こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
よく介護業界を一括りに話をされるケースがありますが、実際のところ働くという概念で考えた時に、施設形態が変わるだけで、職場の環境はがらりと変わるものです。
「自分はデイサービスが向いている」「自分は特別養護老人ホームが向いている」等々、自分自身で適正を考えて転職活動をされる方も多いのではないでしょうか?
私自身の転職コンサルの経験においても「初めての介護施設にオススメの施設形態を教えてください」「私の経験を活かせるのはどんな施設形態ですか?」といった、自身の経験やスキルに合わせた適正についてご質問をいただく事も多かったです。
今回はそうした私自身の経験や相談を受ける中で感じた、個人の経験やスキル、性格に合わせて向いていると思う施設(サービス)形態について、まとめてみます。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームの特徴
まず、特別養護老人ホーム(以下、特養)と言っても大きくは「従来型」と「ユニット型」に分ける事ができます。
ユニット型は2001年以降に国が推奨してきた特養のサービス形態になり、最近の新しい特養は基本的には全てユニット型となっています。
【特養の共通特徴】
・平均介護度が最も高く、寝たきりの利用者さんも多い
・コミュニュケーション以上に介護技術や体力が求められる
・介護士1人当たりの利用者数も多い
【従来型の特徴】
・4人部屋等の多床室が主流
・部屋やフロア単位等、大人数での一律のケアで業務効率が高い
【ユニット型の特徴】
・1人部屋の個室が主流
・利用者を10名程度のグループに分け、共有のリビングやダイニング、簡易キッチン等を設ける事で家庭的な雰囲気を重視
「利用者さんのプライバシーを守る」、利用者さんと介護士の顔ぶれが安定する事で「きめ細かなサービス提供ができる」等を目的とされ、国が推奨しているユニット型特養ですが、その分介護士数が多く必要になるケースがある等、課題も抱えています。
特別養護老人ホームで必要なスキルセット
コミュ二ケーション力 | ★★★☆☆ |
---|---|
体力 | ★★★★★ |
俊敏性 | ★★★★☆ |
企画力 | ★★★☆☆ |
運転 | ★★★☆☆ |
介護の中でも特に体力勝負のイメージが強い特養。
コミュニケーションが必要無いとは到底言えませんが、やはり体力や介護技術が重宝される傾向にあります。
特別養護老人ホームでの勤務をおすすめする方
・シンプルに体力に自信のある方
・スキルアップがしたく介護技術を身に付けたい方
・身体介護を黙々と熟すことにストレスの無い方
・どうせなら介護度の高い利用者さんと関わりたい方
・終末の看取り対応等の幅広い経験を積みたい方
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームの特徴
介護付き有料老人ホーム(以下、有料)と言えば、「株式会社」「富裕層」等のキーワードをイメージする方が多いのではないでしょうか?
実際、表面的な部分としては、株式会社の運営する富裕層向けのサービスが多い傾向にありますが、最近では料金をグッと下げた料金的には良心的な有料老人ホームも増えつつあります。
【有料の共通特徴】
・平均介護度は入居系の中では低い傾向(介護度は差が大きい)
・運営法人が株式会社である事が多い
・利用者さんやご家族に富裕層の方が多く、接遇を重んじる事も多い
・個室で高級感のある建物が多い
介護付き有料老人ホームで必要なスキルセット
コミュ二ケーション力 | ★★★★★ |
---|---|
体力 | ★★★☆☆ |
俊敏性 | ★★☆☆☆ |
企画力 | ★★★☆☆ |
運転 | ★★★☆☆ |
介護施設としての中でもサービス業としての側面が強い傾向にあり、丁寧な介護や接遇を求められる傾向にあります。
また受け入れる介護度や料金が様々なだけに施設毎のサービス内容や必要スキルにも差が大きいというのが有料の特徴でもあります。
介護付き有料老人ホームでの勤務をおすすめする方
・コミュニケーションや接遇に自信のある方
・介護だけでなく「サービス」を提供する事(柔軟な対応)にストレスの無い方
・ご家族対応にも自信のある方
・株式会社で若くして管理職を目指したい方
介護老人保健施設
介護老人保健施設の特徴
介護老人保健施設(以下、老健)と言えば、介護サービスの中でも医療的側面の強い介護施設になります。
運営法人のほとんどが医療法人で施設長がドクターであったり、看護師が24時間駐在したりと他の介護施設は一線を画します。
【老健の共通特徴】
・医療的側面が強い(ドクター配置、看護師24時間等)
・利用者さんは在宅復帰を目的に原則6ヵ月の入居
・看護職やリハビリ職等、介護士以外の異職種との関わりが多い
・病院のような作りが多く、多くは多床室(4人部屋)
・他の介護サービスと比較して男性利用者割合が多い
基本的には、在宅復帰を目的とした施設ですので原則6ヵ月の入居期間となっていますが、実際のところ身体の状態や家庭事情等から、スムーズな在宅復帰はなかなかできていません。
