こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
私は、新卒から約15年の間に「介護職」→「介護管理職」→「介護転職コンサル」→「介護経営コンサル兼介護職」(現在)と介護業界に携わってきました。
当ブログでは、そんな私自身の経験や考えに基づいて、介護業界に精通する皆さんに少しでも有益な情報を発信したいと考えています。
ちなみにそんな元転職コンサルでもある私、ごろにぃがオススメしている転職サイト(エージェント)が、しろくま介護ナビです。
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それでは早速本題です。
今回のテーマは、コロナ禍で散々取り上げられている「介護職員に対する慰労金」についてです。
様々な情報が飛び交い、中には誤解を招くような情報もある中で、当記事をご覧いただければ万事OK、そんな内容盛りだくさんな発信をできればと思います。
介護職への慰労金支給事業とは?
はじめにコロナ禍での「慰労金支給事業」とはどのようなものなのかについて解説していきます。
まず今回のコロナ禍においては、厚生労働省が障害や介護(福祉)サービスといった社会インフラ化しているサービス業に対して、「感染対策を徹底した上で、サービス提供を継続してもらう為、またサービスを再開してもらう為」のものとして、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」という交付金制度を成立させています。
そして「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」の内訳として、以下の3つの観点から支援が行われる事が決定しており、その内の一つに「③職員への慰労金支給」というものがあり、これを世間では介護職員への慰労金と言っています。
「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」における支援内容
- 感染症対策の徹底支援
- 職員への慰労金支給
- サービス再開支援
ちなみに本交付金制度の概要説明について、厚生労働省がまとめた資料がありますので、以下に掲載しておきます。
ちなみにこちらをご覧いただくとわかる通り、「本事業は100%国の財源を元に、都道府県が支給主体者(窓口)となり実施」されます。
その為、もろもろの手続き等の窓口は都道府県(健康保険局等)となりますが、実際の補助内容や範囲については、原則として全国一律となります。
※ただし本事業とは別に各都道府県や市区町村がプラス@として、実施されている新型コロナウイルスへの補助制度を設けていいるケースもありますので、ご確認ください。
介護職員への慰労金の支給条件や支給金額は?
このように「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」の1つとして位置付けられる「介護職員への慰労金」。
具体的な対象者、対象条件、金額等については、厚生労働省より以下のように説明されています。
慰労金支給の対象となるサービス・施設形態
まず慰労金の支給対象となるサービス・施設形態は以下のように定められています。
慰労金支給の対象施設・サービス形態
(介護領域)
介護保険の全サービス、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、養護老人ホーム、軽費老人ホーム
(障害領域)
総合支援法、児童福祉法による障害福祉の全サービス
平たく言ってしまえば、介護サービス、障害サービスを提供する全事業所だと認識いただいて差し支えないかと思います。
慰労金支給の対象となる職員
慰労金の支給対象か否かについては、まず下記①②の両方に当てはまる必要があります。
慰労金支給の対象職員
- 対象期間中に10日以上の勤務をした職員
- 利用者と接する機会のある職員
※対象期間とは…当該都道府県における新型コロナウイルス感染症患者1例目発生日又は受入日のいずれか早い日から6月30日までの間
上記さえクリアしていれば該当となります。
慰労金の支給額
慰労金の支給額については、よく「20万円」という言葉が独り歩きしている場面を目にしますが、正しくは20万円もしくは5万円ということになります。
慰労金の支給額
①「新型コロナの感染者もしくは濃厚接触者が発生した事業所の場合」
以下に該当すれば20万円の支給対象となります。
・通所、施設系…感染者・濃厚接触者発生日以降に勤務を行った場合
・訪問系…感染者・濃厚接触者に実際にサービスを提供した場合
※上記に該当しない場合は、5万円の支給対象となります。
②「新型コロナの感染者もしくは濃厚接触者が発生していない事業所の場合」
・例外なく5万円の支給対象となります。
上記の通り、多くの方は20万円ではなく、5万円に当てはまります。
また今回の慰労金は「非課税」としての扱いを受けますので、20万円対象の方は20万円がそのまま、5万円の方も5万円がそのまま支給されます。
給与等と一緒して支給される場合には、誤って税金控除対象として処理されていないか明細をしっかり確認しておいた方が良いかもしれません。
慰労金の申請方法や支給時期は?
