介護で利用者から暴力を受けたら?初動・記録・相談先を解説
- 介護現場の安全と権利を守る視点で、本文の内容を現在の実務に照らして読み直せるよう整理しています。
- 事故・虐待・感染症などの対応は、一般論だけで判断せず、勤務先の手順と最新の公的資料を確認してください。
- 迷ったときは一人で抱え込まず、管理者・専門職・相談窓口へ早めに共有しましょう。
こんにちは「介護コンサルをしながら、現役介護士を両立」がモットーのごろにぃ(@goronyi_kaigo)です。
利用者さんから暴力を受けたときは、まず距離を取り、周囲へ応援を求め、自分と利用者さん双方の安全を確保してください。認知症などの背景があっても、職員が一人で我慢し続ける必要はありません。
その後は、上司への報告、事実の記録、必要に応じた受診、再発防止策の確認までを一連の対応として行います。この記事では、介護現場で11年働き管理職も経験した立場から、直後にやることと職場へ確認する項目を整理します。
- 危険が続くときは一人で対応しない
- 日時・場所・前後の状況・負傷内容を事実ベースで残す
- 「認知症だから仕方ない」で終わらせず、チームで支援方法を見直す
利用者からの暴力は個人で抱え込まない
利用者さんからの暴力や暴言は、介護職個人の我慢や技量だけで解決する問題ではありません。過去には介護職100人を対象とした民間アンケートで多くの被害経験が報告されましたが、2016年の小規模調査であり、現在の発生率として断定できる数字ではありません。
大切なのは割合の大きさではなく、暴力が起きたときに職場として安全確保・報告・記録・再発防止を行えるかです。厚生労働省も介護現場のハラスメント対策として、事業者による方針の明確化や相談体制づくりを案内しています。
利用者さんからの暴力を甘く見ると大怪我をする
そして、この利用者さんの暴力。甘く見ていると本当に大怪我をしてしまいます。
ちなみに先日以下のようなTweetをしました。
するとこのTweetに対して、多くの介護士さんから共感の声がありましたので、そうした声も一部抜粋させていただきます。
SNS上の介護士さんの声
・素人さんは、介護施設に居る利用者さんを、金さん銀さんだと思ってる。
・理性を失った老人の握力や腕力ものすごい力です。
・センサー内蔵のベッド使ってるけど、転倒リスク高いおじいちゃんに夜勤入る度に杖で叩かれまくっている。
・他の職員は手引きとかしてるのに、視界に入っただけでキレる「他の人にはやらないのになんでですか?」と聞いたら「お前が入って来るからだ」と…
・あるある〜、不穏になってる人の力がどれほどのものか。
・首締められた人もいるよ!その時の対応が悪い場合もあるけど、一概にそうとは言えないよ。。。傷つけられて、穏やかにいられる人って、そう、多くないと思うよ。。
・全力パンチ 全力つねり人格否定は本当によく見られますよね。
・椅子を振り回して殴られた時は、なんでここまでして介護の仕事してるんだと泣きました。
・柔道二段でアメフト経験のある自分でも、危険を感じる時がありますからね。 そもそも感染症持ちの人が噛みついてきたり、弄便した手で引っ掛かれたりしたら病気になりかねませんし。
・リミッターが外れている人の力を馬鹿に しちゃいけない…前職の夜勤の方。 腕の内側を思い切り抓られてしまった せいで、赤黒い痣ができていました
私自身も似た経験がありますので、非常に気持ちの分かるものばかりです。
もちろんこうした実態は利用者さん自身に悪意に紐づくものばかりではなく、認知症で自分の気持ちや行動を上手くコントロールできないが故というケースが大半です。
ただし、本人に悪意がなくても行動の予測が難しいことがあるため、職員個人に任せず安全対策が必要です。
利用者から暴力を受けた直後の5ステップ
- 距離を取り、安全を確保する:無理に押さえ込まず、退避経路を確保します。
- 周囲へ応援を求める:ナースコールや内線など、施設の緊急連絡手順に従います。
- 利用者さんの状態を確認する:転倒、疼痛、せん妄など急な体調変化がないか看護職等へつなぎます。
- 上司へすぐ報告する:勤務終了後まで待たず、事実を簡潔に共有します。
- 負傷時は受診を相談する:噛み傷、出血、頭部・首への攻撃などは、見た目だけで判断しないことが大切です。
