こんにちは「介護コンサルをしながら、現役介護士を両立」がモットーのごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
突然ですが、みなさんは「キラキラ系介護士」をご存知ですか?
以前よりSNSやその他Web上でも目にする事の多い、この「キラキラ系介護士」の文字。
一見「キラキラ介護士」と言えば
- 「キラキラ輝く素敵な介護士」
- 「充実した仕事ができている介護士」
- 「前向きな良い介護士」
こうしたポジティブなイメージする方も多いかもしれません。
ただ、実際の介護現場においては
- 「キラキラ系介護士のせいで混乱が絶えない」
- 「キラキラ系介護士のせいで残業が増えた」等々
どちらかというと介護現場の同僚からは、ネガティブなイメージを持たれる事が少なくありません。
そこで今回は、
- キラキラ系介護士についての全容
- キラキラ系介護士が、なぜ介護現場から煙たがられてしまうのか?
このあたりについて、まとめていきたいと思います。
「キラキラ系介護士」とは何者なのか?
まず初めに、そもそも「キラキラ系介護士」とは何者で、どういった介護士を指すのかについて整理をしておきたいと思います。
「キラキラ系介護士」の特徴
まず「キラキラ系介護士」と言われる介護士によくある特徴をいくつか挙げてみたいと思います。
- 「自分が大好きで、自分の介護観が正しいと信じて止まない」
- 「利用者さんに対して、自己犠牲を厭わず尽くす事が正だとする」
- 「介護の仕事には、やりがいを求めるべきで、お金なんで二の次」
- 好きな言葉は「利用者さんの為に」「やりがい」 等々
「良く言えば前向き」「悪く言えば現実逃避」それがキラキラ系介護士
このような特徴をもつキラキラ系介護士。
良く言えば、
介護士としてのプライドを持ち、介護の仕事に対して非常に前向きな介護士
その一方で、悪く言えば、
自己犠牲を前提に「大変な事」や「出来る事、出来ない事」を見極める事のできない、現実逃避をした介護士
とも言えます。
更に言えば、
「介護士としてのプライドや理想が高過ぎる」が故に「頑張り過ぎる」
その価値観を周囲に押し付けてしまう
というようなキラキラ系介護士も少くありません。
利用者さんやご家族からは大人気のキラキラ系介護士
このようにキラキラ系介護士は、自己犠牲を惜しまず、前向きに介護に勤しんでいます。
だからこそ「利用者さん」や「利用者さん家族」からは大人気です。
・利用者さんの無理難題にも「利用者さんの為なら」と「お任せください」の二つ返事
・残業になってしまっても「私は好きで残業しているんで!」とポジティブ
・利用者さんの暴言や暴力もしっかり受け入れます!
これらはあくまでも一例ですが、とにかく「利用者さんの為なら」と後先考えずに利用者さんの要望を前向きに受け止めてくれます。
結果、利用者さんやご家族からも「キラキラ系介護士さんは、いつも前向きで話の分かる介護士さんだわ」と大人気となるのは、至極当然の結果かもしれません。
同僚からキラキラ系介護士が煙たがられる理由
ただしその一方でキラキラ系介護士は、介護現場の同僚からは煙たがられるという欠点を持っています。
「現実を見る力」や「できる、できないの判断力」が欠落しているキラキラ系介護士
上でも書いた通り、キラキラ系介護士の悪い点として
・キラキラ系介護士の対応は、後先考えずに行われているものが多い
・キラキラ系介護士は、現実を受け止めずに理想に走りすぎている
こうしたものが挙げられます。
特にキラキラ系介護士は、「利用者さんの為に」という思いが強すぎるが故に、このように現実を見ずに行動するケースが少なくありません。
ただし、介護士として
「専門職のプライドを持つこと」
「前向きに取り組むこと」
「利用者さんの為にと考えること」
これらに問題があるわけではありません。
それこそ根底にはこうしたマインドが整っている方が良い事もあると思います。
ただし問題はこうしたマインドばかりが先に立ってしまい、「現実を見る力」「できる事・できない事を見極める」が欠落してしまっているという事です。
「頑張り過ぎる」自己犠牲マインドの強いキラキラ系介護士
またこうした前向きなマインドが「頑張り過ぎる」に繋がり、周囲から煙たがられるきっかけになる事も少なくありません。
まず大前提に、仕事を「頑張る事」と仕事を「頑張りすぎる事」は、全くの別ものです。
「頑張り過ぎる」というのは、無理をするという事で、自己犠牲を伴わせるという事です。
その結果、
「自身の身体を壊してしまう」
「自分を大事にに出来ない」
という事に繋がりかねません。
それこそ、介護業界でよく問題視される「仕事を辞められない」等も、根底にはこうした自己犠牲の精神があるのではないかと思います。
こうした負のマインドを持ち込まれるようでは、周囲から嫌われるのも至極当然の事です。
キラキラ系介護士の価値観の押し付けが最も厄介
そしてこうした特徴を持つキラキラ系介護士が嫌われる一番の理由が、この「プライド」や「頑張り過ぎる」という価値観を同僚や部下にも求め、押し付ける傾向があるという事です。
その背景には、キラキラ系介護士は思いが強い、職場を良くしたい、利用者さんの為にという思いが強い、という事があります。
それこそ自分の範疇で「プライドを持つ事」「頑張り過ぎる事」について、外野がどうこう言う必要はありません。
ただし、キラキラ系介護士にとって思いがあるのと同様に、同僚にも同僚の仕事に対してのスタンスや価値観があります。
実際、介護業界にはプライドを求めず、あくまでも収入を得るための手段として介護士になった人もたくさんいます。
プライベートとのメリハリをつけて、残業や休日出勤はせず、無理のない範囲で仕事をしたい人もいます。
むしろ仕事をする上では、そうした一定の割り切りそしている介護士の方が多いと思いますし、それこそ介護士という負担やストレスの多い仕事においては、それくらいの割り切りがなければ、バランスが上手く取れないという人も多いのではないでしょうか?
