現場リアル

介護士施設での熱中症対策に警告「冷房代をケチるのが正解?」

こんにちは「介護コンサルをしながら、現役介護士を両立」がモットーのごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。

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5月下旬とは思えない暑さに見舞われる今日この頃。
この時期の北海道で最高気温39℃とまでくれば、これはもう異常気象以外のなにものでもありません…
「思わず冷房を入れた」という皆さん、賢明な判断だと思います(笑
私も我慢できず、早々に冷房を解禁です。

しかしながらこの異常気象の中、冷房の使用一つとってもマニュアル一辺倒で的確な判断ができない介護施設が少なからずあります。

・冷房を使用するのは6月~9月だけだというルール

・冷房の温度は28℃均一というルール 等々

こうしたルールだけに囚われて、柔軟な判断ができない介護施設が存在する事自体時代錯誤も甚だしと言わざるを得ません。
ただそんな介護施設が多いというのが、介護施設の実態でもあります。。。

今回はこのルール一辺倒の結果生まれる「間違った節約」「リスク管理」について、熱中症問題を中心に掘り下げて記事を書いていきたいと思います。

節電?介護現場で多い冷房利用の規制

先日、あまりの暑さの中以下のようなTweetをしました。

多くの方に反響いただくと同時に思いの外、冷房の運用一つをとっても問題のある介護事業所が多い事が判明…

いただいたリプを参考に、いくつか事例を挙げてみます。

・冷房の使用は、その時の気温ではなくて月で決めてますよね。「夏でも肌寒い時もあるし」と言うと「この設定温度で決まってるんで」とか…

・上層部が来る時はチェックが入るので、28℃設定にする決まり。日当たり良すぎて蒸し風呂。設定温度と室温違うから! 自分たちは涼しい部屋にいるんだろうな。

・冷房は付いてますが全く効きません。居室の温度は真夏日で29℃ぐらいあっても「冷房付いてるから」ってそれで済まされます。 夏は職員も入居者も地獄です。

・頑なに『28度』を守るように周知。有り得んわ。ある程度の使用量になるとアラームが鳴るシステム。

・「省エネモード設定」でしか使わせてくれないとかも辛いですよね…

・そもそも冷房がありません…

このように節電の観点からか、冷房使用のマニュアル化が浸透している介護施設が思いの外多いことを思い知らされます。
確かにルールが無い事も問題かもしれませんが、利用者さんの命を預かる現場において、マニュアル一辺倒の対応では些か不安が拭えません。

年間500人程度の高齢者が熱中症で死亡

冷房の規制の話を聞いて、真っ先に心配になるのは、やはり「熱中症」の心配です。
最近はニュースにて取り上げられる事も多くなりましたが、毎年熱中症に見舞われて病院に搬送される方、場合によっては死亡に至る方も少なくありません。

■「熱中症」による年間死亡者数

(出典)厚生労働省 人口動態統計より

こちらは厚生労働省発表のデータですが、実に年間600名以上の方が毎年熱中症で死亡しており、そのうち65歳以上の高齢者の割合は80%に登ります。
体力や免疫力の低下、さらには感度が低下しつつある高齢者にとっては、体温管理が難しく、熱中症に見舞われる高齢者が後を絶ちません。

死亡事故の教訓が活かせないのか?

「冷房の管理体制」と「熱中症」という事で例を挙げれば、2018年に岐阜県の病院で起きた熱中症による死亡事故を思い出される方も多いのではないでしょうか?