記録する内容
記録では感情的な評価を避け、次の事実を残します。
- 発生日時と場所
- 介助内容と直前の声かけ
- 利用者さんの表情、言葉、動作
- 職員が取った対応と応援者
- 双方の負傷、受診、家族連絡の有無
- その後に決まった再発防止策
「突然殴られた」だけでなく、直前の環境や介助方法まで書くと、時間帯や担当者、ケア手順に共通点がないか検討しやすくなります。
認知症があっても暴力を我慢し続けなくていい
認知症による不安、痛み、拒否、見当識の乱れが行動の背景にある場合はあります。しかし、背景を理解することと、職員の負傷を放置することは別です。担当を交代する、複数名で介助する、時間帯を変える、医療職へ体調評価を依頼するなど、チームで安全な支援方法を検討します。
上司への相談テンプレート
本日○時ごろ、○○介助中に利用者さんから○○を受けました。直前は○○の状態で、私は○○と対応しました。現在の負傷は○○です。今後一人で同じ介助を続けるのは不安があります。複数名対応や介助手順の見直し、受診の必要性について本日中に相談させてください。
職場に確認したい再発防止
- 次回から一人対応を避けられるか
- 申し送りとケアプランへ反映されるか
- 看護職・ケアマネ・家族・主治医との連携が必要か
- 事故報告や労災の手続き対象か
- 同じ職員だけが繰り返し対応していないか
改善されない職場では外部相談や環境変更も検討する
報告しても「介護職なら我慢して」と片付けられ、一人対応が続く場合は、記録を残したうえで管理者や法人本部へ相談してください。安全対策を求めても改善されないなら、無理を続けず職場環境を変える判断も現実的です。
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利用者さんからの暴力の生々しい傷跡 ※注:写真あり
言葉だけでは見えづらい部分もありますので、今回は敢えて利用者さんから暴力のによる介護士の傷跡を写真つきで掲載していきたいと思います。
※当写真は、私自身のものではなく、支援先や介護士仲間よりで頂戴したものとなります。
①利用者さんに掴み掛かられてできたアザ
こちらは利用者さんの拒否反応時等、腕を掴まれたりする際にできたアザです。
こうした「アザができる程の力を有している利用者さん」を「言っても介護施設にいるお年寄り」だと甘く見ていていると大怪我します。
それこそ「家に帰って気づいたら、こうしたアザができていた」というケースも珍しくありません。
②利用者さんの噛みつきによるアザ
またあまり想像できないかもしれませんが、利用者さんから不意打ちに噛みつきを受ける事も介護現場ではあります。
身体の自由が効きづらい利用者さん程、こうした突発的な行動に出られてしまう事があります。
服の上からでも、これくらいのアザになることもあり、怖い意味で力強さが伝わってきます。
③利用者さんのツネリによる傷
また利用者さんが介護士に対して爪を立ててくる事も珍しくありません。
油断しているとこうした爪傷も日常茶飯事です
ここに紹介したケースはあくまでも一例ですが、このように「介護施設の利用者さんだから」と暗に考えていると大怪我になりかねません。
この記事のまとめ
いかがでしょうか?
写真まで掲載して少し生々しすぎる部分もあるかと思いますが、事実介護現場ではこうした利用者さんからの暴力が起きています。
もちろんこうしたものは、利用者さんの側面の一つに過ぎませんし、全てではありません。
そして利用者さん自身も好き好んで暴力を振るっているわけではありません。
ただし少なくとも
- 利用者さんからの暴力くらい大したこと無いだろう
- 利用者さんの暴力は仕方ないんだから受け入れろ
この実情を見て、こうした事は暗に言えないではないでしょうか?
だからこそ介護業界の大きな問題となりつつある、利用者さんの暴力についてもどのように向き合うべきかについて考えていく必要があります。
少なくともこの実態を「仕方ないもの」として片付け、しわ寄せが介護士だけにいく状況が続くのであれば、今後介護業界に人が集まる事はないでしょう。
こうした記事がそんな介護現場の実態を理解いただける一つの機会になればと思います。
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