介護老人保健施設で必要なスキルセット
コミュ二ケーション力 | ★★★★☆ |
---|---|
体力 | ★★★★☆ |
俊敏性 | ★★★☆☆ |
企画力 | ★★★★★ |
運転 | ★★★☆☆ |
リハビリを兼ねたレクリエーション等、企画力や伝える力が求められるのも老健の特徴になります。
介護老人保健施設での勤務をおすすめする方
・介護分野のみならず、医療看護の分野の知識も身に付けたい方
・リハビリ等を通じ、利用者さんとのコミュニケーションを取りたい方
・レクリエーションの企画や一緒に身体を動かすのを楽しめる方
・24時間看護師がいる事で安心できるという方
グループホーム
グループホームの特徴
グループホームと言えば、「認知症」「家庭的」というキーワードがよく使われるように、基本は9名のユニットに区切られた、認知症の方に特化した介護サービスになります。
運営法人のほとんどが医療法人で施設長がドクターであったり、看護師が24時間駐在したりと他の介護施設は一線を画します。
【グループホームの共通特徴】
・利用者さんは基本的に認知症の方
・ほとんどが小規模の介護施設
・炊事洗濯等、利用者さんと一緒になって進める事も多く、利用者さんとの距離は近い傾向
・基本的には個室形態が取られる事が多い
入り口は家庭的なサービスを目的にされる事が多いですが、開設後の経過年数が長いグループホーム等では、特養化と言われるように介護度があがり寝たきりになる利用者さんも多い傾向にあります。
介護老人保健施設で必要なスキルセット
コミュ二ケーション力 | ★★★★☆ |
---|---|
体力 | ★★★☆☆ |
俊敏性 | ★★★☆☆ |
企画力 | ★★★☆☆ |
運転 | ★★★☆☆ |
リハビリを兼ねたレクリエーション等、企画力や伝える力が求められるのも老健の特徴になります。
グループホームでの勤務をおすすめする方
・認知症の利用者さんと深く関わりたい方
・家事支援にも興味のある方
・小さなコミュニティでの勤務に興味がある方
・コミュニケーション力に自信のある方
・せかせか働くより落ち着いて働く方が好ましい方
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅の特徴
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)と言えば、賃貸住宅として住宅の供給を受けながら必要に応じ訪問介護を利用する形です。
その為、自立度の高い方も多く介護度は低い傾向にあります。
サ高住と言えば、賃貸住宅として住みながら必要に応じて訪問介護を利用するようなイメージです。その為、基本的には自立の方が入居されており、介護度も低い傾向にあります。ただ一方で個人ごとに動く形になりますので、職員がまとめて対応したりできる部分が他の施設形態より少ない傾向にあります。その分個人ごとゆっくり関わりが持てると思われがちですが、ケアの時間は訪問介護同様時間コントロールがされていますので、逆に時間に追われるようなケースも少なくありません。
【サ高住の共通特徴】
・利用者さんの介護度は全体的に低い
・訪問介護形式をとっており、時間の管理が徹底されている
・記録等の書類関連は多い傾向にある
・個室形態が取られる事が多い
・初任者研修以上の資格が必要
サービスの時間が決められ、一見1人1人とゆっくり関われるイメージが持たれがちですが、次のサービス次のサービスと居室の異動や次のサービス開始時間に縛られる等、時間に追われるようねケースも少なくありません。
また訪問介護の形態を取りますので、介護業務をするには基本的には初任者研修以上の資格が必要になります。
サービス付き高齢者向け住宅で必要なスキルセット
コミュ二ケーション力 | ★★★★☆ |
---|---|
体力 | ★★★★☆ |
俊敏性 | ★★★★★ |
企画力 | ★★★☆☆ |
運転 | ★★★☆☆ |
次から次にスムーズにケアを終わらせ、時間管理する能力も大事になります。
また介護度が低い分、明確に意思を持ち要望を伝えて来られるようなケースも多くなりがちです。
グループホームでの勤務をおすすめする方
・時間が決められた中、てきぱき仕事がしたい方
・記録関連が苦手で無い方
・重度の身体介護には自信の無い方
・他の職員との連携よりもどちらかと言うと自分1人で業務完結したい方
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございます。
「確かに!」「いやそうかなぁ?」等、様々な感想を持たれる方がいらっしゃると思います。
ここで書かせていただいたのは、あくまでも私の独断と偏見です。
いつもこのブログでも書いていますが、最終的には施設形態や法人形態といったような括りで判断するのでなく、施設それぞれに環境や特徴があります。
そこは是非ご自身で見極めてください。
ただし、どんなところが向いているのか?と悩まれている方がいるのであればば、そうした方の判断のきっかけに少しでもなれば幸いです。