現場リアル

【介護施設でインフル集団感染】利用者さん死亡は介護士の責任?

この年末年始にかけての全国的に猛威をふるいつつあるインフルエンザ。

この時期はどの介護施設でもインフル等の感染症を蔓延されてなるまいと、より敏感に対策をされている事と思います。

しかしそれでも「完全シャットダウンが難しい」のが、この手の感染症。

そんな中、今回「介護施設でインフルエンザが集団感染し、利用者さんが死亡してしまう」という残念なニュースが飛び込んできました。

インフル集団感染1人死亡、秋田

秋田県大仙市の社会福祉法人大仙ふくし会は6日、運営する特別養護老人ホーム愛幸園」で、デイサービス利用者ら計26人がインフルエンザに集団感染し、うち入所者の97歳の女性が肺炎で死亡したと発表した。
「インフルエンザによって死期が早まった可能性がある」としている。
愛幸園によると、昨年12月27日以降、デイサービス利用者14人、入所者3人、職員9人がインフルエンザA型と診断された。死亡した女性のほかに重症者はいない。
27日に職員1人が発熱で欠勤、インフルエンザと分かった。
同26日の勤務の際、既に感染していた可能性がある。

 (1月6日 共同通信より引用)

介護施設では感染症対策は必須

そもそも介護施設では、感染症に対しての対策が必須です。 

(参考)厚生労働省より
 高齢者介護施設における感染対策マニュアル

感染症対策の例

①委員会設置(対策マニュアル等)

予防接種(ワクチン接種)

④環境管理(湿度管理、消毒等)

⑤手洗いうがい(外部来訪者含む) 等

 

今回集団感染が発生した、この秋田県の特養でもこうした感染症対策と取られていたと考えられます。

それでも発生してしまうリスクがあるのがインフルエンザであり、感染症です。

逆に万が一これらに大きく満たないような対策しかできていなかったのであれば、今回の集団感染は起こるべくして起きたと言えますし、その責任が重いのは言うまでもありません。

介護施設は万能施設では無い

それでも介護施設に対して過度な期待やイメージを持っている人が世の中にはたくさんいます。

例えば今回の一件についても、ネットやSNS上では既にこうした声が聞かれます。

「これじゃ何のために介護施設に預けているのか分からない」

「インフル発症して出勤とか介護士する資格無しでしょ」etc

こうした考え方に、私は凄く違和感を感じます。

まるで「介護施設では、感染症にかかるような事は絶対に無い」というようなイメージを持たれているのではないでしょうか?

繰り返しますが、介護施設は完全無欠の施設でも無いですし、こうした事が起こり得ます。

当然予防接種をしてもインフルは発症リスクは残ります。。。

大事なことは無理に責任問題にしないこと

そしてこうした事が起きてしまうと、外部の声に影響されやすい法人等では直ぐに責任問題に発展しまいがちです。

今回で言えば、初めにインフルに罹った職員さんに過剰に責任追及をしたり、フロア管理の責任追及が始まったりするのが悪い例です。

このような事が起きた以上、どこに原因があったのかはしっかり検討し、今後同様の事が起きないようリスク管理を進める事は必要です。

でも「再発防止対策の必要性」と「介護施設や介護士への過度な責任追及」は別ものです。

繰り返しますが、感染症を完全に防ぐ事は不可能ですし、それが免疫力の落ちた高齢者が集まる介護施設内でと言えば、それは尚更です。

完全防止が不可能なものに過度な責任を追求しても何も生まれません。

ただでさえ人手が足りず、大変な介護現場。

こうした時に無理に責任問題に発展されてしまうと益々人の寄り付かない現場になりかねません。

最後に

今回の秋田県の特養での一件については、非常に難しい問題だと思います。

こうした事が世の中の介護施設で蔓延するようでは困りますし、その中でしっかりと対策はしておくべきですし、利用者さんをお預かりする立場として、それは責任だと思います。

ただし「対策の責任」と「起きたことへの過剰な責任」は別問題だということです。

誤解してもらいたくないのは、感染症のような問題が起きて良いと言っているわけではありません。

介護施設で「防げない事もある」ということへの理解と、だからこそ「無理に誰かに責任を押し付ける」ということは止めてもらいたいという事が言いたいわけです。

それでもこれらのような介護施設への過度な期待や理想から、防ぎようの無いものに対してまでも、過度に責任を求められ悩まされる介護士はたくさんいます。

「期待する事や理想を持つこと」と「現実を見ること」は全く別のものです。

現実の伴わない過度な期待や理想は時に現場で働く介護士を追い込みます。

その点がこうしたブログを通じ少しでも広がり、苦しむ介護士が減少する事を祈るばかりです。

 

【おまけ】
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