こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
世の中には「何でも屋」「便利屋」等というように、「困った時に何でも対応します」という業者が存在します。
実はこうした傾向が、専門職の集まりである介護業界で大なり小なり発生しているのはご存知でしょうか?
介護士以外の専門職種で入社しているにも関わらず、気付けば「介護業務がメイン」「雑用は何でも担当」というような例は少なくありません。
そんな職種を「何でも屋」と称してランキング化してみました。
(注)本ランキングは、ごろにぃの経験に基づき独断と偏見で決定しておりますので、一部実態との乖離が生まれる可能性がある事をご承知おきください。
介護施設の何でも屋ランキング:第1位 「相談員」
「介護現場の何でも屋ランキング」栄えある第1位はやはり相談員として活躍されている皆さんではないでしょうか。
「特養やデイ等の生活相談員」「老健の支援相談員)等、介護現場では相談業務や窓口業務を主として担当している相談員の皆さんがいます。
■一般的な相談員業務
・入居者(利用者)さんやご家族のお悩み相談の受付
・入居(利用)希望者への対応やアドバイス
・専門関係機関との連携や調整 等
業務内容をご覧いただいてもわかるように、相談員の仕事は介護従事者として直接介護をするのではなく、介護を受けてもらう為の相談やアドバイスをすることです。
もちろん相談員としての業務を遂行する為には、介護現場の理解をしていなくてはなりませんし、その為の現場理解を深める事は必要です。
ただし中には「相談員たるもの現場理解が必須だ」という大義名分の元に、膨大な介護業務に忙殺されている相談員も少なくありません。
それこそ人手不足のデイサービス等では、相談員業務と介護業務が2:8の割合だという例も珍しくはありません。
相談員業務に加え「入浴介助」「食事介助」「排泄介助」さらには「送迎業務」と何でも熟し、疲弊している相談員が介護現場には溢れかえっています。
介護施設の何でも屋ランキング:第2位 「ケアマネジャー」
介護施設の何でも屋ランキング第2位は「ケアマネジャー」で良いのではないでしょうか。
一見、介護業務とは切り分けられた環境で勤務していると見えがちなケアマネジャーですが、実態はそうとは言い切れません。
■一般的なケアマネジャーの業務
・ケアプランの作成
・ケプラン作成の為の面接やヒアリング
・プラン作成遂行に際しての、関係機関や職種との調整 等
ケアマネジャーの中でも、特に「施設ケアマネ」や「施設併設の居宅ケアマネ」の場合に、何でも屋としての働きを求められるケースが多いように見受けられます。
相談員と同様、日々介護業務が行われる現場近くにいる為、「ちょっと〇〇さん、今日は人手が足りないから入浴介助手伝って」と、ヘルプ要請に始まり、気付けばいつの間にか何でも屋という例も少なくありません。
また介護業務だけでなく、「ちょっと買い物お願い」「この書類作成しておいて」等と、何かに「ついでに、ついでに」と特に担当が決まっていない業務がそのままケアマネジャーに流れてくる事まであります。
介護施設の何でも屋ランキング:第3位 「管理者」
介護施設の何でも屋ランキング第3位はまさかの「管理者」です。
「管理者なんて偉そうにしているだけ」に見えるかもしれませんが、水面下で何でも屋としての機能を果たし、走り回っている管理者さんも少なくありません。
介護士不足の現場にどっぷり足をつけて、一緒に介護をしている管理者さんもいれば、掃除から買い物、物品管理まで、他の職員の手の届かない雑用をひたすらフォローする管理者さんまで実に様々。
特に規模の小さな施設に至っては、管理者自身が相談員やケアマネ業務を兼務しながら回していますという例も少なくありません。
でも介護施設の「何でも屋」は、時に必要
このように介護施設での何でも屋についてランキング化してみましたがいかがでしょうか。
ここに挙げた職種のみならず、「何でも屋」として業務が振られている看護師さんや事務員さんまで存在します。
ただ誤解をしてもらいたくないのは、「何でも屋が必ずしも悪ではない」という事です。
それこそ、「相談員にしろ」「ケアマネにしろ」「管理者にしろ」介護現場とは切っても切れない業務を行っている為、現場の事を理解する事が必須です。
その為に現場の介護士と蜜に情報を共有し合う事は当たり前に必要ですし、時には手段として現場を手伝う事もあって良いと私は考えています。
ただし「介護現場は大変」という部分が取り上げられてしまう事ことで、本来は別の責務を果たす必要のある職種の職員までが、介護業務に忙殺されてしまうような事態になると、本業である「相談員業務」「ケアマネ業務」「管理業務」が疎かになりかねません。
そうなってしまうと、介護施設全体で見た時には完全に本末転倒であることは当然ながら、介護現場の対策としてもその場つなぎの策としか成り得ません。
「介護現場では介護士以外の専門職の離職率も高い」という事もよく問題視されますが、こうした現場環境が少なからず影響しているのではないでしょうか。
そうした意味で「介護施設の何でも屋」は決して悪とは言えませんが、やはりバランスが非常に大事だというのは言うまでもありません。
「私は介護士ではないので」は時に現場を疲弊させる
そして介護現場では、全く逆の例も存在します。
それが「私は介護士ではないので」というものです。
「介護施設の何でも屋」として介護業務や雑務に忙殺される専門職がいる一方で、「私は介護士ではないので」と、介護現場と自身の業務を完全切り分けている方も少なくありません。
もちろん本来は、「介護業務は専門職である介護士」「相談員業務は専門職である相談員」等のようにそれぞれが切り分けられ、その上で必要な情報交換が行えれば、それに越した事もはありません。
しかしながら「それが成り立つ介護現場は、そう多くはない」という事も理解しておく必要があります。
急な介護士の欠員や利用者さんの緊急対応で、目の前の介護士がドタバタしている介護現場は日常に溢れています。
時にはそこに介護士以外の専門職が手を差し伸べるくらいの余裕が無ければ今の介護現場は周りません。
それこそ「困った時はお互い様だ」と思えるような余裕と関係性が介護現場では求められます。
そんな環境下であっても、一切現場を顧みずに「私は介護士じゃないので」がまかり通る職場があれば、それはある意味で人間関係が不健全かもしれません。
大事な事は何でも屋を当たり前にしない事
相談員やケアマネであったととしても、時に必要であれば介護現場の手助けをすることに私自身は賛成します。
ただし大事なのは、それを当たり前にしない為の管理者の差配や現場の配慮です。
今、「介護現場の何でも屋」として日々振り回されている人も始めは「少しくらい手伝わないとな」という思いからスタートしたものが、いつの間にかそれが当たり前にというようなケースも多いのではないでしょうか。
間違いなく言えることは、介護現場が大変な中で何とか回っているということ。
そして時には、ヘルプに入った介護士以外の職種が疲弊したり、逆に我関せずでいるということ。
大事なことは、介護士であれ、その他の職種であれ双方が双方の状態に配慮をしながら、介護現場を回すという事です。
私ならそうした配慮が自然にできる職場で働きたいと思います。
現場で働く以上、管理者はもちろんながら各職種の職員同士が、そうした配慮ある環境を目ざす事にことに大きな価値はあると思います。