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【広がる職種格差】町田高校の教員体罰問題に見える介護業界との共通点

ニュースでも最近取り上げられている「町田総合高校での教員体罰問題」

この体罰問題については、SNSや動画サイトにて一連のやり取りを目にされた方も多いのではないでしょうか。

私はこのニュースを見た時に、教員と介護士の仕事における共通点について考えされました。

それはサービス提供の相手である「生徒さん」「利用者さん」がサービス提供する側である「教員」「介護士」よりも弱い立場にあり、守られるべき存在として世間に認知されているという事です。

世間では、労働者の働く環境に目が向けられ「◯◯ハラスメント」等という表現に代表されるように労働者が守られるべき存在だとして認知されつつあります。

ただし、このようにサービスの提供相手が弱者だと定義付けられている「教育」や「介護」においては、むしろ逆行しているのでは?とさえ感じさせられます。

今回はこうした水面下で広がる労働者の職種格差について、記事にしてみたいと思います。

「町田総合高校における体罰問題」の概要

まず今回の事件の概要は以下のようなものです。

東京都立町田総合高校(町田市)で、男性教員が生徒に暴力を振るっていたことが18日、わかった。その際の様子を映したとみられる動画がツイッター上で拡散。学校側は、動画の内容を把握し、「教員が体罰をした」と取材に認めた。都教育委員会も報告を受けており、処分を検討する。

同校によると、校内で体罰があったのは15日。ツイッター上の動画では、教員とみられる男性が口論の後、生徒の顔に手を出し、倒れた相手をつかんで引きずる様子が撮影されていた。男性が「ふざけんじゃねえよ。誰に言ってるんだよ」と怒鳴り、他の生徒が止めに入る様子もあった。

同校によると、生徒は口の中が切れるけがをした。男性教員は「感情的になってしまった。反省している」と話し、現在は生徒指導から外れているという。信岡新吾校長は「体罰はダメだと常々、教員に指導してきた。生徒に申し訳ない」と話した。

都教委にも15日、学校側から「体罰があった」と報告があったという。

※2019年1月18日の朝日新聞DIGITALより引用

この事件の概要については、様々な動画がネット上に晒されていますが、流れを簡潔にまとめるとこのようになります。

①ピアスをつけて登校していた生徒に教師が口頭で指導
②しかし生徒は反省するどころか、教員に対し反抗的に罵声を浴びせ煽る
③散々煽られた後、教員が我慢できず手を上げてしまう。
④なぜかその様子を他の生徒がおもしろおかしく動画撮影しており、ネット拡散。
⑤校長や教員は謝罪。生徒は許せないと豪語。

ちなみに現在、この教員は生徒指導から外れているとのことですが、恐らく何らかの処分が降されるのだと思います。

大前提に「暴力を振るう」という行為自体は、やはり許されるものではありません。

ただし私がこの一連のニュースを見て一番に感じたのは、教員があまりにも気の毒だという事です。

明らかにきっかけは生徒の身勝手な立ち振る舞いですし、その振る舞いは「自分は守られている」という自信からくるものだと見て取れます。

またおもしろおかしく撮影して拡散した生徒さん達も同様に「自分たちは守られている」という自覚があったのではないでしょうか。

幸いなのは「流れを押さえた動画」が存在した事

ちなみに今回の一件について、事の広がりのきっかけは「生徒により撮影された動画」です。

この動画により「教員による暴力が確認」され、この動画のおかげで「事前の生徒による明らかに身勝手な立ち振舞が確認」されました。

その結果、今回の一件は「ただの教員体罰」ではなく「生徒にも非のある教員の体罰」として世間に認知されました。

もしこの事前の生徒とのやり取りが証明されないまま、よくニュースになる教員の暴力だけがピックアップされていれば、いま世間が騒いでいる以上に、教員だけが非難される結果になったと予測できます。

そうした意味では、この教員や学校にとっては、不幸中の幸いだとも言えるのではないでしょうか。

それもこれも「生徒は守られるべき立場の人間」「教員は守るべき立場の人間」だとする世間の決めつた概念からくるものです。

介護業界でも同様のケースが

今回の一件は学校という環境下で起きた問題でしたが、実は介護施設でも同様のケースが日常でも起きるリスクがあります。

冒頭に記した通り、今回の一件を介護業界に置き換えると「利用者さんは守られるべき立場の人間」であり「介護士は守るべき立場の人間」という事になり、これは世間に浸透しているものです。

その為、「介護士が利用者さんに手を上げた」となれば、問答無用に弱者である利用者さんを傷つけた介護士側だけが問題視される傾向にあります。

もちろん今回の体罰同様に、大前提に介護士が利用者さんに手を上げる事はあってはいけません。

ただしその背景には「利用者さんからの日常的な暴力・暴言」が隠れている事も少なくありません。

介護士であれ、教員であれ、感情を持つ人間です。

こうした状況が、「残念ながら今回のような暴力という結果に繋がる程、介護士や教員を追い込む事もある」という事を世間にも、もう少し認知してもらいと、いつも考えさせられます。

もちろん逆に、暴力を正当化したいわけではないですし、中には教員の身勝手な体罰や介護士の身勝手な暴力も存在します。

だからこそ「事の結果だけを見て判断するには、はなかなか難しい問題」になっています。

もう少しそのプロセスについて、世間や職場、上司が理解を示し、訴えていく必要性があるのではないでしょうか

最後に

みなさんは今回の体罰の問題をどのように受け止められられたでしょうか?

もちろん中には「教師たるものどのような理由があれ暴力を振るってはいけない」と教師批判をする意見もあれば、私のように「さすがに教師に同情する」という意見もあるかと思います。

また記事内でも書いた通り、残念ながら介護業界でも時としてこれらと同じような事象が発生します。

私がこの記事で言いたい事は、世間では労働者の立場や労働環境を改善する傾向が見られつつある中で、介護業界や教育業界等の一部の職種では、今回のように労働環境が悪化していると捉えざるを得ない状況があり、職種の格差が広がっているという事です。

もちろん「教師の体罰」や「介護士の暴力」を認めるべきだと言っているのではありません。

これらはあくまでも「結果」であり、その手前には「プロセス」があります。

結果だけを見て当事者を非難するのでなく、「プロセス」と「結果」を紐付け、正しく物事を判断する目が世間や上司、職場には必要です。

教員も介護士も、ただでさえ恵まれた労働環境だとは言えません。

せめて社会や職場、上司が正しい目線で物事を見て評価しなければ、今後こうした仕事に就きたいと考える人は、残念ながら減少する一方でしょう。

 

【おまけ】
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