労働条件

介護士のサービス残業を徹底調査「4人に1人はサービス残業?」

こんにちは「介護コンサルをしながら、現役介護士を両立」がモットーのごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。

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介護業界と言えば、労働環境の問題がよく取り沙汰されますが、その中でもよく取り上げられるのが「サービス残業」の問題。

そんな介護現場の「残業問題」「サービス残業問題」について、「全国労働組合総連合」が調査したデータがつい先日公表されました。

今回は、この調査結果に則り「介護業界の残業の実態」について、以下のようなポイントを軸に掘り下げてみたいと思います。

・介護現場は本当に残業が多いのか?

・未だにサービス残業が横行しているのか?

・残業の背景には何があるのか?

介護現場の残業時間は、平均で月8.2時間、正社員では平均10.2時間

まず現在の介護現場での残業時間について、「全国労働組合総連合」の発表数字に基づき掘り下げてみたいと思います。

残業時間の分布

残業時間 割合
0時間 32.3%
10時間未満 37.3%
10~20時間未満 16.6%
20~30時間未満 7.8%
30~40時間未満 2.8%
40時間以上 3.1%

(出典:全国労働組合総連合 調査 ※2018年9月勤務実績より)

この結果を見て残業0時間と回答した方が32%、実に3人に1人は残業がない状況だという事に少々驚きました。
それだけ業界全体で見れば、少しずつですが残業時間が減少しているのかも知れません。

ただ裏を返せば、3人に2人は残業が強いられ、一部では40時間を超える現場もある等、職場間の格差が広がりつつある事も確認できます。

雇用形態別の残業時間

雇用形態 残業時間(月) 回答者数
正規職員 10.2時間 1,992名
非正規(フルタイム) 5.3時間 419名
非正規(フル以外) 2.0時間 404名
下請け・派遣 2.7時間 10名
嘱託・雇用継続 8.0時間 143名

(出典:全国労働組合総連合 調査 ※2018年9月勤務実績より)

雇用形態別の残業時間は、上記の通り正社員が最も多く10.2時間/月となっており、介護現場全体の平均でも残業時間が10.2時間となっています。

介護現場の4人1人は未だにサービス残業に追われている

一見、残業時間が減少傾向にありホワイトが進んでいるかに見える介護業界ですが、なかなかそうもいかないという結果もあります。
それが「サービス残業」です。

サービス残業の有無について

不払い残業時間 割合
0時間 75.0%
10時間未満 15.5%
10~20時間未満 5.6%
20~30時間未満 2.1%
30~40時間未満 0.7%
40時間以上 1.1%

今回の全国労働組合総連合の調査によれば、上記の残業があると答えた介護士のうち、実に25%の介護士が「不払い残業がある」と回答しています。

それこそ、どれだけ残業時間が少なくなっても「サービス残業」が存在する限り何も意味も成しません

サービス残業の原因となりやすい業務

では、実際のところ介護現場でサービス残業として処理されてしまいやすい業務にはどのような業務が多いのかについても掘り下げてみます。

こちらの調査結果からもわかるように、不払い労働の原因となりやすい業務では「情報収集・記録」が圧倒的に多い、という結果が得られています。
以下、ケアの準備片付けや会議・委員会なども上位にランクインしています。

サービス残業の原因となる要注意業務ランキング

第1位 情報収集・記録

第2位 ケアの準備・片付け

第3位 利用者へのケア・家族への対応

第4位 会議・委員会・研修

まさに記録・会議・準備・片付け等、あまり表立った業務にならずとも水面下で現場の介護士の負担となる業務が、こうしたサービス残業の原因となる事もわかります。
また、介護現場のアナログの部分というのもこうした現場の負担に繋がっている事が予測されます。

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サービス残業が生まれる理由

このように、未だに蔓延るサービス残業の問題。
なぜサービス残業が起きてしまうのかについても、本調査を少し掘り下げてみたいと思います。

まずサービス残業が生まれる理由は基本的にはこの2つしかありえません。

①自らが意図的に残業申請をしていない

②残業申請をさせてもらえない

【介護士のサービス残業】本人がOKでも介護現場が破滅する理由こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。 数年前まで「サービス残業なんて当たり前」と言われていた介護業界。 ...

では、実際にサービス残業が生まれる理由を内訳で見ると以下のようになります。

サービス残業の理由(複数回答可)

第1位 自ら請求していない(70.9%)

第2位 残業請求できる雰囲気にない(40.3%)

第3位 残業が支給されない業務や会議がある(25.8%)

第4位 請求できる上限が決められている(11.5%)

第5位 請求しても削られる(4.5%)

この結果を見ると、いかにサービス残業という概念に対して危機感のない介護事業所が多いかが思い知らせれます。
サービス残業自体が以ての他なのは言うまでもありませんが、「残業請求できる上限が決められている」「残業請求しても削られる」等というのは、悪の極みと言わざるをえません。

こうした立ち振舞やルール設計をする法人があると思うだけで憤りを感じられずにはいられません。
またそうした職場で「我慢」という選択を取る介護士の忍耐力にも頭が下がります。

個人的には、このレベルのものは退職をオススメします…

サービス残業についての「まとめ」

いかがでしょうか?
一見、残業時間が減少傾向にあり、ホワイト化が進んでいるようにも見える介護業界。
ただしその一方で、「正しく運営する法人」とコンプライアンス度外視の「運営体制に問題のある法人」の格差が大きく広がっている事が伝わってくる結果だと言えるのではないでしょうか。

どこの業界にも少なからずこうした法令を無視した、そして従業員を従業員と扱わないような職場が存在するのも事実です。

でも裏を返せば、そんな職場であっても働き続けてくれる介護士がいるから、そうした介護施設が何も変わらずに残ってしまっているというのも実情です。

もし今、こうしたサービス残業が横行しているような職場に努めている介護士の皆さんがいるのであれば、本当にそこで働き続けるべきなのかについては、もう一度しっかり検討される事を心から願います。

大げさな話ではなく、介護士が正しい職場を求める、正しい環境を求める、こうした考えや行動が浸透する事が、介護業界全体の改善には必要になってくると思います。

最後に、
「でも転職しても、どこも同じ」
そんな考えをお持ちの方、転職に迷われている方に向けて、私からオススメの転職サイトを紹介させていただきます。

少なくとも、もし今の職場がサービス残業も横行する職場なのであれば、、、もちろん無料ですので、ぜひ有効活用ください。

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