こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
私は、新卒で介護業界に飛び込み11年間介護現場や管理職を経験してきました。
その後、転職コンサルに5年間従事し、現在は介護コンサルをする傍ら、介護現場で介護士としても現場のお手伝いをさせていただいています。
当ブログではそうした中での経験や思いについて、書き記していきます。
ちなみにそんな元転職コンサルでもある私、ごろにぃがオススメしている転職サイト(エージェント)が、しろくま介護ナビです。
「ホワイトな介護現場の求人のみをピックアップする」をテーマに「しろくま」と命名され、新聞にも取り上げられる程の転職サイトです。
ブラックと言われる介護業界に一石を投じるサポート方法で、私自身も自信をもってご案内しています。ぜひご参考に。
入り口から少し脱線しましたが、それでは本題です。
まず、この記事をお読みいただいている方は「介護従事者の方」中でも「介護福祉士の取得を検討している方」が多いのではないかと推測します。
そして皆さんは、この「介護福祉士の取得難易度」を大きく左右するような議論が国で繰り広げられているのをご存知でしょうか?
特に今回厚生労働省で取り上げられているのが専門学校や大学に通って介護福祉士取得を目指すいわゆる「養成施設ルート」に対しての見直し検討です。
本記事ではこの「養成施設ルート」の資格取得過程の見直しを中心に考察していきたいと思います。
現在の介護福祉士取得方法について
まず、現在定められている介護福祉士の取得方法について、簡単に整理しておきたいと思います。
介護福祉士の取得方法は「養成施設ルート」もしくは「実務経験ルート」が中心
まず、現在の介護福祉士の資格取得ルートは以下のように「養成校ルート」「実務経験ルート」を中心として以下の4つの経路に分類する事ができます。
(出典)社会福祉振興・試験センターhttp://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html
■介護福祉士の資格取得ルート
- 養成施設ルート
- 実務経験ルート
- 福祉系高校ルート
- 経済連携協定(EPA)ルート
ちなみにこの4つの資格取得ルートの中でも最も高い比重を占めるのが「実務経験ルート」、次いで「養成施設」ルートというで介護福祉士を取得する方が多い傾向にあります。
2017年から「養成施設ルート」に筆記試験が追加
ちなみに上記の資格取得ルートをご覧いただくとわかる通り、現在はどの取得経路でも最終的に実技試験の前段階で「筆記試験」が必須となっています。
ただし、養成施設ルールに筆記試験が追加されたのは、2017年からで、目的は「介護福祉士の資質向上」とされています。
現在はこの筆記試験必須化に伴って経過措置期間とされており、2022年度からの完全必須化というスケジュールが組まれています。
■筆記試験必須化の経過措置
- 卒業後5年以内に国家試験に合格
- 卒業後5年間連続して介護実務に従事
※いずれかの条件をクリアする事で、2022年以降も介護福祉士として勤務が可能
これらのように、国としては介護業界に対して「介護レベルの向上」「資格者の資質の向上」等といった方向での施策が進められてきたのが昨今の傾向です。
介護福祉士の取得方法の見直しがスタート
繰り返しになりますが、これらのように「介護業界や介護福祉士の質向上」に対して取り組みを進めてきた昨今のトレンドを大きく覆すかもしれないのが、今回の介護福祉士取得方法の見直しです。
「養成施設ルート」での国家試験義務化を改める?
今回の見直しは、2017年に見直したばかりの「養成施設ルートでの国家試験義務化」を再度見直すというものです。
理由は、介護福祉士養成施設における外国人留学生の割合増加にあります。
実際、現在の介護福祉士養成施設の定員は年々減少傾向にあり、それを食い止める要素となっているのが、増加傾向にある外国人留学生です。
■介護福祉士養成施設における外国人留学生の推移
- 2018年度:1,142名
- 2019年度:2,037名 (全入学生の約3割を占める)
これらのように、介護福祉士になった外国人を対象とする「介護」を在留資格が設けられた事で、今後益々外国人留学生の増加が見込まれます。
この大幅に増えている養成施設に通う外国人留学生にとって、介護福祉士の取得ハードルが上がってしまい、外国人留学生に敬遠されてしまう事を懸念している為です。
背景に見え隠れする国の外国人留学生頼みの姿勢
これらのように、養成施設経由での介護福祉士取得に対して、右往左往する今の政府が見え隠れします。
介護業界として
- 「業界全体の質向上や底上げをしたい」という思惑
- 「介護人材確保が急務」という課題
この狭間で揺れています。
確かに、介護士の確保は急務でかつ大事な問題です。
ただしその介護士数の確保が進まない状況を「質の劣化の許容」をしてまで「外国人頼み」で解決すべきかどうかは非常に難しい問題です。
私自身、外国人の介護士が増える事を必ずしもネガティブだと考えていないタイプですし、そうまでしてでも介護業界の人材確保を進めようとする必要性も理解しています。
ただしその背景で、資格取得難易度が乱高下したり、多くの介護従事者に戸惑いや不信感、そして質の劣化が起きてしまっては元も子もありません。
また今議論の中心にあるのは、養成施設を経由した場合の資格取得についてですが、今回の見直しが進められた場合、同じように他の資格取得ルートに対しても見直しが入る可能性もあります。
そのような過程で、数の確保ばかりに比重が置かれ、質の劣化が進められるような事ばかり進められるようであれば、その弊害は結局現場に及びます。
あくまでも今回の筆記試験の廃止は、検討段階に過ぎず、現段階ではなんとも言い難い部分ではありますが、今後の展開に注目しておく必要はありそうです。