こんにちは、ごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
皆さんの職場には一度辞めたにも関わらず、再就職して
いわゆる「出戻り就職」です。
そして、この「出戻り就職」
介護現場は、退職しても同じ職場に出戻りしてくる人が多い業界。
それを「中途半端な覚悟で退職する奴が多い業界だ」と言い切る人がいる。
一理ある。
でも問題の本質は、覚悟を持って退職したところで、結局それだけ多くの介護施設が労働環境に課題を持っているということ。
— ごろにぃ@介護コンサル (@goronyi_kaigo) March 16, 2019
「なぜ介護業界には出戻り就職が多いのか?」
「そもそも出戻り就職はOK?」
というわけで今回は、「出戻り就職」についてて記事にしていきたいと思います。
介護士の「出戻り就職」あり?なし?
たまに「実は以前働いていた職場に戻りたいんですが、非常識ですかね?」と相談を受ける事があります。
実際のところ、それは辞め方にもよりますし、昔ながらの「1度入社すれば定年まで」というような文化を重んじるような社会であれば、文化に反して退職した介護士をすんなり受け入れてはもらえないかもしれません。
ただし、介護業界は末期の人材不足。
私の知る限りでは、多くの介護施設が出戻り介護士を受け入れています。
そういった観点では、諸事情にもよりますが、介護業界全般の結論としては、「出戻り就職はあり」だと言えます。
介護士に「出戻り」が多い理由
また「出戻り就職」については、何も介護業界に限った話ではありません。
でもやはり「介護業界には出戻りが多い」。
この理由には様々な要素がありますが、ポイントは大きく4つです。
■介護業界に出戻りが多い4つのポイント
①「厳しい労働環境」は隣の介護施設も一緒
②「厳しい労働環境」は介護業界に限った事でもない
③人の出入りが激しく職場環境が変わりやすい
④介護士不足で受け入れ側もウェルカム
①「厳しい労働環境」は隣の介護施設も一緒
「となりの芝生は青く見える」とはよく言いますが、それは介護現場間での退職においても同様です。
介護現場の「労働時間」「人間関係」「給与」等々のストレスについて、「他の施設はもう少しマシでしょ」と転職。
でもいざ転職して働いて、実際に働いてみてあえなく撃沈。
「これなら前の職場の方が良かった…」という経験をした事がある方も多いのではないでしょうか。
程度の差はありますが「大変だと思っていた自分たちの状況が、実は他の介護施設よりはマシだった」というケースは少なくありません。
その結果出戻りという結論に行き着く介護士が増えるわけです。
②「厳しい労働環境」介護業界に限った事でもない
また、「となりの芝生は青く見える」というのは、介護施設間に限った話ではありません。
一度介護業界を離れた介護士が、介護業界に戻ってくるという例も意外に多くあります。
良くも悪くも「介護現場は厳しい労働環境だ」というイメージが強く先行しています。
ただし、介護業界に限らずその他多くの業界や職種で「労働」というものには、ストレスや負担がかかるものです。
実際に異業種に転職してみて「これなら介護士の方が良かった」というケースも少なくありません。
もちろん向き不向きの問題や転職先の業界にもよりますが、「介護業界が大変=異業種はマシ」という関係性だとは限らないという事です。
③人の出入りが激しく、職場環境が変わりやすい
また介護業界は人の出入りが非常に激しい業界です。
そして退職理由に最も多いのが「人間関係」です。
それだけに、「退職のきっかけとなった上司や同僚が退職したのであれば、前職に戻りたい」というケースもよくあります。
実際のところ、多くの介護施設は3年もすれば介護士の顔ぶれが大きく変わり、介護現場の雰囲気や人間関係も変わるものです。
そうした職員の入れ替わりを前向きに捉えた、出戻り就職も増えています。
④介護士不足で受け入れ側もウェルカム
また最終的には、どれだけ退職した介護士が出戻り就職を望んだとしても、受け入れる介護施設側が認めてくれなければ、出戻り就職は成立しません。
そうした意味で、「介護士不足」という介護業界の環境は、出戻り希望者にとっては追い風です。
上でも書いたように、人手不足から多くの介護施設が「出戻り就職」については寛容ですし、介護施設によっては出戻り推奨で、積極的な声掛けをしているくらいです。
当然、最終的には法人や管理者それぞれの考え方や対象者の立ち振舞によります。
それでも基本的に、出戻りの受け入れ側はウェルカムであるケースが大半だと言えるでしょう。
計画的な出戻りもあり
また「出戻り就職」というと「行き当たりばったり」というようなイメージを与えがちかもしれません。
