こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
私は、新卒で介護業界に飛び込み11年間介護現場や管理職を経験してきました。
その後、転職コンサルに5年間従事し、現在は介護コンサルをする傍ら、介護現場で介護士としても現場のお手伝いをさせていただいています。
そんな元転職コンサルでもある私、ごろにぃがオススメしている転職サイト(エージェント)が、しろくま介護ナビです。
「ホワイトな介護現場の求人のみをピックアップする」をテーマに「しろくま」と命名され、新聞にも取り上げられる程の転職サイトです。
それでは早速本題です。
本記事をお読みいただいている方の多くは、介護士として日々利用者さんの介助に携わっている方々かと思います。
そして介護士として勤務する中で、非常に気を遣うのが「利用者さんの事故」。
特に介護現場の事故と言えば「利用者さんの転倒事故」をイメージされる方が多いかと思います。
ただし、そんな背景で意外に多く起きてしまっているのが「利用者さんへの誤薬」です。
多くの介護士の方が経験されているのではないでしょうか?
- 誤薬をしてしまった経験がある
- 誤薬をしてしまいそうだった経験がある
- 職場の介護士が誤薬をしてしまった
今回は、決して他人事とは言えないこの「誤薬」について、記事を書いていきたいと思います。
「介護士の誤薬」は他人事ではない
「誤薬」と聞くと
- 誤薬なんて、低レベルの介護士が起こすもの
- 誤薬なんて、普通に介護してれば起きない
こうしたイメージを持たれている方も多いかもしれません。
ただ私は「誤薬はどれだけ優秀な介護士でも、いつ起こしてしまってもおかしくない介護事故」だと思っています。
※そもそも介護事故の大半は、いつどこで起こってしまってもおかしくないですけれどね。
誤薬に対してのアンケート結果
ちなみに「誤薬」への考え方について、アンケートを実施したところ、以下のような結果を得る事ができました。
介護士の誤薬。
当然あってはいけないことで、そこに「新人だった」「忙しかった」等という言い訳は通じないと思う。
でもその一方で、介護士も人間。
100%ノーミスという訳にいかないのも事実。みなさんは誤薬について、どう考えますか?
— ごろにぃ@介護コンサル (@goronyi_kaigo) August 12, 2019
このアンケート結果を見てわかる通り、77%の介護士が「あってはいけない事」だと認識しつつも自身の誤薬事故リスクについては、拭えないでいます。
反対に「100%あり得ないし、起こさない」と言い切る方は、7%に留まっています。
あくまでもこのアンケートは、リスクへの考え方や意気込みを問うものですので、この結果がどうだからとは言えません。
ただ私なりの意見として言えるのは「誰しもが誤薬を起こすリスクがあり、その事を理解する必要がある。ただし起こさない為の最大限の準備と注意を払う必要がある」ということだと思います。
「誤薬事故」の事例
介護施設での誤薬の事例としては、2019年2月に特養で起きた死亡事故が記憶に新しいという方もいるのではないでしょうか?
足立区の特別養護老人ホームで「誤薬が原因」だと思われる死亡事故が発生
【足立区】老人ホームで誤薬 入所者の80代男性死亡
2019年2月15日、職員が誤って別の入所者の薬を飲ませ、入所者の80代男性が死亡するということが、東京都足立区の特別養護老人ホームで起きました。また、この職員は誤飲に気づいた直後、吐き出させるなどの措置は取らなかったとされています。
◇ 誤飲させた直後に気づくも対応せず
施設職員は、14日の朝食時に食堂で隣に座っていた別の男性入所者の薬を誤って飲ませたとされています。しかし、飲ませた職員は、男性が飲み込んだ直後に誤飲をしたことに気付きましたが、吐き出させるなどの措置は取らなかったということです。施設によりますと、死亡した男性は認知症と高血圧の持病があり、薬のアレルギーがあったことが分かっています。
◇ 昼ごろから体調が悪化し、病院へ受診
誤飲をした男性は、昼ごろから体調が悪くなり病院を受診。症状が安定したため、同日夜に施設に戻るも、15日午前4時ごろ職員の呼びかけに応答しなくなり、病院へ救急搬送されるも死亡しました。
この施設では、入所者の薬を服用させる際は、職員2名で確認し対応しており、14日も同様の態勢だったということです。警察は、誤飲の経緯や薬と死亡の因果関係を慎重に調べていく方針です。
(引用)高齢者ニュース.com
このニュースでのある通り、利用者さんの死亡と誤薬の因果関係については、明確にされてはいません。
ただし、このニュースを見てもわかる通り、誤薬が利用者さんの命を奪うようなケースが存在するという事を介護士自身は十分に理解しておく必要があります。
「誤薬ゼロは不可能」でも万が一の場合の対応や準備は必須
冒頭から記事内でも書いている通り、誤薬をゼロにするという事は非常に難しく、それこそ人が行う以上、不可能だと言い切るべきかもしれません。
ただし、今回の事例で言えば「誤薬をした」という事自体を問題視するのでなく、「誤薬後に適切な対応が取られなかった」という所にもしっかりと着目しておくべきではないでしょうか?