エアコン故障か 熱中症疑いで入院患者4人死亡 岐阜の病院

岐阜市一番町1、「Y&M 藤掛第一病院」に入院していた80代の患者男女4人が26日から27日にかけて熱中症の疑いで相次いで死亡していたことが28日、分かった。病院のエアコンが故障していたとの情報があり、岐阜中署は業務上過失致死の疑いもあるとみて、4人の死因を調べるとともに、病院関係者らから事情を聴くなど捜査を始めた。

同署によると、4人は83~85歳の男性2人と女性2人。3~4階に入院しており、26日午後8時40分~27日午前11時35分ごろに死亡した。目立った外傷はなかった

27日夜、県警に「熱中症の疑いで4人が死亡した。エアコンが故障していた」と通報があったという。

病院ホームページによると、同病院は老人医療を専門としており、療養病床が119床。

岐阜地方気象台によると、岐阜市の26日の最高気温は36・2度だった。

熱中症は、体内の水分や塩分などのバランスが崩れ、体温調節機能が低下して生じる体の不調の総称で、屋内でかかることもある。体温調節機能が落ちてくる高齢者などは特に注意が必要とされる

総務省消防庁によると、20~26日の1週間に全国で5890人(速報値)が搬送された。

(出典)2018.8.28 産経新聞Web

つい昨年も、医療機関でこのような事故が起きてしまったばかりです。

個々に委ねる事が必ずしも良いことではありませんが、少なくとも現場でタイムリーな状況判断が委ねられる事もなく「一律で〇〇」というような対応をとっているだけでは、同じような事故を起こす事になってしまいかねません。

こうした失敗事例を自分ごとだと各介護施設が受け入れるべきなのは言うまでもありませんが、この大きな気象変化の中で危機意識が足りない介護施設が多い事は残念と言わざるを得ません。

熱中症対策の6つのポイント

このように熱中症に対してもう少し神経質になる必要のある介護施設も少なくありません。

よく言われる熱中症対策について、6つポイントを挙げて紹介しておきます。

1.「気温や湿度を」把握すべし

高齢になる程、体温の調節機能が落ちてくるため暑さを自覚しにくく、熱を逃がす体の反応や暑さ対策の行動が遅れがちです。気温・湿度計、熱中症計などを活用し、まわりの環境の危険度を把握する必要があります。

2.「室内を」涼しくすべし

日差しのない室内でも、高温多湿・無風の環境は熱中症の危険が高まります。冷房や除湿機・扇風機などを適度に利用し、涼しく風通しの良い環境で過ごす必要があります。
「室内だから大丈夫」は大きな間違いです。

3.「水分を」計画的に摂るべし

高齢者の方は体内水分量の減少により脱水状態になりやすく、さらに体が脱水を察知しにくいため、水分補給が遅れがちです。のどが渇く前に、定期的な水分補給が必要です。キュウリやナスなど、水分を多く含む食材を、食事に取り入れる事もオススメだと言われます。

4.「入浴や就寝時も」注意すべし

入浴時や就寝中にも体の水分は失われていき、気づかぬうちに熱中症にかかることがあります。入浴前後に十分な水分補給はもちろんですが、寝るときは枕元に飲料を置いたりしておく事もオススメします。

5.「外出は」より一層体に配慮すべし

言うまでもなく外出時は、体への負荷が高まることに加え、汗で水分が失われたり、日差しや熱の影響を受けやすくなったりします。服装を工夫する他、水分や休憩を十分とって体を守る必要があります。何より無理な外出は禁物です。

6.「周囲の人間が」気にかけるべし

高齢者の方は自分で暑さやのどの渇きに気づきにくい上、体調の変化も我慢をしてしまうことがあります。周りの人が体調をこまめに気にかけ、予防対策を促してあげましょう。
ご本人への「大丈夫ですか?」の声掛けだけでなく、介護士側の判断も必要です。

最後に

いかがでしょうか?
夏になると毎日のようにニュースに取り上げられる「熱中症」の問題。
高齢である利用者さんへのより一層の配慮はもちろんながら、私達介護士自身の自らの体調管理に留意する必要があります。

そんな状況下で「冷房に関するルール」「節電意識」ばかりを押し通す職場環境があるのであれば、それは大げさでなく殺人行為に匹敵します。
目先の「ルール」や「節約」という小さな事に囚われて、「安全な環境」という利用者さん・介護士にとっての守られるべきものが守られないなのであれば、看過できる問題ではありません。

当たり前の話ですが、何がが起きてからでは遅いわけです。

今一度、熱中症対策を始め、「安心」「安全」という環境についてしっかり考えていく必要があります。

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