません。
だからこそ大事な事は、まずはビジネスとして介護士の仕事に取り組むという事です。
①ビジネスとして割り切って介護士の仕事に取り組む
🔻
②できる事、できない事、やるべき事、やらべきでない事がフラットに切り分けられる
🔻
③介護士に余裕が生まれる
🔻
④その余裕が利用者さんへのサービスに還元される
このように入り口で介護士に過度な理想やきれい事を押し付けない事で、介護士に余裕が生まれ、結果利用者さんのサービスに還元されるというのが一番のあるべき形です。
介護士にとっても良い。利用者さんにとっても良い。一番の形だと私は考えています。
これが入り口から過度なきれい毎やあるべき論で固められてしまうとそうはいきません。
①「利用者さんの為に」「やりがいをもって」と高い意識が先走る
🔻
②できる、できないではなく、「やりたい事」「利用者さんが求める事」が優先されるようになる
🔻
③過重労働が多くなり、介護士から余裕が失われる
🔻
④自己犠牲を前向きに捉えられる介護士しか残らず、結果的に介護現場は混乱
🔻
⑤仕事を楽しむ余裕は以ての外、利用者さんにもサービス劣化の影響が及ぶ
このように入り口で「あるべき」や「理想」ばかりを追求し過ぎると、結果的に介護士はもちろん利用者さんにとってもデメリットの大きなものになりかねません。
もちろん、全てが全てこのようにフロー通りに単純に運ぶものではありませんが、やはりこういった発想には危険がつきものだと思います。
最後に
いかがでしょうか、皆さんの回りでも「キレイ事」や「あるべき論」が何よりも優先されてしまい、介護士が疲弊するというような例は少なくないと思います。
介護業界には様々な介護士が存在していますし、皆が皆、自己犠牲をいとわない、奉仕の延長線上のモチベーションで仕事をしている介護士ばかりではありません。
だからこそこうした個人の価値観に依存せずに、良いサービスを提供するには結局ビジネスとして割り切って介護士に仕事をしてもらうという事が大事なのではないでしょうか?
間違っても、「手を抜け」「気持ちを込めるな」等と言っているわけではありません。
何度も言う通り、できる事とできない事、やるべき事とやるべきでない事をしっかりと切り分けようとすることこそ、今の介護業界に大事な事だと思います。
仕事として割り切る事で土台を固める。
その固めた土台を持って利用者さんにサービスを提供する。
それが介護士の余裕を生み、良いサービスに繋がる。
こうした考え方が必要なのではないかと思います。