ただしその一方で「計画的な出戻り就職」をしている方もも少なくありません。
■計画的な出戻り就職の例
①他の介護施設の経験を引き下げて出戻り
よくも悪くも介護士としての経験は、1ヶ所での経験だけだと知識や考えが偏りってしまいがちです。それを踏まえ、一度別の施設形態に転職して、「経験を積んだ後に出戻る」というような事そしている介護士もいます。
②介護士から看護師にキャリアチェンジをして出戻り
介護現場で働くうちに「看護スキルや知識を身につけて勤務したい」という思いから一度看護師免許を取得し、看護師として介護現場に帰ってくるという方も今まで数名お見かけした事があります。
③子育てを一段落してからの出戻り
また産休や育休後に復帰という例もありますが、それだけでなくお子さんが小学校に入学してから出戻り等も少なくありません。他職種に比べてブランクが長期化しても受け入れてもらえ、適応できるのが介護士の強みでもあります。
これらはあくまでも一例ですが、これらのように計画的に出戻りをするというのも介護士としてキャリアを重ねる上で検討していくことができるかもしれません。
介護施設側は「出戻り就職OK」の余裕も大事
介護士不足のが慢性化すると受け入れ側である介護施設側も「退職した介護士に出戻ってきてもらいたい」という思いが増すものです。。
それにも関わらず、肝心の介護士の退職時に感情的になり「嫌味を言ったり」「無理な引き止めをしたり」等の不快感を与えた退職になってしまっているケースも少なくありません。
そうした意味でも、「退職」は一時のフェーズだと捉えるくらいの余裕も時には必要なのかもしれません。
実際のところ快く退職者を送り出す事が、将来に繋がるケースも少なくありません。
4.「出戻り就職」が抱えるリスク
ここまで出戻りを推奨するような記事を書いてきましたが、当然「出戻り就職」にはリスクも伴います。
出戻りを望む介護士の「現職よりは前職の方がマシだったから」
出戻りを受け入れる介護施設の「介護士が足りないから」「経験者だから」
こうしたシンプルな理由だけで、決断をするには些か不安が残ります。
①介護士側の出戻り就職のリスク
転職先でうまくいかない事があると、ついつい「前の職場の方が良かったな」という思いは持ってしまいがちです。
これは大変な環境に身をおくと多くの人が一度は感じるものです。
ただし、転職先との比較だけで安に出戻りを検討するのは、やはり危険です。
出戻りを検討する前に「退職した時の気持ち」を再度整理し、過度に過去が美化されていないかを冷静に判断しなければ同じ理由で退職してしまう事に成りかねません。
また自分の思いだけでなく、出戻りした場合に、「周囲の介護士がどのように受け止めてくれるか」についても冷静に考えておく必要があります。
「自分勝手な退職をしていなかったか?」「以前の部下や同僚に対して、ゼロからの姿勢で関われるか?」等、しっかりとした考えと整理が成されていなければ、「出戻りしなければ良かった」という思いになりかねません。
出戻った場合に「ありがとう、助かる」と言ってもらえるのか、「よくもそんな自分勝手な」と言われるかで出戻り就職後の労働環境が大きく異なります。
②介護施設側の出戻りリスク
また出戻りのリスクは介護士側に限ったことではありません。
出戻りの介護士を受け入れる事で「既存の介護士はどのように感じるのか?」「ゼロから頑張る思いで戻ってきてくれるのか?」「前回の就業時は問題なく勤務してくれていたのか?」等について、受け入れ側は冷静に考えておく必要あります。
それぞれの理由があるとは言え、一度決めた退職を撤回し戻ってくる訳ですので、それなりの覚悟や思いを持って最就職してもらわなければ、続くものも続かないくらいに考えておいて良いのでは良いでしょう。
ただ「介護士が足りない」という理由だけで安に採用のハードルを下げてしまっては、職場環境が改善するどころか、悪化するリスクに繋がるだけだという事を肝に命じる必要があります。
介護士の「出戻り就職」についてのまとめ
繰り返しの通り、良くも悪くも出戻り就職が増えつつある介護業界。
ここまで書いた通り、「介護士の出戻り就職」自体が良いか悪いかは一括りに評価する事はできません。
ただし、「安に出戻り就職をする事」「安に出戻り就職を受け入れる事」は、やはりおすすめはしませんし、するべきではありません。
実際、「一時の思いや勢いだけで、出戻りして失敗した」というような例も少なくありません。
反対にしっかりと検討が成された上での出戻りなのであれば、「経験があるので即戦力になりやすい」「覚悟を持って働ける」等、様々なメリットがあるのも事実です。
最終判断は、介護士自身と介護施設側となるわけですが、出戻りに限らず「人」が左右する介護現場だからこそ、しっかりと検討して損はないと思います。