こんにちは「介護コンサルをしながら、現役介護士を両立」がモットーのごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
最近は、介護現場における「利用者さんから介護士への暴力」が少しずつですが、取り上げられるようになりつつあります。
その一方で、それでも尚「利用者らんからの暴力」についてピンと来ないというのが世間の声ではないでしょうか?
- そもそもお年寄りなんて、みんな温厚なんじゃないの?
- 介護施設の利用者さんの力なんて大した事ないでしょ?
- 介護士が過剰に騒いでいるだけじゃないの?
こうした風潮が、介護現場の実態が伝わらない要因の一つではないかと感じる事があります。
ただし、そうした生易しい風潮やイメージは、介護現場の実態と大きく異なります。
事実、利用者さんからの暴力に悩む介護士、暴力を受けた結果介護士を辞めていく人たち、こうした例も少なくありません。
今回はこうした介護現場における利用者さんからの暴力の実態について、書いていきたいと思います。
「98%の介護士が利用者さんからの暴言・暴力を受けた事がある」と回答
まず、どの程度の介護士が利用者さんからの「暴言・暴力」を受けた事があるのかについて、アンケートを取った記事がありますので、そちらを抜粋させていただきます。
介護職の人材紹介サービス「介護のお仕事」(運営・ウェルクス)は2016年7月10日、「介護職が受ける暴言・暴力」に関する実態調査の結果を発表した。調査は6月24日から7月1日まで、ウェブアンケートの形態で実施。介護職と関わりがある全国の20~70代の男女100人が回答した。
調査結果によれば、「介護サービスの利用者から、暴言・暴力を受けたことがある」と回答した人は全体の98%に上った。どのような被害を受けたかについては、「利用者に噛まれた」「声をかけた瞬間、殴られた」といった回答が寄せられた。
(出典:ウェルクス)
この記事を見てもわかる通り、実に98%もの介護士が利用者さんからの暴言・暴力を経験しています。
それだけ、介護現場においては利用者さんの暴言・暴力が溢れかえっているという事です。
利用者さんからの暴力を甘く見ると大怪我をする
そして、この利用者さんの暴力。甘く見ていると本当に大怪我をしてしまいます。
ちなみに先日以下のようなTweetをしました。
「利用者さんからの暴力や暴言と言っても、相手は介護が必要なお年寄りでしょ」と軽く見ている人が実は多い。
でも男性、180センチ、体重70キロの私からしても「怖い、危ない」と身の危険を感じた事が何度かある。
皆が皆ではないけど、そういうシーンもある事はご理解いただきたい。
— ごろにぃ@介護コンサル (@goronyi_kaigo) June 11, 2019
するとこのTweetに対して、多くの介護士さんから共感の声がありましたので、そうした声も一部抜粋させていただきます。
SNS上の介護士さんの声
・素人さんは、介護施設に居る利用者さんを、金さん銀さんだと思ってる。
・理性を失った老人の握力や腕力ものすごい力です。
・センサー内蔵のベッド使ってるけど、転倒リスク高いおじいちゃんに夜勤入る度に杖で叩かれまくっている。
・他の職員は手引きとかしてるのに、視界に入っただけでキレる「他の人にはやらないのになんでですか?」と聞いたら「お前が入って来るからだ」と…
・あるある〜、不穏になってる人の力がどれほどのものか。
・首締められた人もいるよ!その時の対応が悪い場合もあるけど、一概にそうとは言えないよ。。。傷つけられて、穏やかにいられる人って、そう、多くないと思うよ。。
・全力パンチ 全力つねり人格否定は本当によく見られますよね。
・椅子を振り回して殴られた時は、なんでここまでして介護の仕事してるんだと泣きました。
・柔道二段でアメフト経験のある自分でも、危険を感じる時がありますからね。 そもそも感染症持ちの人が噛みついてきたり、弄便した手で引っ掛かれたりしたら病気になりかねませんし。
・リミッターが外れている人の力を馬鹿に しちゃいけない…前職の夜勤の方。 腕の内側を思い切り抓られてしまった せいで、赤黒い痣ができていました
私自身も経験似たような経験がありますので、非常に気持ちの分かるものばかりです。
もちろんこうした実態は利用者さん自身に悪意に紐づくものばかりではなく、認知症で自分の気持ちや行動を上手くコントロールできないが故というケースが大半です。
ただ、語弊を恐れずに言えば「コントロールができないからこそタチが悪い」とも言えます。
利用者さんからの暴力の生々しい傷跡 ※注:写真あり
言葉だけでは見えづらい部分もありますので、今回は敢えて利用者さんから暴力のによる介護士の傷跡を写真つきで掲載していきたいと思います。
※当写真は、私自身のものではなく、支援先や介護士仲間よりで頂戴したものとなります。
①利用者さんに掴み掛かられてできたアザ
こちらは利用者さんの拒否反応時等、腕を掴まれたりする際にできたアザです。
こうした「アザができる程の力を有している利用者さん」を「言っても介護施設にいるお年寄り」だと甘く見ていていると大怪我します。
それこそ「家に帰って気づいたら、こうしたアザができていた」というケースも珍しくありません。
②利用者さんの噛みつきによるアザ
またあまり想像できないかもしれませんが、利用者さんから不意打ちに噛みつきを受ける事も介護現場ではあります。
身体がの自由が効きづらい利用者さん程、こうした突発的な行動に出られてしまう事があります。
服の上からでも、これくらいのアザになることもあり、怖い意味で力強さが伝わってきます。
③利用者さんのツネリによる傷
また利用者さんが介護士に対して爪を立ててくる事も珍しくありません。
油断しているとこうした爪傷も日常茶飯事です
ここに紹介したのケースはあくまでも一例ですが、このように「介護施設の利用者さんだから」と暗に考えていると大怪我になりかねません。
この記事のまとめ
いかがでしょうか?
写真まで掲載して少し生々しすぎる部分もあるかと思いますが、事実介護現場ではこうした利用者さんからの暴力が起きています。
もちろんこうしたものは、利用者さんの側面の一つに過ぎませんし、全てではありません。
そして利用者さん自身も好き好んで暴力を振るっているわけではありません。
ただし少なくとも
- 利用者さんからの暴力くらい大したこと無いだろう
- 利用者さんの暴力は仕方ないんだから受けれろ
この実情を見て、こうした事は暗に言えないではないでしょうか?
だからこそ介護業界の大きな問題となりつつある、利用者さんの暴力についてもどのように向き合うべきかについて考えていく必要があります。
少なくともこの実態を「仕方ないもの」として片付け、しわ寄せが介護士だけにいく状況が続くのであれば、今後介護業界に人が集まる事はないでしょう。
こうした記事がそんな介護現場の実態を理解いただける一つの機会になればと思います。