そうした意味では、このケースで言えば誤薬が起きた事以上に、誤薬後に最善の対応が取られなかった事の方が大きな問題だと言えるのかもしれません。
「誤薬事故」を起こさない為に・起こしてしまった場合に
何度もしつこく繰り返しますが「誤薬」をゼロにする事は事実上不可能です。ただし誤薬を起こさない為に最善の準備をする事、そして万が一誤薬をした場合は最善の対応をする事は、介護士としても義務だと言えます。
誤薬事故を起こさない為の準備策の例
参考として、一般的に言われる「誤薬防止」のルールを明記しておきます。
- 「配薬ボックスから薬を取り出すとき」「利用者のそばにいったとき」「薬袋をあけて口に入れる前」の最低3回はその薬が本人のものであるか確認する
- 薬についての基礎知識について学習の機会を持つ。
- 介護職員にも利用者が使用している薬の内容がわかるように、個人ファイルに薬の処方箋を添付し確認できるようにする。
- 薬は1回分ずつ分包し、氏名と飲む時間(朝食後など)を明記する。
- 薬ケースを利用者個人ごとに用意する。
- 食前薬・食後薬それぞれの薬ケースを用意し、薬の取り間違いや飲み忘れを防止できるようにする。
- 薬の見た目が似ていて紛らわしいときには区別できるような印をつけるなど工夫する。
- 入居者が隣の人の薬を間違って内服してしまうことのないよう、配膳と一緒に薬を配るのでなく、内服する直前に配薬することや、口に入れるまで確認することを徹底する。
繰り返しますが、介護士という「人が行う業務」である以上、この対策をしたから大丈夫というものはありません。
また介護士の服薬介助は数ある業務の一つにしか過ぎず、費やせる時間にも限りがあります。
だからこそ、闇雲にチェック項目だけを増やすのではなく「服薬介助に時には、とにかく集中し、中断せずに最後まで進める」こうした当たり前の事にどれだけ神経を割けるかだと思います。
万が一誤薬事故を起こしてしまった場合の対応
そして万が一誤薬対応を起こしてしまった場合の対応についても、明確にしておく必要があります。
- 万が一誤薬が発生してしまった場合は、それが直ちに健康に被害を及ぼすものなのかどうかを見極める必要がある
- その為に、介護士や利用者自身の判断ではなく、医療従事者に状況を報告し、判断を仰ぐ
シンプルですが、万が一誤薬が起きてしまった場合に取るべき手段はこれにつきます。
多くの人は「誤薬」という場面に直面した場合、自分を責めるばかりで、どのように対応しするべきか頭が真っ白になります。
それこそ「できるなら報告せずに隠したい」という思いを持つ人もいるかもしれません。
ただし、この記事でも何度も書きましたが、誤薬を完全に防ぐ事は不可能です。
過度に自分を責めるのではなく、自身の失敗を認めた上で、早急に報告し、対応判断を仰ぐことが大切になります。
これは誤薬事故を起こした介護士自身にだけ言えることではなく、管理者を始めととした管理職にも言える事です。
起きてしまった事について、介護士を過度に攻め立てる時間があれば、状況を確認し、対応をする。
そして、同様の失敗が起き得ないのかもう一度職場内でも考え直す。
これにつきます。
「誤薬事故」についてのまとめ
いかがでしょうか。
介護現場で日々業務をしていると「与薬業務」が日常業務の一環として当たり前の業務として浸透し、それが無意識のうちに「誤薬事故」のリスクを軽んじてしまうような事にもなりかねません。
本当にしつこく書きますが、誤薬事故をゼロをすることは不可能です。
だからこそ万が一誤薬事故を起こすような場面があったとしても、過度に自分を責める必要はありませんし、隠蔽する等の事はあってはなりません。
そんな事よりも、失敗は失敗と素直に受け入れ、対応につなげる事の方が数倍大事です。
誤薬に限らず、介護施設での事故についてはまだまだ世間の理解があるとは言い難いのが今の状況です。
でも事故が起きるのが介護現場であり、その事故リスクを最低限に抑え、事故後に最善に対応を取るのが、介護士の義務です。
この事をまずは、介護士自身、そして介護現場の経営者や管理職が理解し、受け入れていく事が何よりも大事な事になるのではないでしょうか。