ちなみに既に慰労金の申請についてはスタートしていますが、まだ多くの事業所が取り組むことができていないようですので、以下に簡単に申請方法や流れを記しておきます。
慰労金の申請方法
まず慰労金の実施主体は、厚生労働省ではなく、都道府県になりますので、実際の手続きについては各都道府県(保険福祉局等)のHP等を確認する必要があります。
また申請に際しては、同じ都道府県内に複数の介護事業所を有する場合においては、事業所単位でなく、法人単位での申請受付をしているケースが大半ですし、実際の手続き上もその方が圧倒的に楽です。
※実際の申請マニュアルや申請書類については、各都道府県の案内に則る必要がありますが、参考として厚生労働省が発信しているマニュアル、申請書類のURLを以下に掲載しておきます。
(厚生労働省より展開されているモデル)
・介護事業所・施設等申請マニュアル(標準的モデル)
・申請書様式(標準的モデル)[PDF]
慰労金の支給時期や支給方法
では肝心の「慰労金支給時期はいつ頃になるのか?」についてです。
こちらについは、厚生労働省からの通知によると、申請をして不備がなく承認されれば、その承認翌月に支給されるとなっています。
ちなみに支給は国の財源を元に、各都道府県が事業所に手当を配布、各事業所が該当する介護職員やその他職員に支給するという流れになります。
各事業所から給与として、もしくは特別手当として支給される形となります。
過去の補助金関連と同様「正しく個人に行き渡るか不安だ」「事業所の対応が不安だ」というところから、都道府県から直接個人への支給を望む声もありましたが、支給までのプロセスが煩雑になるという事で、そうした通らなかったようです。
ちなみに肝心の慰労金申請については、既に7月20日からスタートしています。
以下が東京都の例ではありますが、東京都の場合は「都国保連に申請するパターン」と「東京都に直接申請するパターン」の2通りがあります。
こちらをご覧いただくとお分かりの通り、毎月月末でで締め切られますので既に7月分は申請受付を終了していますので、次は8月分として申請する形となります。
9月以降の申請についても同様に申請受付はされる見込みですが、先行きは不透明です。
先延ばしにしたところで、何のメリットもありませんので早々に申請をするべきでしょう。
慰労金の支給について、よくある勘違い
これらのように既にスタートしている慰労金の支給事業。
一方で正しく慰労金の情報が収集できておらず、対象となるはずにも関わらず「自分は対象外だ」と思い込みをしているケースも見受けられます。
この当たりのよくある勘違いについても、以下に説明しておきます。
支給対象に雇用形態や勤務時間は一切問われません
今回の慰労金は正社員はもちろん、パート、派遣社員、業務委託社員問わず対象(1日当たりの勤務時間も問われません)となります。
支給金額も上記の「対象期間中に10日以上の勤務をした職員」「利用者と接する機会のある職員」か否かだけでの判断となりますので、パートは派遣社員の方も一切ビハインドはありません。
極端な例で言えば、対象期間に毎日1時間だけ単発で10日間勤務した場合でも該当となります。
ちなみに派遣社員の方の場合、多くは「介護事業所→派遣会社→派遣社員」の流れで慰労金が支給されるかと思いますので、派遣元の派遣会社から手当を支給される事になる見込みです。
支給対象は介護職に限りません
また支給対象の職種についても「利用者と接する機会のある職員」という明記がある為、介護職のみだという思い込みが先行しがちですが、そんな事はありません。
利用者と接する機会のある現場職員の方であれば、介護職に限らず、看護師やリハビリ職はもちろん、事務の方や清掃の方等も同じくして対象となります。
利用者さんと日常的は接しない法人本部等でお勤めであれば対象外となりますが、利用者さんを目の前に勤務する現場職員であれば、ほとんどの方が該当し得ます。
既に退職した職員でも支給対象となります
また上記対象期間に介護現場で勤務していたのであれば、既に退職済みの方でも対象となります。
たまに「自分はもう辞めてしまったから関係ない」「こんな事ならもうまだ辞めなければ良かった」というような声が聞こえてきますが、もう一度しっかり自身が対象期間に勤務していないか確認した方が良いかもしれません。
また「支給対象には当てはまるけど、退職した介護事業所に依頼するのは気が引ける…」と言った声もあるかもしれません。
ただし今回の慰労金について、退職済みの職員の方は個人で申請する事も可能となっています。(在職証明だけ元勤務先に発行依頼が必要ですが)
個人の申請方法も各都道府県によって、若干の違いがありますので、HP等でご確認ください。
たまに「慰労金を受け取るまでは勿体ないので転職をしない」というような声も聞きますが、これも必要ありませんね。
最後に
ここまで慰労金について、一からまとめてきましたので、おおよその全体像は把握いただけたのではないでしょうか?
まだまだコロナの先行きが不透明な中、介護現場は本当に不安の毎日だと思います。
本来であれば社会インフラ化している介護業界に対してもって柔軟に、もっと大規模な手当を検討すべきだとする考えもあるかも知れません。
それでもまずは第一歩としてこのように国からの補助が得られるのは、大事なことです。
そして更に大事な事は、こうした制度や手当について法人や現場職員がしっかりと理解し、使いこなすということです。
逆にどれだけ素晴らしい制度や補助金を設計されても、それを有効活用しようとさえしない介護事業所には未来はありません。
まずは本記事を通じて少しでも多くの方々の慰労金に対しての理解が深まれば幸いです。