現場リアル

【介護士への殺人未遂】あなたの職場はあなたの事を守ってくれますか?

年始早々に、介護業界に残念なニュースが飛び込んできましたね。

「入浴介護中に…グループホームで入所者の83歳女が女性職員の首絞める 殺人未遂容疑で逮捕」

以前より介護業界界隈で問題視されている「利用者から介護士への暴力」

いよいよこの問題が、殺人未遂容疑で利用者さんが逮捕されるレベルまできてしまったという事ですね。

 

[事件の概要]

入浴介護中に…グループホームで入所者の83歳女が女性職員の首絞める 殺人未遂容疑で逮捕

愛知県あま市のグループホームで、2日午後、入所していた83歳の女が女性職員の首をしめ、ケガをさせたとして殺人未遂の疑いで逮捕されました。

 逮捕されたのは、愛知県あま市の無職・水谷一枝容疑者(83)です。

 水谷容疑者は2日午後3時10分頃、あま市七宝町の「グループホームきららあま七宝町」で、入浴中に介護をしていた女性職員(22)が着ていたパーカーのひもを引っ張り首を絞めた、殺人未遂の疑いが持たれています。

 女性職員は駆けつけた救急隊員によって、病院に運ばれましたが、首を擦る軽傷です。

 警察の調べに対し、水谷容疑者は「そうだね、体調が悪かった」などと話していますが、容疑の認否については不明だということです。

 警察は犯行の動機や経緯などを詳しく調べています。

 (東海テレビ 1月3日配信ニュースより引用)

 

「利用者から介護士への暴力は珍しくない」

介護に精通していない方は、今回の事件を聞き「職員に手を上げるなんて、この利用者さんはよほど問題の人だったのだろう」とイレギュラーケースだという認識を持たれるかもしれません?

でも介護業界で勤務されている方ならわかると思います。

介護施設において、今回のような利用者さんから介護士にへの暴力は、もはや珍しいものでなくなりつつあります。

ただし今回のように「逮捕」に至るケースは非常に稀で、このようにニュースとして取り上げられる事もありませんでした。

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利用者さんからの暴力はなぜ取り上げられないのか?

介護業界界隈では、増加傾向にある利用者さんからの暴力がなぜ社会に取り上げられないのか?

理由は「介護業界」そのものにあります。

■利用者さんからの暴力が取り上げられない理由

①利用者は「弱者」であり「お客様」だという介護業界の固定概念

②介護業界に蔓延する福祉の精神

③職員を守ろうとしない介護施設

 

①利用者は「弱者」であり「お客様」だという固定概念

確かに利用者さんは何かしらの支援が必要な人であり、見方によっては「弱者」です。そして費用をいただいている「お客様」でもあります。

ただしこの点だけを過度に捉えるがあまり、「弱者」かつ「お客様」である利用者さんの振る舞い(暴力暴言)に対して、介護士が騒ぎ立てる等というのはおかしな事だという固定観念が福祉業界に染み付いています。

「利用者さんは常に守られるべき存在」だという固定概念です。

②介護業界に蔓延する福祉の精神

利用者さんに介護する事を「介護させていただいている」という表現を使う方がいらっしゃいます。

こうした表現から読み取れるように「介護士はあくまでも利用者さんに与え続ける」存在でなければならず、利用者さんの行動全てを受け止めるべきだという、昔ながらの福祉の精神を振りかざす介護施設が未だに存在しています。

③職員を守ろうとしない介護施設

そしてこれが一番の問題ですが、多くの介護施設では利用者さんからの暴力があってもご本人やご家族さんに苦言を呈するような事はほとんどありません。

自分たちの職員が傷つけられているにも関わらずです。

むしろ利用者さんから暴力があっても、そこに至った介護士側のケア内容や配慮不足ばかりを問題視し、従業員を守るために、ご本人やご家族と向き合うとする介護施設が意外に少ないのも事実です。

その水面下で多くの介護士が耐え苦しんでいます。

そして感覚がマヒした介護施設では利用者さんの暴力は一定当たり前のものとして受け止めています

今後の問題と対策

身体は元気でも自分のコントロールが利かないお年寄りが増える事で、今後益々こうした利用者さんから介護士への暴力は増加すると予測されます。

こうした利用者さん達を全て介護施設という環境で受け入れるべきなのか?どのように対応すべきなのか?

課題は本当に山積みです。

但しその手前で一番大事な事は、まずはしっかりと利用者さんの暴力や暴言と向き合う介護施設が増える事です。

介護施設で守られるべきは常に利用者さんとは限りません。時には介護士が守られるべきなのです。

判断能力の無い利用者さんが手を上げてしまうという思考や行動を理解するという事は介護士として必要かもしれません。

ただしそれと利用者さんの暴力を受け入れる事とは全くの別物だということです。

しっかりとトラブルの原因が利用者さんにある場合は、利用者さんやご家族にも理解を促し、厳しい場面では退去してもらうなり、暴力事件として声を上げる事も必要です。

実際、声に出しても利用者さんに判断能力が伴っていないケースが多く、刑事責任を負わされる事は少ないでしょう。

ただしそれでも声に出し、職員を守り、介護施設の在り方を変えない限り、未来の介護業界は真っ暗です。

繰り返しますが、利用者さんを受け入れ理解する事と暴力を受け入れる事は全くの別物です。

今の介護業界では、まずはこんな当たり前を浸透させるところから始めるべきなのかもしれません。

 

【おまけ】
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