それにも関わらず、キラキラした価値観だけを押し付け「介護士としてもっとプライドを持って…」「利用者さんの為にもっと残業をして…」と押しつけられては、職場から煙たがられても当然なのかもしれません。
キラキラ系介護士の何がいけないのか?
ではキラキラ介護士の何が行けないのか?
これは「なぜ頑張り過ぎはいけないのか?」にも置き換えられると思っています。
答えは簡単です、人間頑張り過ぎ(無理)を続けることはできません。
そしてこのキラキラ系介護士が「頑張り過ぎ」を押し付けることも大きな問題ですが、何よりも一番の問題は、「頑張り過ぎ」の許容が次の「頑張り過ぎ」を繰り返し生み出すということです。
みなさんもご覧になったことがあるのでないでしょうか?
「利用者さんの為なので」という合言葉の元に積極的に残業(最悪、サービス残業)するキラキラ系介護士の姿を。キラキラ系介護士は悪気もなく、「利用者のためにただ一生懸命に頑張った」に過ぎません。
ただしその光景を見た上司が
「キラキラ系介護士さんいつも残業して仕事してくれてありがとうね!」
「それに比べキラキラ系でない介護士さんは…」みたいな話になると、が始まると「頑張り過ぎ」が強制される第一歩です。
こうなるともう止まりません。
キラキラ系介護士は、今後も残業ありきの仕事をしなければならない。
キラキラ系介護士で以外は、無駄に職場での評価を下げる、そしてそれを見ている周りの職員も残業をしなければならない空気感になる。
このように「頑張り過ぎ」による負のスパイラルがスタートします。
これは、対利用者さんについても同様です。
キラキラ系介護士が「利用者さんの為に」と後先考えずに、本来すべきでない過剰はサービスをしてしまう事で、本来の適切な業務を行っている介護士が責められたりするというケースも珍しくありません。
このように対上司・職場、対利用者さん、双方に対しての悪循環のリスクが増します。
キラキラ介護士についてのまとめ
いかがでしょうか。私はキラキラ系のもたらす「頑張り過ぎ」や「押し付け」以上に、そのキラキラ系を都合よく遣い、何なら推進する職場環境に原因があるというわけです。
簡単に言うと過度な従業員依存を生みだすわけです。
繰り返しますが、頑張りすぎを生み出すのは「頑張り過ぎている」本人ではなく、それを管理する管理者層だということです。
管理者が知らず知らず、頑張りすぎている従業員に依存し、頑張り過ぎなければ働きづらい職場空気を作っていると言ってもいいでしょう。
結果的にこれが職員の離職や過度な疲労に繋がるわけですから、誰のためにもなりません。
変な話、キラキラ系介護士に向かって「そんなに頑張らないでもらいたい」「メリハリをつけてもらいたい」と言えるくらい管理層に余裕がなければ、職場の健全な環境は担保されないのかもしれません。
本ブログを御覧頂いている管理者の方がいらっしゃればぜひ一度胸に手を当てていただければと。
冗談抜きで知らず知らずこのスパイラルにハマってしまっている職場が多いです。
最後に、
もし自分の職場がキラキラ系だらけで「頑張り過ぎを強要されるような職場」なのであれば、それは転職を考えてください。
「頑張り過ぎ」を良しとする環境は自分たちを麻痺させますし、気づいた時に身を滅ぼしかねないと私は本気で思っています。
「介護(福祉)」=「頑張り過ぎは当然」なんてことは絶対にありません。
繰り返しますが、仕事である以上ときには「我慢」や「努力」が必要だと思います。
ただしそこには程度の範囲が必要だということです。
そして、そんなメリハリのある、あるべき環境が整った介護施設は世の中にたくさんあります。
もう少し自分自身を大事にしつつ、自分の仕事に対してのスタンスや環境について考えてみても良いと思います。