現場リアル

「頑張る介護士」に冷たい視線が注がれる理由

こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。

介護現場で働いているとよく「頑張る介護士」をネガティブに揶揄するような声をよく聞きます。

それこそ「キラキラ介護士」等と言われるものは、その最たる例です。

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もちろん「頑張る介護士」の全てが「キラキラ系介護士」を指すわけではありません。

ただしキラキラ系のみならず「頑張る事」にネガティブになりつつある介護士が増加していると感じるこの頃。

今回はこの「頑張る介護士」に送られる冷たい視線を中心に、介護士がネガティブになるプロセスについて考えてみたいと思います。

初めは多くの介護士がやる気に満ちている

そもそも多くの介護士のスタートは「やる気」に満ちています。

まず、自分自身が初めて介護業界に飛び込んできた時の事を思い出してみてください。

多くの人は「よし、頑張ろう!」「楽しみだな!」「役に立ちたいな」等、少なからず「やる気」や「希望」を持って介護業界に飛び込んできてはいませんか?

もちろん、消去法で介護業界を選んだ方もいらっしゃるでしょうが…

だとしてもです、わざわざ数ある仕事の中で介護士の道を目指した方は「程度の差はあれど、何かしらの前向きな思い」を持ってスタートしている場合が大半です。

介護現場で気付くギャップ

ところが、多くの介護士は実際に働き始めて気付いてしまう訳です。

思い描いていた仕事と実際の介護現場の仕事には、ギャップが存在するということを。

■介護現場で働き始めて気付くギャップ

・「頑張る」という事に「自己犠牲」が含まれる
(例)サービス残業、休日出勤、利用者さんの暴力問題 等

・「頑張る事」がストレートに反映されづらい
(例)給与が上がらない、上司が正しく評価してくれない

「頑張ると損」という発想が生まれる

こうしたギャップを通じて、一部の介護士からは「頑張ると損」という発想が生まれます。

当然の話しかもしれません。

いくら「利用者さんやご家族の役に立ちたい」という思いがあったとしても、自己犠牲が前提では多くの介護士は頑張ろうとしないでしょう。

更には、頑張っても何かしらの評価やメリットが無ければ「頑張ると損」だという発想さえ生まれるかもしれません。

多くの介護士にとって、仕事の前提には、自分自身や自分の家族の幸せがあります。

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「頑張る事」の押し付けが辛い

またこうしたギャップが生まれる介護現場では「頑張ることの強要」が始まることで、そこで多くの介護士は冷ややかな目線を持ちます。

「仕事に対して勤務時間内でどこまで頑張るか」については、均質であるに越した事はありません。

それこそ「正しく頑張り、それが正しく評価される事」が本来の理想です。

それが「仕事に対してどこまで自己犠牲を厭わないか」という話にすり替わってしまうと元も子もありません。

それにも関わらず「私はここまで身を粉にして働いているのに」と騒ぐ同僚や上司が相手となれば、普通に頑張ろうと思っていた介護士でも冷ややかな視線を持たざるを得ません。

「頑張れる人」が羨ましい

またあくまでも一部ではですが「頑張れる人が羨ましい」というパターンも存在します。

自分自身が現実とぶつかり「頑張る事は無駄な事」だと諦めている一方で、必死に頑張ってもがく同僚や部下を「内心羨ましい」という想いを持ちつつも受け入れられないという話しも聞きます。

人の心理としては理解できなくもありません。

頑張る事を諦めた時、隣で頑張っている人が妙に輝いて見えたり、場合によってはストレスになる事もあります。

その結果、頑張る人に対して、冷ややかな目線になるという事もあるのかも知れません。

最後に「介護現場が崩壊する前に」

これらのように、「間違った頑張り方の強要」や「価値観の違いやギャップ」から介護業界で頑張る事は、ネガティブなものだと認知される事が多くなりつつあります。

残念ながら、こうしたマインドが充満してしまうと介護業界の未来はありません。

みんなで「キラキラ介護士になろう」と言っているのではありません。

しっかり現実を見て「頑張るべき範囲」「頑張れる範囲」に線引きはしておく事は非常に重要な事です。

ただし、逆にそれさえせず何でもかんでも「頑張るのは損」「カッコ悪い」というようなものだけが浸透してしまっては、介護士の仕事の価値やサービスレベルを低下させる一方です。

その為の「介護現場の働きやすさ」や「上司の存在」は非常に大事なポイントになります。

「残業をしよう」とか「利用者さんは神様だ」とかそんな話しではありません。

あくまでも自己犠牲の無い範囲で、何ができるのか?何をするのか?について、考える事ができる人が大いに業界であって欲しいと願います。